恋多き女(1928)
解説
「肉体と悪魔」「アンナ・カレニナ」と同じくグレタ・ガルボ嬢とジョン・ギルバート氏が主演する映画で、マイケル・アーレン氏作の小説「緑色の帽子」に基づいて、「女の秘密」「マノン・レスコオ」のベス・メレディス女史が脚色し、「肉体と悪魔」「黄金の世界へ」のクラレンス・ブラウン氏が監督したもの。助演者は「野生の蘭」のルイス・ストーン氏、「踊る娘達」のジョン・マック・ブラウン氏及びドロシー・セバスチャン嬢、「愛すればこそ(1929)」のダグラス・フェアバンクス・ジュニア氏、「悪魔の日曜日」のホバート・ポスウォース氏という素晴らしい顔触れで、キャメラは「アンナ・カレニナ」「野生の蘭」「女の秘密」等のガルボ映画をクランクしたウィリアム・ダニエルス氏担任。
1928年製作/アメリカ
原題または英題:Woman of Affairs
ストーリー
ダイアナ・メリックは両親が病没して以来弟のジェフリーと2人で莫大な遺産で豪奢な生活を送った。ダイアナはサー・モートン・ホルダネスの息子ネヴィルと年少の頃から愛し合っていた。ところが2人が年頃になるとどういう所存かサー・モートンは息子とダイアナの結婚に反対した。ネヴィルはたとへ父が承認しなくとも結婚しようという愛の誓いを、いつも2人で恋を語り合った老樹の下で交した。しかしその夜サー・モートンはダイアナとの結婚は絶対に許さぬと言い渡し翌日息子をエジプトに遣った。失望に分別を失ったダイアナは面当半分に彼女に恋慕しているデヴィッド・ファーネスと結婚しカンヌに新婚旅行に赴いた。二人の晩餐の卓は二人の探偵の闖入に妨げられた。デヴィットはダイアナの愛を捷ち得るために小切手を偽造していたのであった。縄目の恥を怖れた彼は窓から飛び降りて自殺を遂げた。ダイアナは小切手の代金を弁償して故人の罪を償った。この事情は医師ヒューだけしか知らなかったので、デヴィッドの友人だったジェフリーは友人の不慮の死は信じられないと断言したので、ダイアナは世の疑惑と糾弾を受け恋人ネヴィルさえ彼女を信じなくなつた。ジェフリーは血肉を分けた姉を疑って懊悩し酒に耽って健康を損った。ダイアナは事件以来7年間欧州大陸に住んでいたが久しぶりに故郷ロンドンに帰った。死に瀕しているジェフリーはなお姉に面会を拒んだので彼女は医師ヒューを訪れた。そこで端なくもネヴィルと再会した。コンスタンスと婚約しているネヴィルの心は矢張りダイアナにあつた。2人の恋の焔は激しく燃えた。しかし翌朝ヒューがジェフリーの死を知らせた時ダイアナは自責の念に耐えず、ネヴィルとの交渉を断った。その後ネヴィルはコンスタンスと結婚したがダイアナが病床に就いてネヴィルの名を連呼したので、医師はネヴィル夫妻を枕頭に呼び迎えた。しかしダイアナはネヴィルの妻故に自分の恋をあきらめた。その後ヒューから一切の事情を聞いたネヴィルはコンスタンスと別れてもダイアナとの愛を復活させようとし、その為にサー・モートンは激昂して遂に死去した。ダイアナはネヴィルと共に南米へ行く約束をしたが、自分の故に余りに多くの人々を死なせた事を悔い、かの想い出深い愛の誓いの樹に自動車を衝突させて自ら死んだ。
スタッフ・キャスト
- 監督
- クラレンス・ブラウン
- 脚色
- ベス・メレディス
- 原作
- マイケル・アーレン
- 撮影
- ウィリアム・H・ダニエルズ
- 編集
- ヒュー・ウィン
- 題字
- マリアン・エインスリー
- ルース・カミングス
受賞歴
第2回 アカデミー賞(1929年)
ノミネート
脚本賞 | ベス・メレディス |
---|