セブン・イヤーズ・イン・チベット

劇場公開日:

解説

神秘的な禁断の地チベットを舞台に、若き日のダライ・ラマと伝説の登山家の魂の交流を描いた、ロマン溢れるヒューマン・ドラマ。オーストリアに実在した世界的な登山家ハインリヒ・ハラーの実体験に基づく同名著書を、「愛人/ラマン」「愛と勇気の翼」のジャン=ジャック・アノーの監督で映画化。脚本は「プリンス アンダー・ザ・チェリー・ムーン」のベッキー・ジョンストン、撮影はロバート・フレイズ、音楽は「スリーパーズ」のジョン・ウィリアムズで、チェロ演奏は世界的なチェリストであるヨーヨー・マ。主演は「スリーパーズ」「デビル」のブラッド・ピット。共演は「恋の闇 愛の光」のデイヴィッド・シューリス、「エグゼクティブ デシジョン」のB・D・ウォン、「ライジング・サン」のマコ、本物のダライ・ラマの5歳年下の妹であるジェツン・ペマほか。第10回東京国際映画祭に出品された際、中国政府が抗議のため、出品作品を上映中止にした事件も話題に。

1997年製作/136分/アメリカ
原題:Seven Years in Tibet
配給:松竹富士=日本ヘラルド映画
劇場公開日:1997年12月13日

ストーリー

1939年秋、ナチス統制下のオーストリア。有名な登山家ハラー(ブラッド・ピット)は身ごもった妻イングリッド(インゲボルガ・ダプクナイテ)も顧みず、彼は同国人のペーター・アウフシュナイダー(デイヴィッド・シューリス)と共に、ヒマラヤ山脈の最高峰、ナンガ・パルバットを目指して旅立った。幾多の危機を乗り越えながら、彼らの探査行は続けられたが、思わぬ雪崩によって断念せざるを得なくなる。その頃、第二次大戦の戦火は日増しに激化し、情勢はハラーたちにとって思わぬ方向に進んでいた。彼らはイギリス軍のドイツ宣戦布告によってイギリス植民地のインドで捕らえられ、戦犯の捕虜収容所に送られてしまう。ハラーは何度となく無謀な脱走を試みるが、すぐに連れ戻される。そんなある日、故国に残したイングリッドから離婚届けが届いた。自己中心的な生きかたをしてきたハラーにとって、初めて味わう大きな悲しみと挫折だった。彼は鉄条網に体をぶつけ、自らを傷つけることで、感情の捌け口を見いだそうとする。収容所生活も2年を超えた42年9月。作業員を運ぶインド人に化けた2人は、監視の目を欺いて脱出し、そこからハラーは単独で逃亡した。追跡を逃れて過酷な自然環境の中での逃避行を続け、ついにアウフシュナイダーと再会を果たした。足掛け2年に渡る長い逃避行を経て、45年、2人は外国人にとって禁断の地チベットのラサに辿り着いた。黄金宮に輝くポタラ宮殿。世界の屋根とうたわれるヒマラヤ山脈の壮大な眺め。宗教のもとに生きるラサの人々の純潔な精神。ハラーにとっては心洗われることの連続だった。犬のエサを盗み食いしようとした時に助けられた、政治階層のツァロン(マコ)はハラーたちのよき理解者となり、あらゆる援助の手を差し伸べてくれた。また、チベットの貴族ンガワン・ジグメ(B・D・ウォン)の特別な計らいで、若く美しい仕立屋ペマ(ラクパ・ツァムチョエ)の元を訪れ、洒落た服を仕立ててくれた。ハラーたちも、ラサの人々に大して自らの知識を惜しみなく与えた。そんな中、ハラーはダライ・ラマの母親(ジェツン・ペマ)の家に招待される機会を得、彼はそこで若き宗教指導者ダライ・ラマ(ジャムヤン・シャムツォ・ワンジュク)の家庭教師を依頼される。西洋文明に大して大きな興味を示すダライ・ラマに、ハラーは英語や地理などを教えながら、深い友情と魂の交流を重ねていく。二人の精神の絆が深まるにつれ、利己主義だったハラーは初めて無私の境地を体験し、心の変化をなし遂げていく。しかし、それまで微妙な関係にあった中国政府とチベットの間の緊張が、急激に高まっていく。中華人民共和国が成立し、突然やって来た中国全権大使(ヴィクター・ウォン)の要求に、ダライ・ラマは平和的な精神性を説き、宗教を否定する全権使節を怒らせる。ダライ・ラマは中国の侵略によってチベット人の多くの命が無残に失われる夢にうなされるが、不幸にもそれは現実となった。51年、激動の中でハラーはチベット滞在に終止符を打つ。ラサを去るにあたり、ペマと結婚してチベットに家を構えたアウフシュナイダーとの別れのバター茶を酌み交わすハラー。そして、自分の魂を変えてくれたダライ・ラマとの別れ。ダライ・ラマは、即位した説きから大事にしていたオルゴールをハラーに友情の証としてハラーに与え、愛用の望遠鏡で去っていく彼の姿をいつまでも見守るのだった。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第21回 日本アカデミー賞(1998年)

ノミネート

外国作品賞  
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映画レビュー

3.5脚本と伏線回収が凄い。 チベットに旅行した氣分になれる。 道徳的な...

2024年1月17日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

脚本と伏線回収が凄い。
チベットに旅行した氣分になれる。
道徳的な観点から観てもとても良い作品なので、学校で教材としても優れていると思う。

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Don-chan(Daisuke.Y)

3.0やはり中国は最悪

2024年1月1日
PCから投稿
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プライア

3.5ブラピとチベット役者陣の熱演

2023年7月26日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

知的

 内容が内容だけに中国はもちろん、中国を刺激したくないインドでも撮影を拒否され、アルゼンチンにラサを再現して芝居部分を撮影したそう。諦めないで撮るのがすごい。
 そしてその執念が、役者陣の熱演と共に、文化、冒険記録としてのノンフィクションプラス年齢、人種、宗教の違いを超えた友情の、見応えのある作品を作ったと言えそう。
 ブラピの登山シーンも相当凄かったが、チベット人役のキャストがほとんど素人というのが信じられない。品のあるクイーンズイングリッシュを話す法王の母親役が本当のダライ・ラマの姉というのには納得だが、あっさり完全降伏してしまった大臣役の人もダライ・ラマ役の少年もエモい演技だった。

 それにしても、宗教や文化には限りなく狭量なのに限りなく強大な軍事力を持った国があそこもここも我がものとして支配を広めて行く時、平和主義の国はなすがままになるより他ないのかな…そうすると地球上はそういう人達しか生き残らないってことかな…?それでいいのかな…?考えたってしょうがないのかな…w。はてさて、どうしたらいいのか、今も答えは見つからない。

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SpicaM

5.0冒頭の登山シーンだけでもすごい。

2022年11月17日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 オーストラリア人だし、戦争は反対だ!などと言っても容赦なく逮捕するイギリス軍。4度も脱走を試みたハラーだが、すぐに捕まり有名人になってしまう。やがて妻イングリットからは離婚を承諾依頼の手紙が届く。ヒマラヤに向かう途中、息子も生まれた。

 やがてチベットのラサに辿りついたハインリヒとピーター。親切な男(マコ・岩松)の家に滞在し、チベットに居ついてしまう。やがてピーターは現地人と結婚。一人残されたハラーはダライ・ラマじきじきに映画館を作って欲しいと依頼されるが、平和な滞在もそれほど長くは続かなかった。

 中国軍の侵攻。民が殺され、幼きダライ・ラマは平和的に解決することを望む。ハラーも平和愛好家。自分が冒した過ちも反省する。中国という国も日中戦争では被害者であったのに、いつのまにか帝国主義化している現実。世の中、なぜ平和にならないのかと悲しくなってしまう。

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kossy
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