黄昏(1981)

ALLTIME BEST

劇場公開日:

解説・あらすじ

名優ヘンリー・フォンダと実娘ジェーン・フォンダが父娘役で共演し、老夫婦とその娘が織りなす心の交流を描いたヒューマンドラマ。アーネスト・トンプソンの同名戯曲を基に、「ローズ」のマーク・ライデル監督がメガホンをとった。引退した大学教授ノーマンと妻エセルは夏季休暇を過ごすため、ニューイングランドの湖畔の別荘にやって来る。ノーマンの80歳の誕生日、長年疎遠になっていた一人娘チェルシーが、婚約者と彼の息子ビリーを連れて現れる。偏屈なノーマンは彼らに冷たく接し、チェルシーはそんな父親にいら立ちを隠しきれない。チェルシーと婚約者はヨーロッパ旅行へと出かけ、両親はその間ビリーを預かることになるが……。老夫婦をヘンリー・フォンダとキャサリン・ヘプバーンが演じ、1982年・第54回アカデミー賞でそれぞれ主演男優賞と主演女優賞を受賞した。

1981年製作/110分/アメリカ
原題または英題:On Golden Pond
配給:CIC
劇場公開日:1982年4月3日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第6回 日本アカデミー賞(1983年)

ノミネート

外国作品賞  

第39回 ゴールデングローブ賞(1982年)

受賞

最優秀作品賞(ドラマ)  
最優秀主演男優賞(ドラマ) ヘンリー・フォンダ
最優秀脚本賞 アーネスト・トンプソン

ノミネート

最優秀主演女優賞(ドラマ) キャサリン・ヘプバーン
最優秀助演女優賞 ジェーン・フォンダ
最優秀監督賞 マーク・ライデル
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映画レビュー

3.0性差が親子関係に影響しているように思えた

2025年6月18日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

 ヘンリー・フォンダ演じるノーマンは、女心を理解して自分から歩み寄っていくような努力をしない人生を送ってきたのだと思う。それが娘との関係が悪く、孫との関係が良い理由な気がする。同性だと根本的な気質や志向が似ていることが多いので、相手の考えが理解しやすく気が合いやすい。男の子は何も教えなくても戦いとか乗り物が好きで、女の子はおままごとが好きみたいな、性差の話をしばしば聞くことがある。やはり男女間の性質の違いは大きなものがあると思う。それがここにも出ていて、だから孫とは釣りを通じて仲良くなれた。

 それでも妻との関係が良いのは、妻がぶっきらぼうなノーマンの本当の良さを理解し、妻の方から歩み寄る努力をした結果に思える。だが、親子の場合そうはいかない。なぜなら子供が親の元で暮らしている以上親の方が常に優位な立場だし、子供に親という大人を理解することを求めるのも無理がある。ノーマンは自分から子供に歩み寄っていくようなことはしなさそう。そういう昔からの積み重ねが、父ノーマンと娘の間に溝が生まれた理由だろう。だが、大人になり自立し、対等な関係で程よい距離感を持って接するようになったのが、関係改善の一助になったように見える。

 家族愛を描いた良い映画だったと思うけれど、親子の関係改善の描き方はあまり上手く無いと思った。まず、ノーマンと娘の間に過去何があったのか明確なエピソードが無い。二人の関係改善も、孫の存在という理由があったにせよ、急速過ぎてリアリティに欠けているように感じた。この辺をもっと丁寧に描いていれば☆4にしたな。

 あと当たり前だけど『怒りの葡萄』とか若い頃のイメージしかないヘンリー・フォンダが高齢者になっていて驚いた。

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根岸 圭一

5.0タイトルなし(ネタバレ)

2025年5月19日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
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共感した! 4件)
マサシ

5.0しみじみと、いい映画だなぁと。

2024年10月25日
PCから投稿

父娘が本当の親子共演ですが、
それ以上に
主役二人が本当に数十年連れ添ってる老夫婦にしかみえない。

親子の確執の経緯とか、蛇足になりかねないところは極力省いて
(ヘンリー・フォンダの偏屈爺さんっぷりで十分伝わる)
109分に纏めてあるので中だるみもありません。

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共感した! 3件)
うまぶち

5.0【”父と娘の確執の氷解。”人生の黄昏の時期を迎えた老夫婦を演じる、名優ヘンリー・フォンダとキャサリン・ヘプバーンの畢生の演技が沁みる作品。】

2024年7月24日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

幸せ

■ある美しい湖畔の別荘が舞台。
 バカンスを過ごす高齢のノーマン(ヘンリー・フォンダ)と妻・エセル(キャサリン・ヘプバーン)のもとに、娘のチェルシー(ジェーン・フォンダ)が婚約者のビルと連れ子のビリーとやってくる。
 だが、気難し屋のノーマンは娘とその婚約者に冷淡な態度を取り、二人はヨーロッパ旅行に出かけ、連れ子のビリーを旅行の間だけノーマン夫妻に預ける。

◆感想

・老いた両親を持つ男には、やや複雑な気持ちになってしまう作品である。資料を見ると、この作品制作の際も、公開後も名優の父娘が、お互いの関係性を良き状態にしたいという思惑があったようである。
 今作では、その思惑が最良の形で具現化されていると思う。
 特に、ヘンリー・フォンダが演じる老いたプライド高き男の自身の老いへの戸惑いを隠せない表情や姿が切ない。

・それにしても、今先で描かれているように、孫と祖父母の関係は何故に良好なものになり、潤滑油になるのだろうか。
 私事で恐縮であるが、私と母方の祖父母との関係もそうであった。
 気難しかった母方の祖父母は、私が初孫だった事も在るだろうが、とても可愛がってくれて小学生の時には毎年、夏休みはまるまる一カ月祖父母の家に滞在し、王様のように振る舞っていたモノである。
 後年、弟や他の孫たちから恨み言を聞かされて、閉口したモノである。

・今作でも、チェルシーの婚約者のビルと連れ子のビリーが、気難し屋のノーマンと共に釣りに出かけ、彼の心を解して行く様が見事に描かれている。

■今作が素晴しいのは、高齢のノーマンと妻・エセルとの深い愛の描き方であろう。
 二人には熟年離婚などと言う言葉は全く当てはまらず、お互いを尊重し、思いやる姿が美しく描かれている。
 それは、二人が若い頃から、お互いを大切に想い、相手を尊重してきたからであろう。私も家人と、今作の二人の様な齢の重ね方をしたいと思ってしまったモノである。

・ノーマンとの確執を抱える娘チェルシーが、確執を乗り越えて抱擁するシーンは美しい。
 父に認められたい思いを抱えつつ、それに反発する気持ちもあったがために距離が会った二人は、チェルシーがノーマンの前でそれまで出来なかった後ろ回転をして湖に飛び込んだ事で、徐々に氷解していくのである。

<今作は人生の黄昏を迎える老夫婦が、それを受け入れつつ美しき湖畔で過ごす中で、確執のあった娘と父との関係性が良好になって行く様が、抑制したトーンで描かれている。
 そして、二人を支える老いた夫の身体を心配しつつ、献身的な愛を捧げる明るい妻の姿が作品に温かき趣を与えている。
 今作は、稀なる名品であると私は思う。>

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NOBU