7月4日に生まれて

劇場公開日:

解説

アメリカ独立記念日に生まれたれヴェトナム帰還兵の青年が、さまざまな心の葛藤を経て反戦運動に身を投じてゆく姿を実話を基に描くドラマ。ロン・コーヴィックの同名小説を基に製作・監督・脚色は「トーク・レディオ」のオリヴァー・ストーン、共同製作はA・キットマン・ホー、共同脚色はR・コーヴィック、撮影はロバート・リチャードソン、音楽はジョン・ウィリアムス(2)が担当。出演はトム・クルーズ、ウィレム・デフォーほか。日本版字幕は戸田奈津子。カラー、シネスコ。ドルビーステレオ。1989年作品。

1989年製作/145分/アメリカ
原題または英題:Born on the Fourth of July
配給:ユニヴァーサル映画=UIP
劇場公開日:1990年2月17日

ストーリー

1946年7月4日、アメリカの独立記念日に生をうけたロン・コーヴィックは、ロングアイランド州マサピークアでその少年時代を送っていた。ケネディ大統領の、自由の存続と繁栄についての演説の中、7歳のロン(ブライアン・ラーキン)は、野球に夢中になる一方、戦争ごっこにその愛国心を芽生えさせていた。すっかりスポーツマンに成長した高校時代のロン(トム・クルーズ)は、ある日学校にやってきた海兵隊の特務曹長(トム・ベレンジャー)の言葉に感銘をうけ、プロムの夜、憧れていたドナ(キーラ・セジウィック)とのダンスの思い出を胸に、64年9月、子供の頃からの夢であった海兵隊に入隊した。そして13週間の訓練を経て、ロンはヴェトナムの戦場に身を投じるのだった。67年10月、軍曹になったロンは、激しい銃撃戦の後、部下を率いて偵察に出かけ、誤まってヴェトナムの農民を惨殺してしまったことを発見し、ショックをうける。そしてこの混乱に乗じて襲いかかかってきたヴェトコンの姿にパニック状態に陥ったロンは、部下のウィルソン伍長(マイクル・コンポターロ)を射殺してしまう。罪の意識にさいなまされるロンに、上官は口外を禁じるのだった。そして68年1月、激しい攻防のさ中、ロンはヴェトコンの銃弾の前に倒れ、下半身不随の重傷を負ってしまう。ブロンクス海兵病院に運び込まれたロンは、怪我をしても人間らしい扱いをしてもらえないここでの苛酷な現実に、ただ絶望感を募らせるだけだった。69年、故郷のマサピークアに戻って来たロンは家族に温かく迎えられるが、ヴェトナム戦争を批判し、反戦デモを繰り広げている世間の様相に大きなショックをうけるのだった。この年の独立記念日に、在郷軍人会主催の集会の壇上に立ったロンは、戦場のトラウマが蘇りスピーチを続けることができなかった。シュラキース大学にロンはドナを訪ねるが、彼女も反戦運動に加わっていた。世間の冷たい風当たりに、ロンは次第に酒に溺れ、両親(レイモンド・J・バリー)(キャロライン・カヴァ)の前でも乱れ続けるのだった。苦しみから逃れるように、70年にメキシコに渡ったロンは酒と女で孤独を紛らわせる。しかしここで知りあったチャーリー(ウィレム・デフォー)の厳しい言葉に目が覚めたロンは、自堕落な生活と訣別し、ウィルソンの両親を訪ね罪を詫びるが、返ってきたのは優しい慰めの言葉だった。72年、苦しみの中で人生の意味を誰よりも強く知ったロンは、反戦運動の先頭に立ち、マイアミのニクソンを支持する共和党大会に乗り込み、戦争の悲惨さを訴えた。そして76年、自らの戦争体験を綴った『7月4日に生まれて』という本を出版し、大反響を呼び、その年の民主党大会で彼は演説をするため、その壇上に立つのだった。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第47回 ゴールデングローブ賞(1990年)

受賞

最優秀作品賞(ドラマ)  
最優秀主演男優賞(ドラマ) トム・クルーズ
最優秀監督賞 オリバー・ストーン
最優秀脚本賞 オリバー・ストーン

ノミネート

最優秀作曲賞 ジョン・ウィリアムズ
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映画レビュー

2.0おっさんになって見直すとちょっと残念なトム映画

2024年7月20日
PCから投稿

トム・クルーズは、オレの尻が青いときは、髪形やしぐさを真似てみたり、オレがおっさんになって尻が黒くなっても、休みの日だとか、家族が外出した時とかなんだかポカンとした時、ひとり繰り返し鑑賞する映画スターとして、彼の出演作にはお世話になっている。

出演作全部をフォローするつもりはないが、デ・ニーロなんかよりかはいつだって憧れをもって臨める存在である。以前「コラテラル」のレビュー時に、彼の「作品」ベストと「トム」ベストのそれぞれ5位まで挙げたが、時によってやはりコロコロ変わるものだ。

5位・インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア
4位・デイズ・オブ・サンダー
3位・M:I-2
2位・コラテラル
1位・ナイト&デイ

が「トム」ベスト。彼の転機、ともいえる彼の出演作。順番はどうでもいい。

5位・コラテラル
4位・アイズワイドシャット
3位・マイノリティ・リポート
2位・オール・ユー・ニード・イズ・キル
1位・宇宙戦争

これが今のオレの彼の「トム作品」ベスト。「宇宙戦争」はオレの無人島1位でもある。
(「宇宙戦争」は「トム」ベストに入れてもいいほど、演技も素晴らしい。)

そして3位に「マイノリティ・リポート」が入ったからというわけではないが、すっころげたのが本作。

「7月4日に生まれて」




公開1990年といえば、オレが最もきれいな目で映画を見ていたころ。そして「トップガン」、「ハスラー2」、「レインマン」といった作品群を経て、オリバー・ストーンとクルーズのキャリアアップのニーズが合致したかのように生まれた本作。

公開当時、受験に向けて、確か最後の楽しみとして本作を観たため、思い入れは他のトム作品よりも大きい。

「サルバドル」、「プラトーン」、「ウォール街」(その前は、「ミッドナイト・エクスプレス」、「スカーフェイス」、「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」の脚本家(どれも超好物))のストーンのもと、チャーリー・シーンではなく、クルーズが起用。

見納めとして、当時のベトナム戦争ものが大好きで、クルーズも憧れの存在故、オレとしては最高だったわけである。(余談だが、そのため、この直後のベトナム戦争ものの快作(怪作)の「ジェイコブズ・ラダー」を30年見逃すことになる。)

ノリに乗った二人による作品であることは周知のことで、実際興行も大成功。

そうして今に至り、DVDや配信で何度も鑑賞している本作。しかし、歳を追うごとに、オレの中の評価は下がってきている。

確かにクルーズ自身の最重要作品の一つになるだろうが、問題は作品自体にある。思い入れ補正取っ払うと、ちょいちょいと物申したいことがある。

1)ぶつ切りすぎる編集

上映時間145分は決して短くはないが、盛沢山のエピソード、場面場面で泣かせようとするシーンばかりを切り取って貼ったかのようで、ダイジェスト感が強い。

主人公の心情に変化の流れが感じられず、叫び回ったあげく、いつの間にかつきものが取れたような顔になって終わる。クルーズの熱演もこれでは台無し。

国のために戦ったのに、国は応えてはくれなかった、というジョン・ランボーと同じ主張にはなるのだが、こっちは泣き言にしか見えない、のが悲しい。戦地に赴くのは自分の意志(だけではないが)なのに、「泣き言をいう若者」の波乱の人生、とあえて言えなくもないが、同情しにくいのはひとえに編集のまずさが原因。オスカー編集賞受賞なんて、どうでもいい話。

2)感傷的なウィリアムズの劇伴

ずっとこればっか鳴っているため、ダイジェスト感、泣かせ感に拍車がかかる。これもオスカーノミネート。そのこと自体はこれまたどうでもいい話。

3)退屈な画

原作者の自伝および脚本であるためか、クルーズ出ずっぱりな構成は、そうならざるを得ないかもしれないが、結果クルーズ出てればそれで良し、という画。特に戦地での画が貧相。これは編集含め、予算も影響しているかもしれないが。

ラストはエキストラを増やしての再撮影らしいが、カメラは相変わらずクルーズを離れないのでその効果は薄い。

本作はクルーズとストーンのタッグという、当時としては、もうこれで映画なんて見なくていい、と思わせてくれる作品として登場し、同じ空気を感じた人が懐かしんだり、クルーズのいろんな顔をずっと画面で見ていたいという人には勧められる。(後者でいうと、「ナイト&デイ」や「オール・ユー・」の方がイイけどね)。

もう少しいうと、ストーンのベトナム戦争3部作としての位置づけでは「プラトーン」、「天と地」の間として、テーマはキチンと定位置にはあるので、その2作品もあわせて観ると、ストーンの力み具合いなども感じられて、より楽しめる。

という意味では、その当時が最も楽しく鑑賞できる映画だったということ。

追記

最後にスゴイ好きなところ。

デフォーとクルーズの唾吐き合いの「車いす」喧嘩が最高。言い争っている内容含め、子供の喧嘩。

これだけは、映画史に残る名シーンとしてオレに刻まれている。

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しんざん

4.0【”貴方が祖国に尽くすのです!”とケネディ大統領は言ったのに。”志願してベトナム戦争に臨んだ青年が下半身不随になり祖国に戻ると反戦運動が吹き荒れる中、失意の彼が自身を取り戻す過程を描いた作品。】

2024年7月14日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

怖い

幸せ

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NOBU

4.0自分の正義と勇気

2024年5月4日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

トム・クルーズは派手なアクションがなくても、しっかりできる役者の証明をした。身体的な苦しみと良心の呵責に苦悩する姿は痛ましい。精神的に追い詰められ荒れる時代を経て、ラストは希望へ。
バリアフリーで今なら完備されている施設も当時は厳しかったな。それにしたってあの病院だよな。野戦病院は仕方ないとしても、名誉の負傷に対する敬意も感じられない感じ。泥沼ベトナム戦の負の光景を隠したい事情だったのか? なぜ切り捨てのように扱われた? 自分の知る限りのアメリカと違う、らしくない印象。

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Bluetom2020

1.5アメリカのベトナム戦争映画は全てこの程度。

2024年4月29日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
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マサシ

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