リオ・ブラボー

ALLTIME BEST

劇場公開日:1959年4月22日

解説・あらすじ

テキサス州の南端リオ・ブラボーのある酒場で揉め事が起き、無頼漢ジョーが丸腰の男を撃ち殺した。保安官チャンスはジョーを投獄するが、ジョーの兄は殺し屋を雇い、町を封鎖してしまう。孤立したチャンスは僅かな仲間と共に壮絶な戦いに挑むことに……。「赤い河」のジョン・ウェインを主役に選び、多くの古いスタッフたちを集めて作られた、ホークス監督言うところの『本物の西部劇』は大成功を収めた。

1958年製作/141分/アメリカ
原題または英題:Rio Bravo
劇場公開日:1959年4月22日

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

映画レビュー

4.5 ハワード・ホークス監督の娯楽西部劇の粋を極めた豪快かつ痛快な名作

2026年5月13日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、TV地上波

笑える

楽しい

ドキドキ

アメリカ映画界ではジョン・フォードより2歳年下で、アルフレッド・ヒッチコックより3歳年上のハワード・ホークス(1896~1977)は、多彩なジャンルの娯楽映画をサイレント期の1926年から遺作「リオ・ロボ」(1970)までの40年以上のキャリアを持つ巨匠の一人でありながら、正当に評価されたのがヌーベルバーグの監督たちによって取り上げられた晩年でした。一般的には「赤い河」(1948)と今作「リオ・ブラボー」の西部劇が突出して有名でも、映画史的な名作「港々に女あり」(1928)「暗黒街の顔役」(1932)「赤ちゃん教育」(1938)「脱出」(1944)「三つ数えろ」(1946)などが未見では、ホークスについて語る資格はありません。それに、これ迄観ることが出来た作品の「ヨーク軍曹」「教授と美女」(1941)「赤い河」「紳士は金髪がお好き」(1953)「エル・ドラド」(1966)で作風をまとめようとしても、西部劇とヒューマニズムのフォード監督や、サスペンスとユーモアのヒッチコック監督のような分かり易さがなく、作風の特徴を捉えにくいのも事実です。20世紀生まれのウィリアム・ワイラーやジョン・ヒューストンに近いものを感じながら、個人的にも1970年代映画に夢中だった頃は、特に追い掛ける巨匠の扱いではなく、テレビ放送も西部劇に限定されていたと思います。初見は17歳の高校生の時で、多分大幅にカットされたものを観て、それなりに面白みを感じても、映画日記を見返すと高く評価していませんでした。今回50年振りに141分の完全版を観て、色んな良さに気付いて大変満足しました。

原作者は、B・H・マッキャンベルという人ですが、詳細が分かりません。ホークスの実の娘バーバラ・ホークスのペンネームとの説明もありますが、それ以上調べられませんでした。脚本は、サイレント時代から活躍しジョセフ・フォン・スタンバーグやホークスと多く組んだ、記者出身の超ベテラン脚本家ジュールス・ファースマン(1888~1966)と、女流SF作家でホークスと相性の良かったリイ・ブラケット(1915~1978)のお二人。この脚本の特徴は、テキサス州の辺境の町リオ・ブラボーの閉ざされた舞台で、主要登場人物がそれぞれ個性的な背景を持ち、ドラマの進行と共に変化していく面白さを分かり易く描いていることです。このドラマの展開と人物の成長がじっくりと丁寧に噛み合い、その会話劇のユーモアと西部劇の劇的な拳銃の音の対比が、ホークス演出で映画のリズムを醸成しています。メインの筋書きは単純そのもので、殺人を犯したジョー・バーデッドを六日間牢屋に閉じ込めること。主人公チャンス保安官は、そのために保安官捕のデュードのアルコール依存症が治るのを見守る。事件の切っ掛け自体、このデュークが落ちぶれて帰ってきたことが起点になり、責任を感じながらチャンス保安官に応えようとするところがまたいい。この腕利デュードと肩を並べる早撃ちコロラドは、雇い主パットが殺されて復讐を秘めながら、ダイナマイト輸送の護衛から保安官助手になる若き助っ人の役回りも頼もしい。演じるディーン・マーティン(1917~1995)とリッキー・ネルソン(1940~1985)は、歌手を本業とする俳優でも、この美味しい役をそれぞれ好演しています。マーティンは演技の巧さを見せ、18歳のネルソンは、もう一人の保安官捕スタンピーのウォルター・ブレナン(1894~1974)含めたオジサン3人組の平均年齢を下げて爽やかさを加え、クライマックスの決斗前に二人の本業の歌を聴かせるサービスシーンも用意されている。娯楽的な構成力は、観ていて気持ちが良い程です。

主人公チャンス保安官のジョン・ウェインは、指名手配の通知からフェザーズをいかさまの賭博師として町から追い出そうとするも、彼女の前歴を知って自由の身になるよう手配する約束をする。この温情に応えると同時に、喧嘩腰の第一印象から恋心が芽生えるフェザーズの変化が、正義感のある堅物ジョン・ウェインのあまり目にしない口説かれる男の強がりを演じています。ウェインと五分の男前フェザーズを演じるアンジー・ディキンソン(1931年生まれ)も好演で、西部劇独特の緊張感と荒々しさと対比され、面白さが増しています。チャンス保安官に充分な睡眠を取らせるために、フェザーズが夜中から朝方までドアの前で見張り役を買うエピソードがいい。そのショットをカットして、寝坊に慌てるチャンスがホテルの主人カルロスの言い訳で知る展開です。観る者がチャンスと一緒になって、フェザーズの心意気に感動するシークエンスでした。

主要登場人物4人のガンファイトの見せ場があり、それぞれに迫力と豪快さがあってホークス監督の演出のキレの良さが引き立っています。ウェインが常にライフルを持ち、それで一振り相手を殴り倒すシーンも躍動感のインパクトがあります。ラストのクライマックスに並ぶ名シーンは、やはり窮地に陥ったチャンスをコロラドの機転で敵を一気に仕留めるシーンでした。このシーンはウェインの遺作「ラスト・シューティスト」(1976)でも主人公が辿った軌跡のワンシーンとして採用されています。ウェインにとっても会心のショットだったと思います。コロラドが、植木鉢を窓ガラス目掛けて投げるようフェザーズに頼むのが後から分かる面白さ。

撮影は「赤い河」「炎の人ゴッホ」(1956)「情婦」(1957)「アラバマ物語」(1962)のラッセル・ハーラン(1903~1974)。白黒とカラー両方で業績を残しています。この作品ではホークス監督の意図と思われる衣装の色の使い方が面白く、テクニカラーらしく奇麗に出ていました。ジョン・ウェインは、前半赤いシャツを着ていて、これはホテルの主人カルロスが、妻コンスエロに赤い下着を内緒でプレゼントするのにチャンス宛てに送りつけて貰うエピソードのためです。そこで箱を開けた時に偶然目にしたフェザーズに、赤いシャツに合う下着と揶揄われます。この赤いシャツはまた、フェザーズに恋心を抱かせる男のおしゃれ度を上げる効果もあります。そして、二人が一夜を共にしたあと、チャンスのシャツは鮮やかな青のシャツに変わり、決戦を控えた保安官の気の引き締めを想像させます。対してフェザーズは前半山吹色のシャツを着ていて、デュードの髭を剃って上げるシーンから白いシャツになりチャンスを誘惑します。まるであなたの色に染まりたい清純さを装うように。そして、コロラドと共にチャンスの窮地を救う時は、濃いめの赤だいだい色のシャツになっています。恋を成就した女性の一番美しい姿。そして、最後は黒い下着姿のショーダンサーの過去を白状して迫ります。この女の恐さと、風紀紊乱で逮捕するとチャンスに言われて大粒の涙を流すフェザーズのうれし泣きの女心の表現が凄い。黒い下着を脱いだ身体には赤いガウン。窓から投げ捨てられた黒い下着がスタンピーの足元に落ちるオチがまたいい。前半の赤い下着とエピローグの黒い下着が綺麗に繋がっています。音楽は大家ディミトリ・ティオムキン(1895~1979)ですが、ホークス監督はゲイリー・クーパー主演、フレッド・ジンネマン監督の「真昼の決闘」(1952)に対抗して、この西部劇を制作したと言います。その派手な音楽をここでは封印して、『皆殺しの歌』や、マーティンとネルソンの歌を邪魔しない地味な映画音楽に抑えています。これにより突然呻る銃声の音が最大限に生かされた西部劇になりました。公開当時の双葉十三郎氏の批評では、(二時間半に近い色彩長尺が痛快な銃声に満たされている)と評されています。流石プロの表現の巧さに納得です。

スタンピーを演じた名優ウォルター・ブレナンが足を引きずるのを見て、これは実際に怪我などの理由なのか疑問に思い調べると、ホークス監督の演出という事でした。完璧なキャラクターを求める監督と、それを自然に演じるブレナンの役者魂、どちらもプロの仕事です。ホークスを職人監督と称することが、少しは理解できました。パットを演じたワード・ボンド(1903~1960)は、いち早く殺される役でしたが、これが亡くなる前年の作品になりました。適役のネイサンは、「太陽は光り輝く」(1953)で好演したジョン・ラッセル(1921~1991)で、身長191㎝の長身が192㎝のウェインと並んで互角の対立でした。練られた脚本の面白さ、ホークス演出の迫力、ウェイン始め役者の演技が、娯楽西部劇として重厚に、またユーモラスにまとめ上げられた名作だと思います。

コメントする 1件)
共感した! 5件)
Gustav

4.0 典型的職人西部劇

2025年10月29日
PCから投稿

職人ハワード先輩の安定の西部劇の名作で影響も大きいようですが、やはり駅やハイヌーンやクレメンタインなんかに比べるとドラマと映像の深みが違います。
勿論、水準を凌駕した作品であることは確かですが、中盤までは冗長でメリハリ不足です。
最後に至る抒情的な緊張感は実に西部劇らしい展開です。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
越後屋

3.5 映画終活シリーズ

2025年4月27日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

単純

1959年度作品
久しぶりのウエスタン活劇鑑賞
前回の「史上最大の作戦」に引き続きジョン・ウェイン主演作やけど
演技がどれも一本調子やな

コメントする (0件)
共感した! 3件)
あきちゃん

4.0 これがあの有名な映画か

2025年2月28日
PCから投稿
ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする (0件)
共感した! 3件)
KIDOLOHKEN