二都物語(1957)

劇場公開日:

解説

チャールズ・ディケンズの小説『二都物語』の、「キャンベル渓谷の激闘」のラルフ・トーマス監督による映画化。脚色は「乱闘街」の才人T・E・B・クラーク。一九一七年のフランク・ロイド作品、二七年のハーバート・ウイルコックス作品のサイレント時代から、トーキーとなって三五年のジャック・コンウェイ作品(邦題「嵐の三色旗」)に次ぐ四度目の映画化。撮影監督は「スピードを盗む男」のアーネスト・スチュワード。音楽は「情熱の友」のリチャード・アディンセル。主演するのは「キャンベル渓谷の激闘」のダーク・ボガード、「三文オペラ」のドロシー・テューティン、「マダムと泥棒」のセシル・パーカー、新人ポール・ゲール、マリー・ヴェルシニ等。これを助けて「哀愁のモンテカルロ」のスティーブン・マレイ、「キャンベル渓谷の激闘」のアシーン・セイラー等が助演。製作ベティ・E・ボックス。

1957年製作/イギリス
原題または英題:A Tale of Two Cities
配給:東和
劇場公開日:1958年6月26日

ストーリー

優れた才能を酒に溺れさせるロンドンの弁護士シドニー・カートン(ダーク・ボガード)は、ルシー・マネット(ドロシー・テューティン)を愛したが、彼女は彼と瓜二つの亡命フランス貴族チャールズ・ダーネイ(ポール・ゲール)と結婚した。貴族の圧制に対する不満の高まるパリで、憎悪を一身に集める従兄のサン・テヴレモンド侯爵をきらって、ダーネイは英国に名をかえて亡命していたのである。しかし、ルシーの父マネット医師が、かつて十八年間も従兄の侯爵のためバスチーユの獄にあった身とは知るよしもなかった。マネット医師は釈放の後、パリで酒場をやるもとの召使デファージュに助けられ、旧友ジャーヴィス・ロリイ(セシル・パーカー)の力で娘と再会、ロンドンで生活していたのだった。そのころ、パリではサン・デヴレモンド侯爵が名もない一市民に暗殺されたのを機として、暴徒と化した民衆の蜂起により、革命が起り、旧い制度は葬られ、その下に恩恵をうけた人間が続々と断頭台に送られていた。侯爵の召使ガベルとその娘マリー(マリー・ヴェルシニ)が、貴族に仕えていたというのみの理由で獄に送られたのを知ったダーネイは、危険をおかして単身パリに急行したが、自身も貴族の故をもって捕えられた。ルシー父娘と召使プロスは、弁護士カートンに同行をたのんで裁判に急ぎかけつけ、老医師がバスチーユの受難者であることを証明して、ルシーの夫ダーネイを無罪にした。しかしデファージュ夫人により、侯爵の暴虐を訴える老医師自身の昔の手紙が反証として提出され、再びダーネイは死刑となった。絶望に沈むルシーの姿に、カートンは今こそ酒に溺れた生活の償いの時のきたのを悟り、容姿の似ていることを利用してダーネイの身代りとなり、彼をルシー父娘と共に英国に逃し、自からは断頭台に立った。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

3.0究極の自己犠牲愛

2020年5月4日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

フランス革命をイギリス側から見た切り口の古典的な物語の作品。ディケンズのストーリーテラーの面白さはあるものの、原作のダイジェストに止まる。ダーク・ボガード以外国際的に活躍した俳優が居ない地味なキャスティングで、ラルフ・トーマス監督の演出も特に感心するものではなかった。この映画化で4度目というが、自己犠牲愛の内容から推測して今日的には難しいのではないだろうか。デーヴィッド・リーンの「大いなる遺産」「オリヴァ・ツイスト」とは差がある出来でした。

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Gustav

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