肉弾鬼中隊(1934)

解説

「戦争と母性」「肉体」のジョン・フォードが監督に当たった映画で、フィリップ・マクドナルド作の実話小説「偵察隊」に基づいて、「ニューヨークの仇討ち」「七万人の目撃者」のギャレット・フォートが改作、「西部の渡り鳥」のダドリー・ニコルズが脚色した。撮影は「キートンの麦酒王」「快走艇」のハロルド・ウェンストロムの担当である。主役は「武装ラグビー」「藪睨み武勇伝」のヴィクター・マクラグレンで、「ミイラ再生」「魔の家(1932)」のボリス・カーロフ、「三角の月」「ビッグ・ゲージ」のウォーレス・フォード、「昨日」「カイロの一夜」のレジノルド・デニー、「流れる青空」のJ・M・ケリガン、「青白い瞼」のダグラス・ウォルトン、アラン・ヘール、ブランドン・ハースト、ビリー・ビーヴァン等が助演している。

1934年製作/アメリカ
原題または英題:Lost Patrol

ストーリー

欧州大戦中メソポタミヤ砂漠において英軍の一中尉の率いる騎兵偵察隊が行進中突如、何処からともなく銃丸が飛んできて中尉は即死する。中尉の死体は砂に埋められ軍曹が代わって指揮して分隊はそのまま進軍を続ける。けれど軍曹は分隊の使命も、目的地も、また本隊が現在何処にいるかも知らなかった。万事死んだ中尉が一人で心得ていたのである。しかし幸いにもオアシスを発見したので、軍曹は一夜をあかすつもりで、泉に沿った回教の寺院に夜営する。敵のアラビヤ士兵が付近に潜伏しているらしく、四方から銃丸が飛んでくる。若い志願兵が歩哨勤務中に敵弾に倒れ、最古参の伍長は重症で口も聞けなくなり、つないで置いた馬は全部盗まれてしまう。馬を失って分隊は行進をやめ、救援の来るのを待たなければならなくなる。敵情を偵察しようと椰子の樹に登った元気な兵士は報告半ばにやられてしまう。分隊はオアシスに立ちこもり、天然の窪みを塹壕として、不安を包んで警戒を厳重にする他はなかった。軍曹が立てた第一の計画は決死隊を募って本隊と連絡を取ることであった。抽選で二人の兵士が選ばれ夜陰に乗じて出発する。便りを待つ間に数日前から醸されていた絶望の堰が切れ始めた。歩哨に立っていたボクシング家上がりの兵士は精神が錯乱したか危険区域に進んで行き敵の銃丸に倒れる。軍曹の隼のような眼が砂上に敵影を見つけ一斉射撃が行われる。敵の姿はすぐに消えたが、重傷に呻吟していた伍長は興奮して散兵戦に加わろうとしたために、旧創が破れて死んでしまう。戦死者の亡骸は寺院の片隅に埋められ各自の剣を立てて墓標としたが今や4本の長剣が空しく立っている。翌日哨兵は二等の馬の姿を発見する。馬背には2人の決死隊の変わり果てた姿が縛ってあった。一人の老兵は半狂乱となって塹壕を飛び出し、敵兵を一人倒して歓声をあげつつ倒れる。その夜ブラウンという兵士は仇を打ちたいと書き置いて出ていったまま戻ってこない。第七日目には軍曹と二名の部下しか残っていなかった。一人はかねて狂信者であったが今では半ば頭が狂っている。英軍の飛行機が飛来し三人の歓呼のうちに着陸するが操縦者は座席を離れる途端に敵弾に倒れる。軍曹は決死的に突進して飛行機の備え付けの機関銃を取り外し、機体を焼き捨てる。最後の希望が消えたので半狂乱だった兵士は本当に発狂し、手製の十字架を捧げ敵の方へ悠々と歩いて行き、止めようとして駆けだした他の一人もろとも敵弾の餌食となる。軍曹は遂に一人残された。糧食は数日前に尽きている。最後の遠くないのを知って、彼は部下の埋まっている砂地へ自分の剣を突き差し、最後の準備を整えた。このとき、アラビヤ士兵の一隊は始めて全貌を塹壕の前に現す。怒髪天をつく軍曹が放つ機関銃は小気味良く一人づつ薙倒した。最後の一人を倒し終わると彼は墓場へ駆け付け部下の名を呼び立て仇を討ったことをば殆ど狂ったような声で喚き立てるのであった。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

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映画レビュー

2.0ジョン・フォード監督なので一応観ました

2023年6月11日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

見えない敵相手に一人また一人と撃たれていく...

 フィリップ・マクドナルドって人が、お気に入り作の「サハラ戦車隊(1943年)」と同じ原作者とあり期待して観ました。

 邦題から察するに、エグい場面があったり、狂気に満ちた隊員かと思いましたが、あってもごく僅かなので緊張せず気楽に観れます。さすがに古い映画のためか恐怖のリアル感は伝わりにくいです。

 また、音楽が何かメロドラマにありそうな、ほのぼのとした雰囲気の曲があったりして戦争映画に合ってないような...私的には違和感ありましたし、助けに来た飛行機の人なんて降りたら...コメディかと思ってしまう部分でした。

「極限状態に追い込まれた人間の心理描写に力点を置いた」とあらすじには書いてあったのですが、(宗教ぽい人も含め) 待機中いろいろ話してて結構アットホームに見えたけどなぁ。。。銃を構えてる時も人情味ある話したり、極限状態え?団結してた方だと思う。1人1人バラバラってほどではないです。

蛍の光かよ。。。

そういう見方の人もいるということで御了承ください。せっかく観たのでレビューしました。

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はむちん2

3.5第一次世界大戦の頃

2022年11月2日
iPhoneアプリから投稿

『駅馬車』などの娯楽大作で知られるジョン・フォードの初期中編作品。

本作は第一次世界大戦というセンシティブな題材に対してきわめて冷たく、厭世的に臨んでいる。とりわけ冒頭シーンは鮮烈だ。馬に乗った米兵が砂漠の真ん中を不安げに彷徨う。するとバン、という音がして、米兵は糸の切れた操り人形のように馬から転げ落ちる。そこには悲劇を彩るようなBGMもなければ、迫真のカット割りもない。死という簡明な事実だけが含みのない望遠ショットによって伝えられる。

砂漠に追い詰められた兵士たちは戦争の大義を見失っていく。ある者は気宇壮大な夢物語に浸り、またある者は狂信に絡めとられる。はじめこそ戦争に対する勇猛果敢な意気込みを語っていた中隊長でさえ、姿の見えないアラブ兵に一人、また一人と部下の命を奪われていくうちに少しずつその精神を蝕まれていく。

彼らを心身ともに追い詰めたアラブ兵たちの姿は最後まで明示されない。それは憎むべき個人などはどこにも存在せず、ただひたすらに戦争という実体のない現象だけが悪なのだ、という達観の表れのように思われる。

ただまあこれはアメリカが第一次世界大戦という状況に置かれていたからというほかない。現に第二次世界大戦下のハリウッドでは『カサブランカ』やフランク・キャプラ作品といった具合に戦争を肯定するような国策映画が巷にごった返すことになる。そしてジョン・フォード自身もまた徐々にそうした時流に迎合していった。

ここまで露骨な反戦映画を撮っておいてそんな転向はないでしょうよ、と言いたくはなるが、良くも悪くも彼はそれほどまでに「柔軟」な作家なのだ。事実、たとえば50年代に彼が撮り上げた『捜索者』などは、30~40年代においてもっぱら彼が喧伝していたステレオタイプ的なインディアン像を自ら否定し、そのうえで白人の他民族嫌悪が行き着く病的な妄想世界までもを暗示するものだった。彼はおそらく「反抗」と「自己批判」に彩られた政治の季節(=アメリカン・ニューシネマ)がもうすぐやってくることをいち早く察知していたのだ。

そう考えるとやはり、本作の極端に冷たく厭世的なトーンもまた第一次世界大戦時のアメリカ世相のフラットな反映なのではないかと思う。技法以外にはまったくといっていいほど透明な彼の作家性ゆえに、むしろありありと当時のアメリカ国民たちの鬱勃たるムードが現出していた良作といえる。

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因果

3.5砂漠を進む偵察隊がアラブ兵スナイパーから狙い撃ちされ、一人また一人...

2021年6月16日
iPhoneアプリから投稿

砂漠を進む偵察隊がアラブ兵スナイパーから狙い撃ちされ、一人また一人と殺されていく。隊長がやられて軍曹が奮闘する。短い中で話が凄いよく出来ていたし非常に面白かった。

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collectible

3.5【面白かった、古臭いかもしれないが】

2020年5月16日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

藤原帰一氏がおススメ作品として取り上げていたので観てみたら、そりゃ86年前ですからこの映画出来たのはね、古臭いです、でも確かに面白かった。
下手な今のハリウッドのアクション映画より面白かった。ジョンフォードはこんな映画も撮っているですね、参りました。

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雪国の離島の生まれ、山裾育ち