善人サム

劇場公開日:

解説

「我が道を往く」「聖メリイの鐘」と同じく、レオ・マッケリーが製作監督した映画で「打撃王」「オペラ・ハット」のゲイリー・クーパーと「嵐の青春」「栄光の都」のアン・シェリダンが主演する。ストーリイは、マッケリーがジョン・クローラーと共作し、脚本は、ケン・イングランドが執筆した。音楽は前記のマッケリー2作品と同じく、ロバート・エメット・ドーランが作曲し、撮影は「ジェーン・エア」「聖メリイの鐘」のジョージ・バーンズが、監督した1948年作品。助演は「二重生活」のレイ・コリンズ「晩餐8時」のエドモンド・ロウ「小麦は緑」のジョーン・ローリング、その他、クリントン・サンドバーグ、ディック・ロス、ルイス・ビーヴァース等である。

1948年製作/アメリカ
原題または英題:Good Sam
劇場公開日:1949年9月

ストーリー

サム・クレイトンはボーデン百貨店の支配人であるが、善人サムと綽名されている途方もない慈善家である。彼はブッチとルルと2人の子を持ち、美しい妻のルウと楽しい家庭を持っていたのであるが、半年前からルウの腹違いの弟、クロードが食客となっている。彼が傷い軍人であるのに同情して、サムが寝室を提供したので、ルウはルルの室で、サムはブッチの室で、夜は別々に寝なければならぬ。失業者で怠け者のクロードは、食事を一緒にしたためしがない。通いの女中のクローエは、暇をもらいたいといっている。ルウは弟を追い出してくれと頼むのであるが、サムにはとても切り出せない。近眼の隣人バトラーが、ピクニックに出掛ける間際に、自動車が故障したのに同情し、サムが車を貸し手やると、バトラーは行った先で車を衝突させ、訴訟さたになる。バトラーの故障車の修繕代を、サムは支払わさせられる。店の売子の、シャーリー・メイが失恋した上にアパートの追い立てを食ったのも、サムは引き取ってやる。そういうわけで、百貨店の支配人でありながら、今だに借家住まいである。自分の家を欲しがっているルウの気持ちを察しながらも、隣人だったアダムスが、ガソリンスタンドを買う金を貸せというと、家を買うための預金をサムは残らず貸してしまう。ルウの理想的な家が格安で買える時になって、サムは当惑し、ルウは怒って泣き出す仕末である。折も折、クロードとシャーリー・メイが恋仲となる。裏庭で2人が密会しているとも知らず、ルウはシャーリー・メイの悪口をいい、早く追い出さないからこういう事になったと愚痴をいう。それを聞いたシャーリーは荷造りをして飛び出す。入れ違いに入ってきたのは、金を借りていた隣人のアダムスで、ガソリンスタンドが大金で売れたからといって、千ドルの利息をつけて借金を返しに来た。残りの金で別のスタンドを買うと言うので、クロードが雇われることとなる。ルウのあこがれの家も買えるわけである。サムは例年の通り、全市の浮浪者のために、クリスマス夜食をごちそうする企画を立て、その寄付金を銀行に預けにゆく途中、ゆき倒れを装った女を助けたばかりに、頭を撲られて金を奪われてしまう。切端つまったサムは、銀行へ行き貸し出しを申し込むと君に貸すのは危ないといって断わられる。一方ルウは新しい家に越すのだといって喜んで、古い家の家具全部を救世軍に寄付する。頭を怪我して早く帰って見ると、ちょうど救世軍が家具を受け取りに来ている所である。有頂天になって喜んでいるルウに、打ちあけかねたサムは、当てもなく町へ出て、トムの酒場でしたたか飲んで乱酔する。転宅したルウは、新しい家でごちそうをして待っている。そこへ銀行家が訪ねて来て、考え直した、サムのような人に貸さなければ金の値打がない、と事情をルウに打ちあける。百貨店のボーデン社長は、サムを支配人から副社長にしたと言って来る。吉報は山程あるのに、肝心のサムは行方不明、ルウが心配していると救世軍の楽隊の音が聞こえて来る。酔っぱらって、浮浪者と服を取り替えたサムが、救世軍女士官と肩を組み合って救世軍歌を歌いながらやって来る。ルウはうれしくてうれしくて、いつまでもいつまでも笑いが止まらなかった。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

3.0お人好しの良し悪しを描いた映画

2021年10月10日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

 お人好しな性格のゲイリー・クーパー。お金も含めお人好し。騙されたりはしないが奥さんは少し心配。彼はデパートの支配人をしている。厳しい社長とは真逆で、お客さんとは売り上げに関係なく「雑談」を聞いてあげるのであった。いつまで話に付き合ってんだよ...横で社長はイライラしながら仕方なく愛想笑いしてる。少しコメディぽいノリで、現代ならトム・ハンクス辺りが似合う役だと思う。話し相手はおばちゃんばかり。雑談でもあなどってはいけません!お偉い貴婦人かもしれないし、噂話のスピードはピカイチです。親切に対応しましょう...そんな印象を持った。
 中盤以降は徐々にコメディ色は減り、家に居ても甘えてくる (利用してくる) 人が続けて来て、奥さんはタメ息の連続。そして新しい家を検討していたのに、貯金を全て貸してしまう異常なお人好しに涙する。牧師さんが訪ねに来ても「子供に寄付してほしくて来たんでしょ」 --- 今までを考えればそう思いたくなりますよ。ここまでの善人を私は見たたことがありません。映画とはいえハッピーエンドで終わってほしいので、どうなるか気にしながら鑑賞してました。

展開としては、デパートなど楽しかった前半から家でのゴタゴタ話しばかりになり、場面転換に乏しく映像的には退屈に思える。後半やっと外出シーンになった。 何と後ろから女に殴られ金を取られてしまう。ただ、この場面は映像がないので「ながら観」してたら何のことか急展開に感じることでしょう。とにかく、今まで人に与えていた善行が報われず、自分が金を必要となる逆展開になった。「どうすりゃいいんだ」 --- 酔っぱらって初めてヤケクソになる主人公。これは予想できない流れだった。これが人生と思える。

 意図的ではなく、根っから「お人好し」なのが彼の人生を好転させた。

 社長やるじゃん! 「早くしろよ」て顔してたけど、ちゃんと評価してたんだね!

 実生活もこうでありたいが、残念ながら大なり小なり打算的に生きてるもんでしょう。難しいテーマですね。

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はむちん