ドレッサー

劇場公開日:

解説

シェイクスピア劇団の名優と彼に長年従えているドレッサー(衣裳係兼付き人)の舞台公演をめぐる確執を描く。製作・監督は「銀河伝説、クルール」のピーター・イェーツ、脚本はロナルド・ハーウッド、撮影はケヴィン・パイク、音楽はジェームズ・ホーナー、編集はレイ・ラヴジョイ、ブロダクション・デザイナーはスティーブン・グライムスが担当。出演はアルバート・フィニー、トム・コートネイ、エドワード・フォックス、ゼナ・ウォーカー、アイリーン・アトキンズ、マイケル・ガウ、キャスリン・ハリソンなど。

1983年製作/イギリス
原題または英題:The Dresser
配給:コロムビア
劇場公開日:1984年8月10日

ストーリー

1942年l月。第二次大戦下のイギリス、ロンドン郊外のある劇場。出しものは『オセロ』。演じるのはシェイクスピア劇団の座長(アルバート・フィニー)。そして、その舞台裏ではドレッサー(衣裳係兼付き人)のノーマン(トム・コートネイ)がせわしなく動き回っている。この座長は、サーの称号が与えられているほどの名優だが、全て目分の思い通りにならないと気がすまない文字通りワンマン座長だ。翌日、劇団は次の公演地であるブラッドフォードへと旅立った。その日の午後、一行は目的地に到着するが、座長は、有名なグランド劇場が空襲にあい焼け落ちてゆくのを目のあたりにして、精神錯乱の状態に陥った。通りがかったノーマンが、座長の異常に気づき病院に送る。今夜、何としても『リア王』を上演しなければならない……。ノーマンは焦った。刻々と迫る開演時間に、コーデリア役である座長夫人(ゼナ・ウォーカー)は茫然となった。そして、二十年近く劇団に打ち込んできた舞台監督のマッジ(アイリーン・アトキンズ)らは協議の結果、公演中止という結論を出した。とその時、病院をぬけ出して来た座長がそう白な顔で現われた。必死になって『リア王』の仕事をさせようとするノーマン。しかし座長は、虚脱状態から抜け出すことができず、空襲におびえる哀れな老人のままだ。団員たちは不安をつのらせ、特にオクセンビー(エドワード・フォックス)は、座長が最も苦手とする男で、冷ややかな視線を座長になげかけていた。相変わらず不安定な状態が続き、座長はまちがえて『オセロ』の扮装をしてしまう始末。開演30分前。ノーマンは孤軍奮闘で、どうにか準備をすませ、あとは開演のべルをまつばかりとなる。遠くで鳴りひびく空襲警報のサイレン。やがて『リア王』の幕が上がる。それは座長にとっては二二七回目の『リア王』だ。いざ舞台に立った座長は、全身の力をふりしぼって、いつになく力のこもった『リア王』を演じきるのだった……。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第41回 ゴールデングローブ賞(1984年)

ノミネート

最優秀主演男優賞(ドラマ) トム・コートネイ
最優秀主演男優賞(ドラマ) アルバート・フィニー
最優秀監督賞 ピーター・イエーツ
最優秀脚本賞 ロナルド・ハーウッド
最優秀外国語映画賞  
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映画レビュー

4.0フィニーとコートネイの演技比べがスリリング

2020年5月19日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

「ブリット」「ジョンとメリー」「ホットロック」「ヤング・ゼネレーション」しか観ていないが、これはピーター・イエーツ監督の傑作だと思う。シェークスピア一座の座長とその付き人の離れられない関係を舞台劇にしたロナウド・ハーウッドの脚本をイエーツ監督が見事に演出する。それまでの作風から想像できない内容に驚きもあるが、イギリス演劇界の底の深さを痛感することになる。精神不安定で我儘な老優を演じたアルバート・フィニーの円熟の怪演、貴族の執事の様に献身するゲイの付き人兼マネージャーを演じるトム・コートネイの名演。それに、舞台監督役のアイリーン・アトキンスの演技が素晴らしい。バックステージを題材にした映画の白眉。

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Gustav

3.0 ロンドンでは「オセロ」を演じていたが、場所を変え、いきなりの「リ...

2018年11月2日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 ロンドンでは「オセロ」を演じていたが、場所を変え、いきなりの「リア王」だ。公演が危ぶまれていたが、無理をして楽屋へやってきたサー。座長としての立場より役者根性のたまもの。だけど、「ノー、ノー、ノー、オセロじゃない~」とノーマンが目撃したのはサー前回のメイク。錯乱は続く・・・「227回も演じた役なのに最初の台詞を思い出せん・・・」と痛々しいほど。

 熱演がスタート。途中、よからぬ方向に進むかと不安だったが、観客のアプローズは本物だった。やっぱり長年シェークスピア一筋に演じてきただけのことはありました。リア王そのものよりも最後の演説が良かった。戦争にもかかわらず、世界に誇れる戯曲家を称えることは愛国心あふれる姿だったなぁ。

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kossy