タワーリング・インフェルノ

劇場公開日:

解説

サンフランシスコにそびえ立つ地上138階の超高層ビルの落成式の日、発電機の故障から発火、たちまちビルは炎の地獄と化した。製作はアーウィン・アレン、共同製作はシドニー・マーシャル、監督はジョン・ギラーミン、アクション・シークエンス監督はアーウィン・アレン、脚本はスターリング・シリファント、原作はリチャード・マーティン・スターンの「ザ・タワー」、トーマス・N・スコーティアとフランク・M・ロビンソン共著の「ザ・グラス・インフェルノ」、撮影はフレッド・コーネカンプ、アクション・シークエンス監督はジョセフ・バイロック、音楽はジョン・ウィリアムス(2)、編集はハロルド・クレスとカール・クレスが各々担当。出演はポール・ニューマン、スティーヴ・マックィーン、ウィリアム・ホールデン、フェイ・ダナウェイ、フレッド・アステア、スーザン・ブレークリー、リチャード・チェンバレン、ジェニファー・ジョーンズ、O・J・シンプソン、ロバート・ヴォーン、ロバート・ワグナー、スーザン・フランネリー、オーマン・バートンなど。

1974年製作/165分/アメリカ
原題または英題:The Towering Inferno
配給:ワーナー・ブラザース映画=20世紀フォックス
劇場公開日:1975年6月28日

ストーリー

サンフランシスコの空にそびえ立つ138階建ての世界一高い超高層ビル“グラス・タワー”が落成の日を迎えた。設計者のダグ・ロバーツ(ポール・ニューマン)とオーナーのジム・ダンカン(ウィリアム・ホールデン)は、屋上に立って眼下にひろがる市の光景を見下ろしていた。ロバーツは疲れていた。一刻も早くコンクリートの大都会からのがれ出て、大自然のふところに飛び込みたかった。工事主任のギディングス(ノーマン・バートン)と打合わせをすませたロバーツは婚約者のスーザン・フランクリン(フェイ・ダナウェイ)と久しぶりに二人だけの時間をもった。惨事は、そのときすでに始まっていた。“グラス・タワー”の地下室にある発電機が故障したため主任技師のキャラハンが予備の発電機を始動させたとたんショートし、81階にある物置室の配線盤のヒューズが火を発し、燃えながら床に落ちた絶縁体の破片が発動機のマットをくすぶらせ始めたのだ。保安主任ハリー・ジャーニガン(O・J・シンプソン)の緊急報告を受けたロバーツは配線工事が自分の設計通りに行われていないのに憤然として、落成式の一時中止をダンカン企業の広報部長ダン・ビグロー(ロバート・ワグナー)に申し入れたが、ダンカンは拒絶した。しかしそのとき81階では火が大きく拡がりはじめていたのだ。ロバーツはダンカンの義理の息子であるロジャー・シモンズ(リチャード・チェンバレン)に会い、ビルの配線工事を担当した彼の配慮不足を責めたが、あとの祭りだった。一方、火災の発生をまだ知らない“グラス・タワー”の借間人たちは落成式パーティの準備に浮き足立っていた。1階から80階までがオフィス用、それから上は住宅用に作られたこのビルには、すでにさまざまな人が住みついて、たとえば90階のハーリー・クレイボーン(フレッド・アステア)の職業は株専門のサギ師だ。彼はおなじ階に住む富豪未亡人リゾレット・ミューラー(ジェニファー・ジョーンス)に早くも眼をつけ、今夜のパーティにエスコートし、うまく話をまとめて一儲けしようとしていた。外部からの招待客もそうそうたる顔ぶれで、上院議員ゲイリー・パーカー(ロバート・ヴォーン)、サンフランシスコ市長ロバート・ラムゼイなどがいた。入口のリボンが市長の手によって切られると、人々は135階のプロムナード・ルームへ直行し、ビルの全てのライトがともされ“グラス・タワー”の全容は夜空にクッキリとあらわれた。だが81階の物置室から出火した火は拡がり、ロバーツは消防署に急報した。連絡を受けた消火隊は隊長のマイケル・オハラハン(スティーヴ・マックィーン)の統率のもと、ほどなくビルに到着した。彼はただちにロバーツと“グラス・タワー”の設計図を検討した上、79階に司令センターを設置、ダンカンに緊急避難を令じた。81階の火が他に移り始めてエレベーターにも危険が迫っていることを察知したオハラハンは展望エレベーターを利用するよう令じたがすでに大混乱が始まっていた。地上からの救援だけでは間に合わぬことを知ると、オハラハンは海軍のヘリコプターに空からの救援を依頼したが、強風のためビルに近づくことができず、かろうじて近づいた一機もビルに激突して炎上した。“グラス・タワー”は今や完全にひとつの巨大な溶鉱炉と化した。隣りのビルからのワイヤーの救命籠作戦もロジャー・シモンズやパーカー上院議員の犠牲者を出し、いきずまっていた。あと15分で火がプロムナード・ルームに届くというとき、耐火服に身をかためたオハラハンはヘリで屋上にたどりつくと、ロバーツと協力してプロムナード・ルームのちょうど真上にある巨大な貯水槽を一挙に爆破、放水させることにした。百万ガロンに近い水の奔流で、執拗に攻めのぼってくる炎を消しさろうというのだ。ほとばしる水力に押し流されて死ぬ者も出たが、猛威をふるっていた炎はついにおさまった。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第47回 アカデミー賞(1975年)

ノミネート

作品賞  
助演男優賞 フレッド・アステア
作曲賞(ドラマ) ジョン・ウィリアムズ
美術賞  
音響賞  

第32回 ゴールデングローブ賞(1975年)

受賞

最優秀助演男優賞 フレッド・アステア

ノミネート

最優秀助演女優賞 ジェニファー・ジョーンズ
最優秀脚本賞 スターリング・シリファント
最優秀主題歌賞
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映画レビュー

4.5どこを向いて仕事をしているか?

2023年8月18日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

子供の頃よくテレビで放映されていた。親父が「たわ~りんぐぅインふぇるのっ」と題名を気に入ってよく連呼していた。その映画をまさか映画館で観れる日が来るなんて! ※「午前十時の映画祭」に感謝。

当時は子供だったということもあり、人がビルから落ちるシーンや火だるまになるシーンばかり印象に残って全く気付かなかったが、この映画、、「優れた群像劇」じゃん!

娘婿の憤りが今ならよくわかる。
設計書通りでない安価な材料に差し替えたのは自分の欲のためもあるけれど、恒常的に義父(=社長)からコストカットの圧力をかけられていた、という背景があったんだな。社長からしたら「こんなことをしろとは言ってない!」だろうけど。(なんだか、いま巷を賑わせている「BIG MOTORの不正」とオーバーラップする。。)どういうリスクがあるかという想像を働かせず「上から言われたから。」という理由だけでやってしまうところが、幼稚で、職務に対する使命感の欠如がみてとれる。義父への意趣返しの面もあったのかな。

隊長かっこいい。。男が惚れる男。
使命のために、己が為すべきことをやる。
あと密かに保安主任も!パーティ中をまったく躊躇せず警報作動!使命に忠実。猫も救出してるし!

気弱な詐欺師と白いドレスの女性。詐欺師とわかっていながら優しく対峙する女性。あんないい人が、、、(思わず目をつむった。)魂が抜けたようになった詐欺師の顔。結ばれて欲しかった。。

設計屋のダグ。設計書通りの材料でやらなかった娘婿を厳しく糾弾。そして必死に人命救助。でもね、、「施工段階のチェックを行わずバカンスに行く」「そもそも7階までしか完全消火できないのに超高層を設計」と実は罪深い。なんとかリカバリーすべく、必死に火災を止めに動いたり、人命救助に奔走する点は救われるが、あまりに犠牲は大きい。そういう悔恨のシーンがラストにもう少しあったらよかった。

「設計屋め」
「設計屋は高さを競い合う」
「今にこんなビルで1万人の死者が出るぞ」
「それまで俺は火と闘い、死体運びさ。安全なビルの建て方を聞かれるまで。」

お前はどこを向いて仕事をしているか?
利益出さないといけない民間であっても、大義を忘れてはならない。
そう戒めているように感じた。

※崩壊した階段からの脱出作戦、救命籠作戦、展望エレベーター吊り下げ作戦、セメントで固められた非常口破壊作戦、貯水槽爆破作戦、、、。
こんなに息つく暇なく展開するとは。50年前の映画なのに色褪せずにハラハラする。
本当に映画史に燦然とそびえる「金字塔」だ。

コメントする 3件)
共感した! 20件)
momokichi

4.5【”全世界の消防士に捧ぐ。”今作は、電気配線の手抜き工事による減災の人為的瑕疵と初動の遅れが惹き起こした”ガラスの塔”で起きた大惨事を、臨場感溢れる描写で描き出したパニック映画の逸品である。】

2024年9月26日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:TV地上波、VOD

悲しい

怖い

興奮

ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする 2件)
共感した! 14件)
NOBU

4.5古くて長い作品だが面白かった リアリティが凄まじく映画ではなく実際...

2024年9月5日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

古くて長い作品だが面白かった

リアリティが凄まじく映画ではなく実際の映像なのではないかと思うほど

合成は使っていれどCGは全く使っていなく、火や爆破はまじでやってる
多少しょっぱくても本物には敵わない

役者たちの演技、カメラワーク、演出、構図、構成、展開
どこをとっても追求されたかのような作品

冒頭2、30分は退屈だったがそこからは緊張と緩和の連続

役者たちは本当に熱そうで危なくて手に汗握ってしまう

ストーリー的にも実際ありそうな話でリアリティが増す
コスト削減で安全性を損なう 目の前の利益やメンツが大事で客を危険にさらす
技術者の提言も権力でねじ伏せる
働いたことがあれば似たような経験をしたことあるであろう

時代や国が違ってもそこは同じなのだと

消防隊長の冷静で素早く的確な判断
設計士の行動力
二人が登場するシーンはもちろん
なんとか助けようと動く人たちのかっこよさは輝いて見える

ただ、リアリティがすごすぎるが故に落下や焼死してしまうシーンはスプラッタ要素などはないが精神的にきてしまう
そういうところではオーバーな表現や演技をしないのもこの映画ならでは

出てくる機器等は時代を感じたがそれ以外全く時代を感じさせない素晴らしい作品だった

コメントする (0件)
共感した! 0件)
高い坂

5.0The Best of パニック映画、ということで。

2024年8月1日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

悲しい

怖い

1974(日本は1975)年公開のアメリカ映画。
ワーナーブラザースと20世紀フォックスが共同で製作・配給した、歴史に残る超高層ビル火災パニック映画。

アカデミー賞8部門でノミネートされ、撮影賞、編集賞、歌曲賞を受賞した。

監督:ジョン・ギラーミン
脚本:スターリング・シリファント

主な配役
【消防士マイケル・オハラハン】:スティーブ・マックイーン
【設計士ダグ・ロバーツ】:ポール・ニューマン
【ダグの恋人 スーザン・フランクリン】:フェイ・ダナウェイ
【ビルオーナー ジェームズ・ダンカン】:ウィリアム・ホールデン
【詐欺師ハーリー・クレイボーン】:フレッド・アステア

当時はパニック映画のブームだった。

本作の前には、
『日本沈没』、『ポセイドン・アドベンチャー』
後には、
『大地震』、『ジョーズ』
など名作が目白押しだ。

パニック映画は、
自然災害・人災・事故などの奇禍に見舞われた人間がどのように振る舞い、どのように立ち向かうかを描くものが多く、
そのような作品は、結局のところ「人間性」をテーマにすることになる。

本作はとにかく登場人物が多い。
『遠すぎた橋』レベルだ。

◆自分の非を認めない者、
◆他人を押しのけても自分が助かりたい者、
◆世間体がとにかく大事な者、
・・・

登場人物たちのキャラ設定が非常に巧みで、
善と悪の対比がうまく描かれている。
良い意味で、ポール・ニューマンとスティーブ・マックイーンという ”ビッグスター” 頼みの映画になっていないし、だめキャラの存在がふたりを輝かせてもいる。

公開時、劇場で見たのだが、
当時は入れ替え制ではないので、一度入場すると何回でも見ることができた。土曜日の夜だとオールナイトだ。

つまり、理解できるまで繰り返し見ることができたのだ。
これは大きい。

この作品を超えるパニック映画を作るのは並大抵なことではないし、
今後も時代を問わず、なにかを我々に問いかけ続けてくれるだろう。

文句なし☆5.0

コメントする 2件)
共感した! 14件)
Haihai