制服の処女(1931)

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解説

「白痴(1921)」「激流の哀曲」の監督者カール・フレーリッヒが総指揮のもとに完成された作品で、クリスタ・ウィンスロー原作の舞台劇『昨日と今日』を、ウィンスロー自身及びF・D・アンダムが共同で脚色し、ラインハルト門下の女流舞台監督として令名あるレオンティーネ・ザガンが第一回作品としてメガフォンを取った。出演者は全部舞台女優であり、映画には初出演の人々のみを集められている。主演はドロテア・ヴィーク、ヘルタ・ティーレ、エレン・シュヴァネッケ等の若い女優及び、エミリア・ウンダ等である。キャメラはライマール・クンツェ、フランツ・ワイマイヤーの二人である。

1931年製作/88分/ドイツ
原題:Madchen in Uniform

ストーリー

両親を失った16歳のマヌエラは寄宿舎に送られた。彼女の父は名誉あるドイツの将校であった。だからマヌエラはそうした立派な父の名に恥じむように凛々しく勇気と名誉とを以って辛苦に耐え悲しみにも抗して強き未来のドイツの母となる修養をつまねばらなぬ。これが彼女の伯母の意見であった。それが同時にこの寄宿舎の鉄則でもあった。強きドイツの母たるために、厳しきドイツ帝国の栄誉の為にそうしてこの寄宿舎に於いては寄宿生達はみな制服を着せられ規則に縛られて塞息していた。が、彼女たちは十七の乙女達であった。彼女達は生きたかった。彼女達は人の愛が欲しかった。そうした彼女達にとっては女教師のフォン・ベルンブルクのいることが唯一の生甲斐を感じることであった。フォン・ベルンブルクは彼女たちに規則を説いた。が、その裏にはいつも優しい心が動いていた。生徒達の中でフォン・ベルンブルクに美しい愛の心を捧げた者が幾人いたか知れなかった。マヌエラもその一人であった。愛に飢えた彼女は一筋にフォン・ベルンブルクを慕った。それは、女ばかりのいるこの小さな世界において咲いた秘密の花であった。フォン・ベルンブルクはこうした乙女の一途心が何処に落ちていくかを知っていた。が、彼女とてもマヌエラのひたむきの愛、というよりは恋、に引きずられている己をいつしか見出していたのである。軍国主義の鉄の力で押えつけられていたこの寄宿舎は、表では灰色と陰気な顔つきをしていたが、内ではこうした愛の息吹が燃えていた。そして又、明日を破ろうとする今日の心が次第に力を持上げていた。そうしているうちに一年に一度の校内の演芸会が来た。マヌエラは若い騎士に扮してフォン・ベルンブルクの瞳を全身に感じながら力の限りに芝居をした。その晩の会で芝居の成功と酒に酔った彼女は今はフォン・ベルンブルクに対する彼女の心を包み隠しおおせず、皆の前でそれを叫び立てた。それはこの厳しい寄宿舎にとっては許しがたい醜事であった。マヌエラは監禁せられた。ついで退校と決った。彼女はフォン・ベルンブルクと別れるくらいなら死ぬ方がいいと思った。寄宿舎は高い建物であった。マヌエラは、高い階段の上から下の石畳をめがけて飛降りようとした。が、その時、朋輩の乙女達が駆けつけた。マヌエラ。マヌエラを救え。新しい生命は一つの団となってたったのだ。マヌエラは救われた。フォン・ベルンブルクの前に老校長の頭は下った。軍国主義が敗北したのだ、杖にすがってよろめく老校長の影は薄れていた。

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映画レビュー

4.5少女期の繊細で微妙な恋愛感情を描いた女性映画の古典

Gustavさん
2020年4月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

国家貢献のために伝統ある厳格な規則に絶対服従を強いられる寄宿舎を舞台に、両親を失った主人公マヌエラがフォン・ベルンベルク先生に抱く親愛の情を、女流監督レオンティーネ・ザガンが繊細に描いた女性映画の古典。愛に飢えた少女の揺れる心情を体現するヘルタ・ティーレと、妥協を許さぬ冷厳な老校長と対峙し凛とした美しさを湛えるドロテア・ヴィーク。二人の魅力ある演技が、女性同士に芽生える微妙な愛情と心の共振を表現する。最後全生徒を敵に回した校長の消えゆく後ろ姿で終わり、権威主義が自由主義に敗北したかに見えるが、その後の寄宿舎の教育体制がどう改善されたかは暗示的だ。ナチス・ドイツ成立2年前のドイツの不安定な世相を反映した印象も受ける。
多感な青春期の自由恋愛についてのテーマでは、木下恵介監督の名作「女の園」がこの作品と共鳴する。どちらも深刻さが支配する暗い物語だが、人間を見詰める作者の視点は厳しく熱い。

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Gustav
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