フランケンシュタイン(1931)

解説

メリー・W・シェリーの執筆した小説を基にして「魔人ドラキュラ」「二つの顔(1930)」のギャレット・フォートと「鉄青年」「犯罪王リコ」のフランシス・エドワーズ・ファラガーの二人が脚色し、「ウォタルウ橋」のジェームズ・ホエールが監督し、「再生の港」「ビッグ・トレイル」のアーサー・エディソンが撮影した映画で主演者は「旅路の終り」で一躍名をなしたコリン・クライヴ、助演者とし「ウォタルウ橋」のメイ・クラーク、「母性」「天国の一夜」のジョン・ポールス、「海魔」のポリス・カーロフ、フレデリック・カー、エドワード・ヴァン・スローン等がつき合っている。

1931年製作/アメリカ
原題:Frankenstein

ストーリー

若い科学者フランケンシタインは生命の復活という問題に対して狂気的な研究を続けていた。アルプス山麓の古時計台の研究室は彼にとってはうつくしい許嫁エリザベスよりも強い魅力を有していたのである。夕暮れの墓地をフランケンシタインはただ一人の助手の一人と共に新しい材料たる死体を探し、脳髄をくだいた死人を見つけ出し更に完全な脳髄を求めるために努力していた。許嫁エリザベスは別荘で彼の狂わしい研究に愛のない日常をかこって友人ヴィクターと共にフランケンシタインの大学当時の教授ワルドマン博士を訪ね、彼を研究室から呼び戻そうとした。ワルドマン博士の研究室に忍び込んだ助手はアルコホル漬けの脳髄を盗み出す際、一つの瓶を落とし犯罪者の脳髄を入れた瓶だけをフランケンシタインの許に持ち帰ったのであった。フランケンシタインは助手の持ってきた脳髄を死体に手術し、高圧電力を以って死人再生の大実験を試みようとした。暴風雨を冒してエリザベス、ヴィクター、ワルドマンの一行は古い時計台の実験室に到着した時、彼は折柄の大雷電を利用して研究最中で、それを見た一同は驚倒するほどであった。この時、雷鳴はげしく時計台に落雷し、その電撃はフランケンシタインの研究を成功せしめた。死体の黒い手は白くなり動き始めた。その魔人は実験室の穴倉に太い鎖でつながれることになった。ワルドマン博士はフランケンシタインの悪夢をさまそうとして彼と激論した時、突然地下室から怖ろしい叫び声が聞こえてきた。彼らが走って行って見るとその魔人は助手を殺し、憎悪に燃えた眼差しを二人に向けて飛びかかってフランケンシタインに一撃を加え倒してしまった。この瞬間、ワルドマン博士は魔人の腕にすばやく強烈な薬品の注射を行い魔人を眠らせてしまう。ワルドマン博士はフランケンシタインの父、男爵にすすめてエリザベスとの結婚を急がせた。フランケンシタインが悪夢から醒めたように朗らかにエリザベスを抱く間もなくヴィクターがワルドマン博士の惨殺を報じてきた。彼は魔人を捕らえんと立ち上がる。魔人は既にエリザベスを襲い殺してしまう。そして湖畔に遊ぶ無心な幼児たちの生命をさえ奪った。フランケンシタインは農夫の一隊を指揮し、魔人を捕らえんものと探し廻り、その内、一隊と離れてしまった時、魔人を発見した。彼は炬火を魔人につきつけてその猛襲を防いだがついに大格闘となり、魔人の打撃に倒されてしまった。魔人がフランケンシタインをかついで水車小屋に入る姿を見た農夫達は小屋を囲んで火を放った。魔人は水車小屋の頂上から地上にさわぐ群衆をめがけてフランケンシタインを投げつけた。そして猛火の頂に狂い暴れていた。地上ではわが子フランケンシタインの死体を抱いて男爵は涙に暮れていたのである。

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映画レビュー

3.5今の人が認識しているフランケンシュタインの怪物

2024年1月17日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

メアリー・シェリーが原作の小説を書いた時代は女性が創作活動をすることもホラー作品も受け入れられない時代であった。
そんな中でも原作を書き上げたメアリー・シェリーは作品になんらかの想いを込めたことだろう。世間に受け入れられない怪物に自身を含めた全ての女性が重なったであろうことは容易に想像がつく。
メアリー・シェリーはフランケンシュタイン博士が生み出した怪物の物語をホラーだとは思っていなかったと思われるが、読んだ者は恐ろしい物語だと認識したようだ。

そして本作である。もうただのゴシックホラーとなってしまって、メアリー・シェリーは悲しんでいることだろうが、この作品が後世に残した功績は大きい。
なぜなら、今の我々が認識しているフランケンシュタイン博士の怪物は、この作品の怪物だからだ。
物語も、怪物の見た目も、ボリス・カーロフが演じた動きも、今の人はほぼ全て、これがフランケンシュタインだと認識している。
それだけこの作品がインパクトのあるものだったことを表す。

映像の粗さなど問題はあるものの、それなりに面白く観られることも素晴らしいと思う。
ホラーとして娯楽作に徹するために、余計な情感を込めなかったのが良かったのかもしれない。博士にも怪物にも。
悪く言えば、尺が短く「軽い」作品ではあるけれど、これはこれでいい。

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つとみ

4.0フランケンシュタインの見た目が完成されていたことに驚き。

2023年12月7日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
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madu

5.0怖いけれど、頑張って『アナ』は『フランケンシュタイン』の愛を感じようとした

2023年8月22日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
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マサシ

5.0モンスター映画の原点

2023年8月14日
PCから投稿

怪物君の三匹の子分の一人、これがオリジナル。
ストーリーもサスペンスも昭和6年にしてこの完成度。

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越後屋
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