ザ・マシーン 私のなかの殺人者

劇場公開日:

解説

自ら開発した装置で、殺人鬼と脳を交換した科学者を襲う恐怖を描くサイコ・スリラー。ジャン・ルイ賞、仏推理小説大賞、グーテンベルグ・サスペンス大賞を受賞したルネ・ベネットの『わが体内の殺人者』(邦訳・ハヤカワ文庫)を「夜のめぐり逢い」のフランソワ・デュペロンの監督・脚本で映画化。製作はルネ・クレトマン、撮影は「ベロニカ・フォスのあこがれ」などライナー・W・ファスビンダー作品で知られるディートリッヒ・ローマンが担当。主演は「エリザ」のジェラール・ドパルデュー。共演は「ゴダールの探偵」のナタリー・バイ、フランス演劇界で活躍するディディエ・ブルドンほか。

1990年製作/96分/フランス・ドイツ合作
原題または英題:La Machine
配給:ギャガ・コミュニケーションズ
劇場公開日:1996年2月10日

ストーリー

優秀だが冷徹な外科医マルク(ジェラール・ドパルデュー)は美しく聡明な妻マリー(ナタリー・バイ)と息子レオナール(エルヴァン・バイノー)とのリッチな生活を送っていた。だが、マルクは妻の友人マリアンヌ(ナタリア・ワーナー)と愛人関係にあり、夫婦間のいさかいが絶えなかった。彼は10年前から家族にも秘密に無人となった生家で、あるマシンの研究を続けていた。殺人者や異常者の心理に関心を持つ彼は、人間の脳を読み取り、その思考を解明する画期的な発明を完成していた。既に動物実験には成功し、彼は人間で試してみたいとの危険な欲望を抑えられなかった。マルクは4人の女を惨殺した連続殺人犯ジト(ディディエ・ブルドン)に目をつけ、カウンセリングと称して頻繁に近づき、巧みに彼の心を開かせていった。マルクはついに病院からジトを無断で連れ出し、マシンを作動させた。激しい痙攣から目覚めると、マルクの心はジトの肉体へ、ジトの狂気はマルクの肉体へと交換が行われていた。だが、マルクの肉体を支配したジトの脳は元へ戻ることを拒否し、マルクはジトとして病院へ監禁されてしまう。一方、ジトはマルクの姿で彼の屋敷に入り込んだ。看護人を殴り倒して病院を脱走したマルクは、実験のことを唯一知っている人間であり、彼が最も心を許せる愛人マリアンヌに電話で一部始終を告白。初めは信じられなかった彼女だが、マルクしか知らない事実を聞かされ、協力を約束した。スーパーでそっとマリーに近づいた彼女は、「マルクは実は、ジトという殺人鬼だ」と忠告するが、マリアンヌが夫を奪おうとしていると勘違いしたマリーは、そのことをジトに喋ってしまう。マルクの脱走とマリアンヌに匿われていることを知ったジトは、彼女を殺害。それを知ったマルクは銃を盗み、ジトを追う。マルクには以前から耳に良性腫瘍があったが、マルクは「腫瘍は悪性で、このままではお前は死ぬ。だから治療しよう」とジトをおびき寄せた。だが、ジトには別の考えがあった。マルクに睡眠薬を飲ませて地下室に監禁したジトは死から逃れるため、マシンを作動させてレオナールの若い肉体に乗り移った。マルクの肉体に移ってパニックになったレオナールも地下室に閉じ込めると、ジトは友人の家に避難しているマリーに電話をかけ、「ママ、パパは急用で出掛けたよ。早く帰ってきて」と懇願した。その夜、息子の微妙な変化に不安を覚えたマリーがベッドに入ると、レオナールが「一緒に寝てもいい?」と尋ねた。だが、その手には鋭いナイフの輝きが……。

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