素晴らしき休日
解説
「女性の反逆」「男装」のキャサリン・ヘップバーンと「新婚道中記」「男装」のケーリー・グラントが主演する映画で、かつてのブロードウェイの当り狂言のフイリップ・バリーサクの喜劇映画化である。脚色は「白い菊」「舗道の雨」のドナルド・オグデン・スチュワートと「花嫁凱旋」「情怨」のシドニー・バックマンが協力し、「椿姫(1937)」「男装」のジョージ・キューカーが監督にあたり、「シュヴァリエの放浪児」「隊長ブーリバ」のフランツ・ブラナーが撮影した。助演は「明朗色時代」「新妻はタイピストから」のドリス・ノーラン、「彼女の家出」「麗わしのパリ」のルー・エイヤース、「ラジオの歌姫」のエドワード・エヴァレットホートン、「ロミオとジュリエット」のヘンリー・コルカー、「小都会の女」ノビニー・バーンズ、「人妻日記」のジーン・ディクソン、「椿姫(1937)」のヘンリー・ダニエルという良い顔ぶれである。
1938年製作/アメリカ
原題または英題:Holiday
ストーリー
ある商事会社の若い社員ジョニイ・ケイスは冬の休暇にブラシッド湖へ行った。初めての休暇にのびのびとスキーやスケートを楽しむ積もりだったのである。ところが彼は図らずも恋をした。ジョニイは彼女を素晴らしいと思った。彼女の名はジュリア・シートンであった。ジュリアもジョニイを素敵な青年だと感じ、結婚の約束をした。ニューヨークへ戻るとジョニイはジュリアが教えてくれた所番地を尋ねていくと、あまり立派な邸だったので彼女はこの邸の小間使いだろうと考え、勝手口から訪れた。ところがジュリアはこの大理石造の大邸宅に住んでいる令嬢だった。ジョニイはやっと自分の恋人はアメリカ金融界の大立物のエドワード・シートンの娘であることに気づいたのである。詳しくいえばジュリアは次女であった。長女のリンダは父に好かれていなかった。リンダは妹のように社交界へも顔を出さず、父に言わせると、詰まらぬ空想に陥る性質だったのである。リンダは亡くなった母に似ているのだった。リンダは母が晩年いつも居た遊戯室でほとんど一日を過ごした。リンダは邸のことを博物館と呼んだ。それはいたずらに大きく、親しみが持てないからである。遊戯室だけが彼女に人間らしい気持ちを感じさせる部屋だった。リンダと同感するのは弟のネッドだったが、彼はシートン家の嗣子として何事も父の命令に従わねばならなかった。気弱なネッドは反抗する勇気がなく、酒に憂さを晴らしていた。このリンダとネッドにとってジョニイ・ケイスの出現は歓びであった。リンダによると彼は人間であった。妹が社交界からでなく、こんな素晴らしい恋人をえたことをリンダは喜んだ。リンダはそれこそすなわち自分もジョニイに恋してしまったことであるとは気づかなかった。ジュリアとジョニイ・ケイスは婚約発表は大晦日に盛大に行なわれた。リンダは妹とジョニイのために、この婚約発表会を遊戯室で親友だけを招いてする計画を立てていたので、盛宴には顔も出す気にはなれなかった。ジョニイがリンダを呼びにいくと遊戯室にはネッドと、ジョニイの親友たる大学教授のニック・ボターとスーザンとの夫婦も避難してきていた。スーザンはリンダの女学校時代の先生だった。気の合った者ばかり揃って、彼らの階下の披露宴のことは忘れてしまった。リンダとジョニイが軽業を演じているところに、エドワードが来た。ジョニイは目論んでいた取り引きが成功したので、大金を儲けたことを語り、それを機械に彼は当分仕事をやめて、人生の目的を考えてみたいと思う告げた。生きることが第一義であり、金を儲けることは第2義である、となすジョニイの考えに文句なく同感したのはリンダであり、そのような考えを理解できず当惑したのはジュリアとエドワードであった。ジョニイは婚約発表と同時に失踪した。彼はブラシッド湖へ赴いて考えてみたのである。数時間考えて自分の計画を放擲し、シートン家流に2、3年暮らしてみる決心をした。ボター教授夫妻は欧州留学へ赴くこととなった。ジョニイにも同行を勧めていた夫妻は彼がジュリアの許にも屈伏していったことを残念がった。エドワードはジョニイの降参を喜び、新婚旅行のプランを樹て、若夫婦のために新郎や召使も用意しておく、と言った。すべての自分の意志を認められないことはジョニイにとっては余りな屈辱である。彼はジュリアに一女性として今すぐに結婚してボター夫妻と共に欧州へ行くことを願った。ジュリアは冷ややかに行くなら一人行ってちょうだいと言放った。万事終ったとジョニイは去った。リンダは初めてジュリアがジョニイを本心愛していないことを感じ彼女にその旨を告白させた。出帆前10分、ジョニイはボターの船室へ跳込んできた。そして5分、リンダが駆けつけた。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ジョージ・キューカー
- 脚色
- ドナルド・オグデン・スチュワート
- シドニー・バックマン
- 原作
- フィリップ・バリー
- 製作
- エヴェレット・リスキン
- 撮影
- フランツ・プラナー
- 美術
- ステファン・グーソン
- 音楽監督
- モリス・W・ストロフ
- 音楽
- Lodge Cunningham
- 編集
- オットー・メイヤー
- アル・クラーク
- 助監督
- Clifford Broughton
受賞歴
第11回 アカデミー賞(1939年)
ノミネート
美術賞 |
---|