世界崩壊の序曲

劇場公開日:

解説

南太平洋に浮かぶ、観光客で賑わうある島を舞台に、大噴火によって起こる数々の被害と対策を中心に、そこに展開される人間模様を描く。製作はアーウィン・アレン、監督は「ジェット・ローラー・コースター」のジェームズ・ゴールドストーン。ゴードン・トーマスとマックス・モーガン・ウィッツの原作を基にカール・フォアマンとスターリング・シリファントが脚色。撮影はフレッド・コーネカンプ、音楽はラロ・シフリン、編集はエドワード・A・ビアリーとフリーマン・デイヴィス、製作デザインはフィリップ・M・ジェフェリーズ、特殊効果はL・B・アボットが各々担当。出演はポール・ニューマン、ジャクリーン・ビセット、ウィリアム・ホールデン、エドワード・アルバート、レッド・バトンズ、バーバラ・カレラ、ヴァレンティナ・コルテーゼ、ベロニカ・ハメル、アレックス・カラス、バージェス・メレディス、アーネスト・ボーグナイン、ジェームズ・フランシスカス、ジョン・コンシダイン、シーラ・アレンなど。日本語版監修は高瀬鎮夫。テクニカラー、パナビジョン。1980年作品。

1980年製作/アメリカ
原題または英題:The Day World Ended
配給:ワーナー・ブラザース映画
劇場公開日:1980年6月14日

ストーリー

南太平洋ポリネシアのカラルー島。観光客で賑わうこの島に、国際的なホテル王ギルモア(ウィリアム・ホールデン)が、部下の宣伝部長ケイ(ジャクリーン・ビセット)を伴ってやって来た。目的は新しいホテルの状況視察だ。ギルモアの共同経営者スパングラー(ジェームズ・フランシスカス)は、この島の権力を掌握してきた豪族の子孫で野心溢れる男だ。カラルー島はまた油田地帯にもなっており、ハンク・アンダーソン(ポール・ニューマン)を中心に採掘作業が進められていた。その作業中、地中の重圧が上昇し、ハンクは地震計が異常な事態を告げているのに気がついた。それは、この島の名所でもあるマウナ・タイ火山の噴火を予告するものだった。異常事態を報告しにスパングラーの家を訪れたハンクは、そこでギルモアと共にやってきたケイと会う。彼女は、ハンクの昔の恋人で、今もなおその想いは変わっていなかった。そして、ケイも久しぶりで再会したハンクに熱いものを感じていた。スパングラーには妻ニキ(ベロニカ・ハメル)がいたが、彼は島の娘でホテルの案内嬢を勤めるイオラニ(バーバラ・カレラ)を愛していた。イオラニはブライアン(エドワード・アルバート)というスパングラーの異母弟に当る婚約者がいる身だった。火口にある研究所の調査の結果、近く噴火が起こることが明らかになるが、ホテルの経営者であるスパングラーは、その安全性を信じ、大騒ぎする必要はないと主張した。だが、事実噴火は起こり、入江の町は大津波で全滅しかかっていた。その頃、ハンクは、ケイの積極的な誘いにのって岸辺でふたりの時間を過ごしていた。噴火を目の前で見たふたりは、乗って来たヘリコプターでホテルに向うが、途中、逃げまどうニキや子供ら数名を同乗させた。噴火口の向きから、このホテルにいては危険だと主張するハンクに、スパングラーは相変わらず反抗した。遂にハンクは、島の反対側へ移動する決心をし、それにケイ、ギルモア、横領容疑者フランシス(レッド・バトンズ)、彼を追い続けるニューヨーク市警の刑事トム(アーネスト・ボーグナイン)、かつて有名なサーカスの綱渡り師だったルネ(バージェス・メレディス)とローズ(ヴァレンティナ・コルテーゼ)、案内をかって出たブライアン、そして入江の町から避難してきた数人の人々だけが、ハンクに従がった。彼らを乗せて2台の車が出発したが、途中で道路になだれ崩れた岩石のため、彼らは歩いて行くことになった。途中、心臓発作でローズが死に、真赤に燃えたぎる溶岩が流れる川にかかった橋で、数名が落ちていったが、綱渡りの名人だったルネの活躍などで、殆どの人々が無事に渡りついた。そのころ、ホテルは、ハンクの予想通り、火の海と化していた。(ワーナーブラザース映画配給*1時間57分)

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第53回 アカデミー賞(1981年)

ノミネート

衣装デザイン賞
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映画レビュー

3.0『序曲』のタイトル通り世界の終わりの始まりまでが描かれた作品で題名に偽り無し、であるも3つあるバージョンは...?

2024年6月29日
PCから投稿
鑑賞方法:その他、TV地上波

この作品は、劇場公開からしばらく経ってTV放映された際の吹き替え版で、初めて鑑賞した作品だった。

これまで、『ポセイドン・アドベンチャー (1972)』以降、『タワーリング・インフェルノ(1974)』、『スウォーム (1978)』、『ポセイドン・アドベンチャー2 (1979)』と欠かさずロードショー公開時に鑑賞し続けて来たアーウィン・アレン氏の作品だったのに、である。

本来ならば、どう考えたってこの作品のキャストとスタッフからしたら、自分的にはこの当時観ないことなど考えられないような選択とさえ思えるのに....

それというのも、今作については公開当時も伝わってくる評判が芳しいものでは無いうえ、アレン氏の二本前の作品である、やはりオールスター・キャストだった『スウォーム』を大劇場で鑑賞し、次の『ポセイドン・アドベンチャー2 (1979)』までロードショー公開時に鑑賞しているものの、いずれも期待したかつての『ポセイドン・アドベンチャー』ような感動には及ばずといったところで、何だか嫌な予感がしていたということもあり、ついに今回はロードショーでの鑑賞を見送る事としたのである。

結局、『恐怖の報酬』の時と同様に、ロードショー公開で鑑賞してきた映画好きの友人の感想に委ねる形にして、それによっては後追いしてロードショー公開での鑑賞に踏み切るか、2番館以降での上映で鑑賞するとかを考える事にした。

しかし、その感想というか、また聞いた内容についても、気持ちを萎えさせるのには十分なものだった。
何しろ、「『世界崩壊の序曲』という題名通り、世界の終末までは描かれている事なく、その予兆である災害までが描かれた作品だった。」と聞かされたからである。
「えっ!、ウソ〜っ!?」と何度も聞き返してしまった.....

結局、ガッカリ度が大き過ぎて、いずれの形でも劇場に足を運ぶことはなく終わった。
が、完全に忘れ去ることはなく、いつまでもシコリのように頭の隅に残っていたのも確である。
そして劇場公開から4年後の、1984年7月の『日曜洋画劇場』にて、ついにその鑑賞を果たしたのであった。

TVでの鑑賞だったので、元の109 分から10分以上はカットが施されていたのだろうと思うが(時間枠延長だったかは記憶に無い)、恐らく劇場で観ていたとしたら、出演陣の顔ぶれも『ポセイドン・アドベンチャー2 』は今ひとつだったので今作は、『ポセイドン・アドベンチャー (1972)』と『タワーリング・インフェルノ』のメンバーを再登場させたような、焼き直しの如き構成である印象を免れなかったのでは無いかと思えた。
ストーリー的にも、概ねこの2作品をなぞらえているような展開に感じる。

しかし、こうした内容の事は「覚悟していた」ので、大きな期待をする事もなく割り切って鑑賞したこともあり、むしろ逆に、ポール・ニューマン=川合伸旺氏、ウィリアム・ホールデン=近藤洋介氏、アーネスト・ボーグナイン=富田耕生氏といった、いつもの聴き慣れた方々がアテた心地よい音声での鑑賞ということで、印象を良いものとしてくれたという事は大きいだろう。

こうした、作品との最初の”出会い方”により、作品に対しての印象が違ってしまう事はあると思う。
確かに、「期待値上げて、ロードショー公開時に安くは無い料金を支払っての鑑賞」だったとしたら、先述の友人のように「ヤラレタ〜」とばかりにゲンナリさせられていたであろうと思う。

参考までに、日本での劇場公開版は本国での興行成績や評判の悪さによって元の121 分から109 分に短縮されたインターナショナル版である、英語タイトルが"The Day the World Ended"と変更された版で公開されている。(フリードキン『恐怖の報酬』と同じパターン。)

現在発売されているこの映画の DVD 等は(基本的に)すべて、短縮されたインターナショナル版に統一されており"The Day the World Ended"版になっているが、原題が "When Time Ran Out" となっているバージョンが121 分の、本来のアメリカで初公開されたときのものである。

因みに『ポセイドン・アドベンチャー2 』と同じように、本国で劇場公開から4年以上経ってからTV放映時に初公開された拡張版で英語タイトルもまた『Earth's Final Fury 』と変更されたバージョンでは、劇場版では未公開の約 40 分の追加映像が含まれていることが知られており、『ポセイドン・アドベンチャー2 』と本作の評価も、この別編集「特別延長版」では違ったものになってしまいかねず、「何で初めからコッチでやらなかったの?」といった余程のマニアしか知らない世界もあったりする、映画はいろいろな意味で「奥深し」ということで.....

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アンディ・ロビンソン