ナバロンの要塞

劇場公開日:

解説

第二次大戦下におけるエーゲ海域でのイギリス軍とドイツ軍の戦いを描いた戦争映画。アリスティア・マックリーンの小説をカール・フォアマンが脚色、「北西戦線」のJ・リー・トンプソンが監督に当たった。撮影はオズワルド・モリス。音楽はディミトリ・ティオムキン。出演するのはグレゴリー・ペック、デヴィッド・ニヴン、アンソニー・クイン、スタンリー・ベーカー、イレーネ・パパス、ジェームズ・ロバートソン・ジャスティススなど。製作カール・フォアマン。

1961年製作/158分/アメリカ
原題:The Guns of Navarone
配給:コロムビア
劇場公開日:1961年8月15日

ストーリー

第二次大戦下の1943年、エーゲ海は独軍の制圧下にあり、ケーロス島の英軍2000の生命は全滅の危機にあった。英軍救出の試みは度々なされたが、途中に睨みをきかすナバロン島の断崖の洞窟に据えられた独軍の2門の大砲のため失敗した。そこでジェンセン代将の幕僚フランクリン少佐(アンソニー・クェイル)は1つの提言をした。ナバロン島南部の400フィート絶壁をよじのぼり潜入するというのだ。直ちに必要人員が集められた。登山家のキース・マロリイ大尉(グレゴリー・ペック)、元ギリシャ軍大佐スタヴロウ(アンソニー・クイン)、科学者のミラー伍長(デヴィッド・ニヴン)、ナイフの名人ブラウン無線兵(スタンリー・ベイカー)、ナバロン島生まれのパパディモス1等兵(ジェームズ・ダーレン)の5人を率いたフランクリン少佐は漁船に乗り嵐の夜、ナバロン島に向った。少佐は負傷したが一行は絶壁をよじのぼり島に上陸した。これを知った独軍の追求を逃れ一行は要塞めざして潜行する。山頂の古城で一行は男装の2人の女を捕まえる。1人はマリア(イレーネ・パパス)といいパパディモスの姉だった。もう1人の若い女はアンナ(ジア・スカラ)。2人ともレジスタンス運動に従っていたのだが、アンナは1度独軍に捕まり拷問され口がきけなくなっていた。一行は彼女たちを加え進んだが、マンドラコスの町で全員捕まった。しかしスキを見てゲシュタポの隊長を捕らえ、これを囮りに独軍の制服を着込み脱出した。しかし重傷のフランクリン少佐はそこへ残された。いよいよ要塞攻撃の日、一行は要塞の間近かに迫った。要塞破壊と同時にケーロス島の英軍救出に向かう英国艦隊が要塞の下を通ることになっている。猶予は許されない。ところが、いざというとき、爆弾のヒューズが何者かの手で破壊されていることを発見した。スパイがいる。それは意外にもアンナだった。彼女にほのかな愛情を抱いていたマロリイが彼女を銃殺した。一方、残されたフランクリン少佐は拷問で一切を白状、独軍はあわてて海岸線に防備を固めた。要塞攻撃の手はずが整った。スタグロウとパパディモスが要塞近くの町で騒動を起こす。そのスキにマロリイとミラーが大砲に爆薬をしかける。そしてアンナとブラウンがモーターボートを奪って、断崖の下で逃げてくる4人を助けるというのだ。すべてはうまくいった。駆逐艦が近づいたとき2門の大砲は轟然と爆破した。しかし、ブラウンとパパディモスは帰らなかった。そしてスタヴロウとアンナは再び抵抗運動をするため島へ戻った。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第34回 アカデミー賞(1962年)

受賞

特殊効果賞  

ノミネート

作品賞  
監督賞 J・リー・トンプソン
脚色賞 カール・フォアマン
編集賞 Alan Osbiston
作曲賞(ドラマ/コメディ) ディミトリ・ティオムキン
音響賞  

第19回 ゴールデングローブ賞(1962年)

受賞

最優秀作品賞(ドラマ)  
最優秀作曲賞 ディミトリ・ティオムキン

ノミネート

最優秀監督賞 J・リー・トンプソン
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映画レビュー

4.5一本のタバコを吸い合う、男臭さ

2024年3月28日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

いやあ、いい映画だった。題名しか知らなかったが、初めて観た。

男の友情と、任務(仕事)。

細部までよくできており、これぞ映画。

グレゴリーペックだからこそ、全体に、柔らかみがある。

敵の要塞を爆発した後、爆発専門の教授出身の軍事が、

「これで、2千人が救われた。」さらっと言う。

こんな感じで、米国は、原爆も正当化してるのだろう。

敵国の死は、見えてない。戦争の狂気。

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藤崎敬太

4.0責任ある大人の姿

2024年3月25日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

この映画は「大人の責任」をテーマにしていると思えた。ナバロンの要塞爆破を無理だと分かりつつも、自分に責任は及ばないからと部下に命じる上司のジェンセン准将。作戦遂行のため、負傷したフランクリン少佐に嘘の情報を教えるマロリー大尉。火薬の隠し場所を尋ねながら「隊長は立場上答えられないだろう。その点君ら(部下)は楽だ。」と言うドイツ軍将校。自分が人を殺したくないからとスパイ殺しを人任せにするミラー伍長。彼らの言動から、大人が背負うべき責任とは何かを伝えてくる映画だと思う。特にマロリー大尉は部隊長なので、自分の判断が作戦の成否や部下の命、そして自分に対する批判に関わってくる辛い立場にいる。責任ある判断を下していく彼の姿は、一見すると冷酷な様に見える。しかし、それは私情を捨てて長期的な目線でベストな判断を下そうとした結果であって、大人のあるべき姿に思えた。

ストーリーは昔の映画らしく冗長だが、このテーマに気づいてからは面白いと思えた。沈没する船から荒波の中に脱出したり、豪雨の中崖によじ登ったりと、どうやって撮影しているのか知らないが結構体を張っていて、そこにリアリティが感じられた。

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根岸 圭一

4.0冒険活劇の戦争映画の代表的大作にある、映画的な迫力と人間ドラマのバランスの妙

2024年3月25日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、TV地上波

悲しい

怖い

興奮

世界中で大ヒットした「戦場にかける橋」の脚本家カール・フォアマンが製作も兼ねて作り上げた冒険活劇ジャンルの戦争映画の傑作。原作は冒険小説家アリステア・マクリーンの代表作。数多く映画化されている中で記憶にあるのが、「八点鐘が鳴るとき」「荒鷲の要塞」「デンジャー・ポイント」など。監督が「北西戦線」「隊長ブーリバ」のJ・リー・トンプソン。その昔テレビ鑑賞だったが夢中になって映画を観ていた中学時代の想い出の作品です。もうあれから50年以上も経ってしまい、流石にラストの大爆発と大砲落下カットは覚えていても、それ以外のアクションシーンは忘れてしまっていた。記憶が蘇ったのが、映画中盤の結婚披露宴兼ねた野外宴会の場面。ナチス・ドイツ占領下のマンドラコス村の人々の中に紛れ込んだマロリー大尉たちが、何故か身元が見抜かれドイツ軍に取り押さえられる。悪天候や危険地帯を潜り抜け敵の追跡から逃げ切って一安心したところでの急展開が、クライマックスの期待感を盛り上げます。

この映画が優れているのは、様々なアクションシーンをそれこそ手を変え品を変えて見せてくれることと、その一難去ってまた一難の連続する緊張感が、途中に挟んだ特殊作戦メンバーの背景や考えの齟齬の人間ドラマを経て変化していく面白さにあります。先鋭部隊6名が乗ったぼろぼろの漁船が嵐に遭うシーンは迫力満点で、ミニチュアと実写の編集も違和感なく、特に難破船と化し座礁するシーンは圧巻です。横殴りの波を受けながらの撮影の本気度と、最後大波が襲い掛かるスペクタクルの見応え。アカデミー特殊効果賞受賞に値する名シーンの1つです。続いて400フィートの絶壁を登るスリリングなシーンでは、滑落の危機に瀕したマロニー大尉をスタブロウ大佐が片手で支える緊迫感。このごく普通にある演出も、嵐のシーンでマロニー大尉がスタブロウ大佐との因縁を隊長のフランクリン少佐に告白していることで、意味深い表現になっています。更にフランクリン少佐が骨折するアクシデントが後半の前途多難な不安感を増幅することになり、色んな局面を経て最後のクライマックスを迎える脚本が実に素晴らしい。勿論原作あっての脚本ですが、映画的に巧みに練られているのには素直に感服します。古代ギリシャ遺跡で地元レジスタンスの女性二人が登場して計8名になり、人間関係が複雑になっても其々のキャラクターが生かされてストーリーが展開する面白さは見事と言っていい。

ドイツ軍の軍服に着替えたメンバーが教会に潜んで最終作戦を練る場面が良いですね。瀕死のフランクリン少佐をドイツ軍に預けて任務遂行を最優先にするマロリー大尉に対して、その非情さを非難するミラー伍長。フランクリン少佐との経緯から軍人として割り切る冷酷さも持つようになった変化を見せます。ミラー伍長が主張する台詞、“何をしても、戦争は終わらない。人類が絶滅するまで戦争は続く”。だから今大切な人を救うのが私の役目なのだと言いたいのだろう。爆薬の専門家であり学者でもあるミラー伍長の価値観が窺われます。一人その場を離れるマロニー大尉の後を追うレジスタンス闘志アンナ。この場面があって、決行当日のスパイ発覚の場面が生きています。マリアも騙し続けていたアンナの複雑な境遇に驚きを隠せないメンバーの葛藤。戦争の地獄は戦場だけではないという事でしょう。この場面の衝撃的な決着と、マロニー大尉とミラー伍長の立場が明確になるところもストーリーとして難攻不落の要塞壊滅の最後のクライマックスを盛り立てる効果になっています。クライマックスは、007映画に匹敵するサスペンスとアクションの連続で、起爆装置を仕掛けたエレベーターが何度も上下するスリルも巧い。そしてケロス島に向かう駆逐艦6隻の本物の迫力と存在感がカットバックされる映画的な醍醐味。犠牲者を出しながら逃げ切ったスタブロウ大佐を海から引き揚げるマロニー大尉のカットは、冒頭の絶壁シーンに対応したものになっています。

現代では娯楽映画として戦場を舞台にする事が時代遅れになってきています。ミラー伍長のいう悲観論が現実的になっては仕方ないことですが、それでも戦争の醜さが込められた映画なら存在価値は無くならないでしょう。この映画の面白さに、戦争をする人間の愚かさを感じ取れば充分評価していいと思います。脚本と演出の充実度、グレゴリー・ペック、デヴィッド・二ーヴン、アンソニー・クィン、スタンリー・ベイカー、アンソニー・クエイル、ジェームズ・ダーレン、イレーネ・パパス、ジア・スカラ、そしてリチャード・ハリスと演技派役者の揃い踏みは、この時代の最高のレベルの高さを見せます。面白く悲しくも圧倒される娯楽戦争映画の傑作でした。

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共感した! 7件)
Gustav

3.0頭空っぽにしてみるならいいが……

2024年2月17日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

 ドイツ軍の要塞に潜入してぶっ壊す話

 とにかくキャストとアクション(主に爆破)が豪華で、画面に華やぎがありました 個性的なキャラクターもそれぞれのプロフェッショナルでかっこよかったです

  ただ、すごく燃える展開なのに、未回収の伏線がほっとかれたり、人間関係のいざこざが最後までほっとかれたり、もやもやする部分が残って楽しみ切れませんでした

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