戦争プロフェッショナル

劇場公開日:1968年3月16日

解説

ウィルバー・A・スミスの小説「カタンガから来た列車」を、「さそり暗殺命令」のエイドリアン・スパイズとクエンティン・ワーティが脚色、「殺しのエージェント」のジャック・カーディフが監督したアフリカのコンゴを舞台にしたスペクタクル・アクション。撮影は「特攻大作戦」のエドワード・スケイフのもと、中米カリブ海のジャマイカ島で行われ、ジャマイカ防衛軍の兵士が多数出演している。音楽は「頭上の脅威」のジャック・ルージェ、美術は「黄色いロールスロイス」のエリオット・スコット、特殊効果は「特攻大作戦」のクリフ・リチャードソンが担当した。出演は「殺しのエージェント」のロッド・テイラー、「宝石を狙え、ゴールデン・ブルー作戦」のイヴェット・ミミュー、「特攻大作戦」のジム・ブラウン、ピーター・カーステンほか。製作は「逆転殺人」のジョージ・イングランド。

1968年製作/100分/アメリカ・イギリス合作
原題または英題:The Mercenaries
配給:MGM
劇場公開日:1968年3月16日

あらすじ

中央アフリカのコンゴは今、新しい国造りの最中だった。それは血と涙の苛酷な闘いである。ユビ大統領の当面の敵は、悪名高いモーゼ将軍の率いる反乱軍シンバだ。死にさらされたポート・リプリーブの町から住民と、5000万ドルのダイヤモンドの原石を救出することが、大統領の急務だった。この命がけの仕事を、3日でやり遂げることを条件に、5万ドルで請け負ったのがアメリカ人のブルース・カリー大尉(ロッド・テイラー)である。彼はいわば戦争プロで、救助隊の編成に次の4人を選んだ。黒人の愛国者ルッフォ軍曹、元ナチ将校で残忍なヘンライン、やさ男のベルギー将校シュリエ、アル中のイギリス人医師リードである。5人は太陽の焼けつく奥地へと向かった。途中クレア(イヴェット・ミミュー)という若い女性を救ったが、彼女は荒くれ男ばかりの列車の中では、きわめて危険な存在であった。敵ジェット機の攻撃にさらされながらも、列車は目指すポート・リプリーブに着いた。おびえきった住民は、すぐ車に移った。だがダイヤモンドの方は、金庫のタイム・ドアが開くまで3時間待たねばならなかった。そしてなんとかダイヤモンドも救出。列車は原野をひた走りに帰路についた。だが反乱軍の追撃は急で、最後尾の客車は切り離され、乗客は拉致された。さらに列車は敵の猛攻で脱線。5人の戦争プロは原地民部隊を率いて反乱軍本部を奇襲。だが仲間の1人シュリエは死んだ。残りの者たちはトラックを連ねて帰路についた。だが、ダイヤモンドをめぐって仲間割れが生じ、ルッフォ、ヘラインも死んだ。住民もダイヤモンドも救出した。だが、この醜い現実を見たカリーは、戦争プロフェッショナルとしての自覚からか、自らを軍法会議にかける決心をした。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

5.0 「傭兵哀歌の傑作『ワイルドギース』の前節譚的な面もある、コンゴ動乱の片道地獄列車行き戦争アクションの準傑作」

2026年1月31日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

1960年頃にあったコンゴ動乱であった事件を元にしたウィルバー・スミスの原作を元にした戦争アクションで、1960年代の映画なので、問題点や古い面もあるけど、近年見返すといろいろ気付きのある作品だった。

国連平和維持軍が介入してるコンゴ動乱の中、名高い傭兵の 大統領と西側資本家の依頼で反政府軍が迫る採掘場の町へ、ダイヤと住人(鉱山還暦の家族なのでメインは白人)を回収の困難な任務に向かう

監督は、イギリスのテクニカラー撮影の名カメラマンジャック・カーディフが今回は監督演出して彼の元で第二班撮影などを担当した弟子筋のエドワード・スケイフが撮影を担当してるので、幾つかのカットにキラ!やオッ!となる場面があり映像ビジュアル面でも割と見どころあり。

主演のロッド・テイラー(白人)とジム・ブラウン(黒人でコンゴの出身)の軍人コンビは、思想や立場の違いはあれど互いを能力以外に人として認めていて、ある種の友情や共感があり酒場や車内での会話場面も人種や世界情勢への縮図的に描いており、単なるアクションだけでは無い側面が読める。

協力と対立しつつ随伴するペーター・カルステン演じる元ナチスドイツのシンパのヘンライン大尉との確執と対決もこの作品のもう一つの軸になっており優秀な軍人だが、欲望と裏切りを背負った作品の背景の陰を背負っている。ちなみにこの役はモデルになったナチス崩れの傭兵は実際人物が「ジークフリート・フリードリヒ・ハインリヒ・ミュラー」の名前で知られる。

後の傭兵モノの傑作『ワイルド・ギース』の前日譚的な面もあって本作のロッド・テイラー演じるカリー大尉は、リチャード・バートンが演じたフォークナーのモデルとされる傭兵マイク・ホアーも関わっているし、ドイツの名優ハーディ・クリューガー(戦争映画では敵のナチス軍人役が多いが経歴からナチに批判的だった様子)の南アフリカの差別主義者の傭兵役も本作のヘンライン=ジークフリート・フリードリヒ・ハインリヒ・ミュラーをモデルにしてる(ちなみに「ワイルド・ギース」では、人種差別主義者だったが、黒人指導者を守り最後には融和をして戦死する印象的な役)

彼のドキュメンタリー映画も『The Laughing Man - Confessions of a Murderer 』(笑い男 殺人者の告白)のタイトルで1966年に東ドイツ!で製作されている。
ちなみにこのドキュメントは某巨大な動画サイトで全編見れます。インタビュー映像で本人も登場してる70分くらいの映画
題名にあるが本人は、パッと見は愛嬌がある顔立ちだか、やはり笑い顔がとてもサイコパス味があり不気味で、既視感があると思ったら最近の若手政治家などで、どこぞの県知事や落選した都知事候補やポルポトみたいなカルト政党党首こんな薄ら笑いを絶えず出しているので現代にも多く棲息している人(恐)嘘つきの特徴なのか

主役のロッド・テイラーも『ヒッチコックの鳥』あたりの線の細い二枚目のイメージが強かったが、本作では意外にも骨太だったカラダ張ったアクションにも挑戦しており、チェーンソーを使ったアクションも見どころ。

ジム・ブラウンも冷静で頼りになる相棒ながら人種の壁に苦闘して複雑な感情が伴う軍曹を巧く演じており、精悍な肉体も惚れ惚れする(カッコいい)

もう一人印象に残るのは脇役ながら現地の部隊の伍長カタキ役のウィリアム・モディサンで、軍曹か殺害されて退場すると代わり物語のもう一人の侍従の差別される側だが、理性的で尊厳を持つ軍人として最後の場面をさらい作品の質に貢献している。(この方南アフリカの役者兼作家兼ジャーナリスト)

同行する酒浸りのアル中軍医も西部劇などに見られる定番キャラクターで、中盤に医者としての倫理観と責務を回復して患者の為に危険地帯に居残る姿なども描かれるが、60年代後半の本作では都合よく騎兵隊は現れず呆気なく惨殺され骸になってしまう最後など、なかなかに厳しい

中盤までは鉄道映画としての側面もあり、ロケ地のジャマイカ鉄道を利用した映像が素晴らしく、特殊編成を準備する機関車区場面などの映像も作業と人物のカット組み合わせで台詞無しでも切迫感が伝わり、のちのアクションやスポーツ映画にある準備やトレーニング描写を彷彿とさせる(のちのフリードキン版『恐怖の報酬』とか80年代だとランボーやロッキーにあるやつ)

前半は航空機の襲撃や中盤での鉄道での脱出場面も迫り来る反政府軍の迫撃により避難民を乗せた客車の連結が外れて登って来た坂を下る場面と描写は阿鼻叫喚の地獄で、列車の窓をブチ破って鉄橋に転落する人や逆走する列車の不気味な動きは、後々の鉄道パニック映画のカサンドラクロスを想起させ、更に追い討ちで機関車が被弾脱線横転と迫力がある場面が連続する。(カサンドラクロスは割と模型を使っていたが、こちらは実物の機関車や列車を使っている様子)
他にも占領された町で逃げ損ねた多くの人々が凄まじい暴虐を受ける場面は戦慄するが実際の事実だともっと凄惨だったらしい(無論過去に行った苛烈な支配人種に対するコンゴに民衆の報復でもあるが…)

本編はワイドサイズの撮影のはずだが今回見たのはソフト版なので、スタンダードサイズ収録で絵作りは何とも言えないが、空撮も含め大作としての豪華さが、十分に分かる。
最近はドローンを使った絵(ゆるい浮遊感と広角多用な絵作り)も映画やテレビに多いけど、ドローンには制約があり、まだ飛行機やヘリのここぞ!と意義のある空撮とは違い安易に使われ過ぎ(神視点を強調するにしてもね)

繰り返しになるが、古い面もあるけど、今見返すといろいろ気付きのある作品で、なかなかの準傑作で後にもう一つポイントはチェーン・ソーを武器にするホラー映画も多数輩出されるがこの作品が一番早いのかもしれない
近年は巨匠マーティン・スコセッシなどが、評価してるのも分かる🧐
イギリスの名カメラマンジャック・カーディフ監督作品ては、『あの胸にもういちど』(1968年)や『悪魔の植物人間』(1973年)なとに比べるとあまり扱われないが、ソフトはスタンダード収録なので、「ジャグラー」の次はこの辺りをリマスター上映して欲しいかな。

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