ジャンク・メール

劇場公開日:

解説

事件に巻き込まれた美女のため奮戦する、しがない郵便配達夫の姿をユーモラスかつサスペンスフルに綴った一編。監督はノルウェーの新鋭ポール・シュレットアウネで、脚本もヨニー・ハールベルグと共同で執筆。撮影はヒェル・ヴァスダール。音楽はヨアキム・ホルベック。美術は「奇跡の海」のカール・ユーリウスソン。衣裳はベンテ・ヴィンテル=ラーシェン。出演はシュレットアウネの短編『Eating Out』(未公開)に出演したロバート・シャーシュタほか。

1996年製作/83分/ノルウェー
原題または英題:Budbringeren/Junk Mail
配給:KUZUIエンタープライズ
劇場公開日:1998年2月21日

ストーリー

ノルウェーの首都オスロ。夜の裏通りで争うふたりの男。ひとりが鍵を飲み込んで倒れ、殴っていた男は相棒らしき女と逃げ去る。地味な郵便局員ロイ(ロバート・シャーシュタ)は退屈な毎日のうさばらしに郵便物をトンネル脇の穴に捨てたり、他人の手紙を勝手に読んでしまういけないヤツだ。ある日、ロイは若い女が医学書を万引きするのを目撃する。好奇心から尾けていくと、彼女は洗濯屋の店員だった。配達先のアパートで再び彼女を見かけたロイは、彼女が郵便受けに差し込んだまま忘れていった鍵で部屋に忍び込む。彼女の名はリーナ(アンドリーネ・セーテル)で、コーンフレーク「フロスティ」を常食していることがわかる。アルバムから彼女の写真を抜き取った時、留守電にゲオルグ(ペール・エーギル・アスケ)と名乗る男が「お前も共犯者だ」と謎めいたメッセージを残した。数日後、配達中にジャンキーに襲われて病院に運び込まれたロイは、夜、リーナがある病室から出てくるのを見かける。その病室には強盗に襲われた瀕死のガードマンがいた。ロイは郵便物を守った功績で表彰されて記念の時計をもらった。再度、リーナの部屋に忍び込んだロイ。つい眠り込んでしまったところにリーナが帰宅する。ロイは慌ててベッドの下に潜り込む。その拍子に目覚まし時計が落ちて音を立てるがリーナは気がつかない。リーナは難聴で、補聴器をはずしたところだった。ロイは退散しようとするが、睡眠薬自殺をはかったリーナが浴槽に沈み込んでいるのを発見する。助け起こされたリーナはロイの上着に吐瀉する。裸のリーナをソファに横たえるとロイは救急車を呼んだ。ロイは同僚と出かけたバーで太った大女ベッツィ(エーリ・アンネ・リンネスタ)と知り合う。ロイは彼女にリーナの部屋で手に入れたゲオルグの名刺を渡す。酔ったふたりはリーナのアパートに行く。ベッツィが勝手に羽織ったリーナのガウンをロイがはぎ取ったことから、逆上したベッツィはクローゼットの衣類を手当たりしだい投げつけて出ていく。気がつくと投げつけられた袋の中に札束が入っていた。リーナは退院した。フロスティーの染みのついた上着を洗濯屋に持ち込んだロイをリーナは不審に思う。ガードマンの容態が気がかりなリーナは、非情なゲオルグと決別するため地下鉄で彼と会い金を渡す。密かに目撃していたロイはゲオルグを追い、とっさに駅のトイレに彼を閉じ込める。ドア越しの格闘の末、ゲオルグの手には記念の時計が、ロイの手には金の袋が残った。ゲオルグは時計を頼りにロイのアパートを探し当てるが、ロイは窓から逃げ出し、リーナの身を案じ、友人の車で彼女の家に向かう。そこへ大女ベッツィが男ふたりを連れて復讐にやってきた。リーナを無理やりアパートから連れ出すゲオルグはロイと間違われて叩きのめされる。その隙にロイはリーナを車に乗せて逃走する。ゲオルグはロイの車にへばりつくが、途中でふり落とされ、息を引き取る。ゲオルグの死体はいつも郵便物を捨てるトンネル脇の穴に運び込まれた。リーナはロイが部屋に侵入したこと、しかし自分の命も救ってくれたことを知り、彼の頬をひっぱたく。リーナは夜の明けゆく道を歩き始める。ロイは後を追うが、リーナは黙ってそれを許す。

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