荒野の決闘

劇場公開日:

解説

「駅馬車(1939)」「怒りの葡萄」のジョン・フォードの復員第二作で、ス テュアート・N・レイクの著作に基くサム・ヘルマンのストーリーから、この映画の製作者のサミュエル・G・エンジェルがウィンストン・ミラーと協力して脚本を書いたもの。主演は「運命の饗宴」のヘンリー・フォンダ、「血と砂(1941)」のリンダ・ダーネル、新人ヴィクター・マチュアの三人で「スタンレー探険記」のウォルター・ブレナン、新人キャシー・ダウンズ、「春の序曲」のアラン・モーブレイ、「駅馬車(1939)」のティム・ホルト等が助演している。撮影はジョー・マクドナルドの担当である。1983年12月10日よりのリバイバル時に邦題を「いとしのクレメンタイン~荒野の決闘」に改題し公開。

1946年製作/97分/アメリカ
原題:My Darling Clementine

ストーリー

1882年のことである。カウボーイのワイヤット、ヴァジル、モー グ、ジェームスの四人兄弟は、メキシコで買った牛を数千頭追って、カリフォルニアへ向かっていた。その途中、アリゾナのツームストン集落の近くで彼らはクラントン父子い会った。クラントン親父は一頭5ドルで牛を全部買おうと申し出たが、それでは買値を割るのでワイヤットは断った。その夜は集落の近くで夜営したが、あくる日兄弟が留守の時、末弟のジェームスが銃殺され、牛はことごとく盗まれてしまった。ワイヤットはクラントンの仕業とにらんで、ツームストンの警官となる。ワイヤットが酒場でポーカーをしていると、メキシコとのハーフのチワアワが流し目をつかった。彼女に気のないワイヤットが手荒くしたので恨みを買ったのは是非ないことだった。彼女は医者のホリディにほれていたので、ホリディとワイヤットが仲良くなる邪魔をしようとしたが、二人は意気投合して親友となる。ホリディは肺結核なので自爆自棄となって、西部の荒野を流れ歩いているが、もとは立派な紳士である。その彼を訪ねてはるばるボストンから許婚のクレメンタインが訪ねて来る。ホリディは自分の病身ゆえに彼女に会いたくないので、ツームストンを去ってしまう。チワアワはこのことを聞くと怒って、クレメンタインの部屋に押し入り喧嘩を始める。そのとき彼女が落としたブローチは殺されたジェームスの持ち物である。ワイヤットが詰問すると彼女はホリディにもらったと言う。ワイヤットはホリディを追って連れ帰る。ホリディとチワアワと対決させると、彼女はクラントンの息子の一人ビリーからもらったことを白状する。盗み聞いていたビリーはチワアワを射つヴァジルはビリーを追っかけて射殺するが、彼もクラントン親父に背後から射殺される。ホリディはチワアワに手術をしたが、彼女は死んでしまう。ワイヤットは逮捕状を以てクラントン牧場へ行く。モーグとホリディも同行し、壮烈な拳銃戦の結果、クラントンと四人の息子、ホリディは倒される。クレメンタインは新築される学校の先生となり、彼女と再会を約してワイヤットはモーグと共に父の許へ、ことの次第を報告に赴いた。

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映画レビュー

4.0クレメンタインは浮世離れしているから良い

2023年1月22日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

今の価値観で観るか、昔の価値観で観るかで評価が分かれる作品ですね。

古い映画は上映当時の気分に浸った上で鑑賞するのが自分の流儀なので、率直に言って西部を舞台にしたラブコメディですね。俺は好き。

観る前はもっと血なまぐさいものを想像していたのだが、荷物運びをしたり陽気にダンスを楽しむワイアットアープもとぼけていていいじゃないですか。

物足りなさを感じるのは悪党側の描き込みが無いからだけど、決闘よりも西部の町の匂いを伝えたかったのかな。雰囲気というか。

まあ、そこが魅力なんですけど。

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K・M

4.0雄大で繊細な正統派西部劇の傑作

2023年1月15日
iPhoneアプリから投稿

普段から映画を見ていれば見ているほど奥行きが感じられる映画だった。少なくとも1年前の私だったら単なるステレオタイプの西部劇としか認識できなかったと思う。

とにかく映像が雄大だ。ジョン・フォードは荒野を駆ける馬群を惜しげもなく脚から写す。というかほとんど脚しか映さない。なぜならそれが馬を一番カッコよく撮る方法だから。やがてカメラは馬群が立てる後方の土煙へと横移動していき、映画が今まさにダイナミックな運動の中にあることを受け手に体感させる。

また彼は繊細さをも併せ持っている。例えば中盤で街の人々が何やら広場のほうを目指して荷物を運ぶ光景がインサートされるが、これは作品に程よい弛緩をもたらすと同時に、その後にアープ保安官とクレメンタインが広場の真ん中に新築された簡易教会の完工パーティーにて淡いランデブーを楽しむシーンの呼び水ともなっている。一挙両得の賢い見せ方だなあと思う。

アープ保安官とクレメンタインの離別シーンについても、淡々としていたのがかえってよかった。西部の乾いた空気には涙に濡れそぼった過度なセンチメンタリズムは似合わない。誰も何も言わずとも、彼ら彼女らが心のうちに抱える寂寞は、ロングショットで映し出された無辺の荒野に点在するサボテンや奇岩たちがじゅうぶんに代弁してくれている。

確か蓮實重彦を初めて読んだとき、物語なんかどうでもいいから映像を見なさいみたいな教説を延々と聞かされてうるせ〜なクソジジイと少年じみた反抗心が湧き、それゆえ彼が評価するジョン・フォードにも食指が伸びなかった。しかし映画をとにかく見まくって、おぼろげながらもショットが何なのかを自分なりに掴みかけてきている今、彼の作品がどれだけすごかったのかがだんだんわかってきた気がする。制約が多く記名性も低い娯楽映画の範疇でこんなものがチョロっと撮れてしまうフォードやヒッチコックはやはり巨匠と言われるだけある。

そういうわけで久々に蓮實重彦の著作をパラパラとめくってみたが、清水宏を見てない奴は日本映画を語る資格がないとかコッポラは大したことない凡人とか相も変わらずうるせえクソジジイという感じで、ここまで「うるせえクソジジイ」を貫徹できる性根には少しだけ畏敬の念を抱…くわけねーだろクソジジイ!はよ映画撮れ!

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因果

5.0流れ着いた果ての場所で。

2022年8月8日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

1946年。ジョン・フォード監督。弟が殺されたことから犯人捜しのためトゥームストンで保安官をすることになるアープ。街を仕切るドク・ホリデイと奇妙な信頼関係を築き、犯人の見当もついてくるが、ドクのいいなずけ(クレメンタイン)が街を訪れて今の愛人が騒ぎ出すことから、事件は急展開していく。
アープ、ドク、クレメンタインがそれぞれ過去を持ちつつ流れ着いた場所で出会う。そこに地元のクラントン一家との抗争がからむ。そこには偶然と行き違いと複雑な力学がからみ、アープとドクは友情をはぐくみつつ銃で打ち合うし、アープとクレメンタインは他人行儀な距離と保ちつつダンスを踊ったりする。一瞬ごとに目が離せない場面と展開が続く。
流れ着いた者たちはいずれ流れ去っていく。下からあおるカメラに捉えられた白い雲の割合が多い青空。なんと豊饒な映画。なんたる解放感。

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文字読み

4.5情感豊かな、沁みる映画

2021年10月16日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

幸せ

名作と言われるだけあって、登場人物の心情に重きを置いた味わい深い語り口。白黒映画もイイですね。

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