第三の男

ALLTIME BEST

劇場公開日:2020年8月21日

解説・あらすじ

イギリス人作家グレアム・グリーンのオリジナル脚本を名匠キャロル・リードが映画化したフィルムノワール。第2次大戦終戦直後、米英仏ソの四カ国による分割統治下にあったウィーンに親友ハリー・ライムを訪ねてきたアメリカ人作家のホリー。だが、ハリーの家に着くと守衛からハリーは交通事故で死亡したと告げられる。腑に落ちないホリーはウィーン中の関係者をあたり、真相究明に奔走するが……。出演はジョセフ・コットン、アリダ・バリ、そして謎の男ハリー・ライムにオーソン・ウェルズ。カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞。1949年製作で、日本では52年に劇場公開。2020年8月、人気声優による名画吹き替えプロジェクト「NEW ERA MOVIES」で新たに制作された吹き替え版(ホリー・マーチンス役=平田広明/ハリー・ライム役=鈴村健一/アンナ・シュミット役=本田貴子)で公開(モービー・ディック配給)。

1949年製作/105分/G/イギリス
原題または英題:The Third Man
配給:モービー・ディック
劇場公開日:2020年8月21日

その他の公開日:1952年9月16日(日本初公開)、1976年1月

原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。

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写真:Album/アフロ

映画レビュー

5.0 人類の宝物のような映画

2025年12月11日
PCから投稿

物語の内容としては、わりかし普通のミステリーではないかと思う。このようなミステリー映画はいっぱいあるのであって、特別だと思わない。しかし、この映画は特別だ。何か・・映画から伝わってくる雰囲気。・・・それは音楽の影響ばかりでもない。オーソンウェルズという俳優の影響ばかりでもない。写真の面白さばかりからくるものでもない。戦後というテーマだけからくるものでもなければ、奇妙な三角関係からだけから醸し出されているものでもない。・・映画全体に漂うこの独特の雰囲気が、この映画の面白さのほぼすべてではないかと思う。とにかく映画監督の価値というものは、その人独自の雰囲気を生み出すということだと思うんですよ。これはそういう意味でとても価値ある作品でしょう。

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KIDOLOHKEN

4.5 超えられない名作、残り続ける名作

2025年10月10日
PCから投稿

戦後の混乱の残るウィーン
その影を見つめながら観賞する。
ストーリーを結末を知っていても唸る
次世代の誰も近寄れない凄さがある。

監督のキャロル・リードもあるけれど
やはりオーソン・ウェルズでしょうね。

全ては彼の存在
生かされた謎

影をうまく使った演出
それに応える立ち振る舞い
光を隠しながら生きる存在
上手いなって思う。

ラストショットのシーン
ここも超えられない。

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星組

4.5 「下に見える小さな点が死んだら何か変わるか?」

2025年8月18日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

戦後ウィーンを舞台にした本作は、サスペンス映画の枠を超えて「正義と愛の代償」「神なき世界の倫理の揺らぎ」を描いた傑作だと思います。

物語は、親友ハリー・ライム(オーソン・ウェルズ)が死んだと聞きつけてやってきた作家ホリーが、真相を追ううちに、戦後の混乱の中でペニシリンを薄めて闇市場で売り、子供たちを苦しめる犯罪に関与していたことを知る、という筋立てです。友情を守るか、正義を取るか。ホリーは最終的に正義を選びますが、それは幸福や救済にはつながらず、愛する女性アンナには拒絶され、孤独だけが残ります。

映像面では、強烈に傾いた構図(ダッチアングル)、光と影を駆使した演出、そして猫や犬、鳥といった動物のモチーフが印象的です。特にハリーが初めて姿を現す場面の光に照らされた笑顔、下水道の隙間から伸びる手、そしてラストの一本道でアンナがホリーを無視して歩き去る長回しは、映画史に残る強烈なショットとして記憶に刻まれます。

この映画が伝えているのは「正義を選べばすべてが解決する」という単純な話ではありません。正義を選ぶことは必ず何かを捨てることを意味し、そこには代償と孤独が伴うのです。戦前のように善悪が明快だった時代は終わり、戦後は神の不在のもとで、倫理が相対化された灰色の世界が広がっている。その中で人々がどのように選び、何を失うのかを鋭く描き出した作品だと思います。

・正義を選ぶ者は孤独になる(ホリー)。
・愛を選ぶ者は共犯になる(アンナ)。
・利益を選ぶ者は破滅する(ハリー)。

戦後ヨーロッパの孤独、倫理の曖昧さをここまで見事に表現した映画は稀有であり、今見ても深い余韻を残す名作だと思います。

鑑賞方法: Blu-ray (4Kリマスター)

評価: 94点

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neonrg

4.0 いい映画はいつまで経ってもいい

2025年5月16日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

70年以上も前のあまりにも有名な映画です。
曲も有名でやっぱりいい映画はいつまで経ってもいい映画です。
脚本がしっかりしているので見応え十分で
カメラ割りやアップの使い方なども素晴らしく
セリフも流れるようにたたみかけるようなところも素晴らしい。
謎の男オーソン・ウェルズが出てくるシーンは
カッコいいですよね。
古くても今でも全然通用する映画ですね。

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tom