シュガー・ヒル
劇場公開日:1995年2月25日
解説
ニューヨーク・ハーレムの暗黒街で、ドラッグ売買のトップにのし上がった2人の兄弟の葛藤を軸に展開する、愛と暴力に彩られたブラック・ムービー。監督はキューバ出身で、カンヌ国際映画祭で上映された「クロスオーバー・ドリーム」やテレビ映画「心臓が凍る瞬間」(日本では劇場公開)などの作品があるレオン・イチャソ。脚本はバリー・マイケル・クーパー。製作は「ラブ・クライム 官能の罠」のルディ・ラングレイスと、グレゴリー・ブラウン。エグゼクティヴ・プロデューサーは「ザ・コミットメンツ」のアーミヤン・バーンスタインとトム・ローゼンバーグ、マーク・エイブラハムズの共同。撮影は「ディープ・カバー」「カリフォルニア(1993)」のボージャン・バゼリ。音楽はテレンス・ブランチャードで、ジャズ、ファンク、ソウル、ラップ、ヒップホップ、ブラック・コンテンポラリー、アフリカン・ミュージックからゴスペルに至るまで、さまざまなブラック・ミュージックの挿入曲が全編に流れる。美術は「再会の時」のマイケル・ヘルミー、主人公兄弟の人物造形や作品世界の上でも重要な要素を占める衣装は、「ディック・トレイシー」のエドゥアルド・カストロで、ヴェルサーチ、ヨージ・ヤマモトなどのスーツが使用されている。主演は「ニュー・ジャック・シティ」「デモリションマン」「ドロップ・ゾーン」など出演作が相次ぐウェズリー・スナイプスと、「ストリーマーズ 若き兵士たちの物語」『ファイブ・ハートビーツ』(V)のマイケル・ライト。「クロウ 飛翔伝説」のアーニー・ハドソン、「ビバリーヒルズ・コップ3」のテレサ・ランドルらが共演。
1993年製作/アメリカ
原題または英題:Sugar Hill
配給:イメージファクトリー・アイエム=NNBC
劇場公開日:1995年2月25日
ストーリー
ニューヨークのブラック・ハーレムの最深部。かつては裕福な街だったが、今は貧困とドラッグが蔓延して無法地帯と化したこの街を、人はシュガー・ヒルと呼んだ。血の気が多く凶暴な兄のレイネイサン(マイケル・ライト)と、沈着冷静な弟ロメロ(ウェズリー・スナイプス)の兄弟は、知力と腕力だけでドラッグ売買の頂点にのし上がった。母親は彼らが幼い頃にドラッグ中毒で死に、イタリアン・マフィアの顔役ガス(エイブ・ヴィゴーダ)の下でヤクの売人をしていた父親(クラレンス・ウィリアムズ3世)は、組織の金に手を出して拳銃の弾をぶち込まれた末に、廃人同様となった。やがて高校を卒業したロメロは、単身、父親を撃った男に復讐を果たした。今までの生活に疑問を感じ始めていたロメロは、高級クラブで出会った美しい女性メリッサ(テレサ・ランドル)と恋に落ち、希望に燃える女優の卵である彼女と街を出ることを決意する。だが、そんな折、彼らの縄張り内でトラブルが起きる。新興勢力のギャング団“レッドフック”が兄弟に怪しい商売の話を持ちかけ、顔役ガスとその息子の汚職警官ハリー(ラリー・ジョシュア)、街の有力者トニー(ジョー・ダレッサンドロ)、そしてレッドフックのボスのロリー(アーニー・ハドソン)とその子分たちに囲まれ、縄張りを分け合うよう説得される。ロメロに断られたロリーたちは、兄弟の部下リッチーを捕らえて無残にも焼き殺した。怒ったレイは報復すべきだと主張するが、無益な流血沙汰は避けたいロメロは、何とかガスとロリーに話し合いをつける。だが、弟のやり方が気に入らないレイは部下を引き連れ、ロリーの手下を急襲する。駆けつけたロメロに、レイは兄弟の掟を確かめるように無言で拳銃を差し出し、弟は虫の息の男を撃った。ついに一味の報復が開始され、ロメロを兄のように慕う少年カイミーも犠牲となる。このままこの地にとどまれば死、メリッサと逃走すれば兄や父への裏切りを意味する。ガスと差しで話をつけたロメロは、この地を去ること、そしてレイが彼の後を継ぐことを告げた。ロリーと縄張りを分け合い、彼の条件を飲む代わりに、家族の安全を保証させたのだ。一方、破滅的になったレイは、麻薬で父親を安楽死させると、単身、ロメロが去ったばかりのガスの店に死を覚悟で殴り込み、激しい銃撃戦の末にガスまでも皆殺しにした。父の死体を発見したロメロは兄と争いになり、もみあううちに撃たれたロメロは死ぬ。弟の死を知ったレイは、自らの命を絶つ。ロメロの体にすがって泣くメリッサの声は叫びとなって、真夜中のハーレムにいつまでも冷たく響いた。
スタッフ・キャスト
- 監督
- レオン・イチャソ
- 脚本
- バリー・マイケル・クーパー
- 製作総指揮
- アーミアン・バーンスタイン
- トム・ローゼンバーグ
- マーク・エイブラハム
- 製作
- ルディ・ラングレイス
- グレゴリー・ブラウン
- 撮影
- ボジャン・バゼリ
- 美術
- マイケル・ヘルミー
- 音楽
- テレンス・ブランチャード
- 編集
- Gary Karr
- 衣装デザイン
- エドゥアルド・カストロ
- 字幕
- 伊藤美穂