ケンネル殺人事件
解説
「カナリヤ殺人事件」「グリーン家の惨劇」と同じくS・S・ヴァン・ダイン作の探偵小説乗映画化で、同じくウィリアム・パウエルがファイル・ヴァンスに、ユージーン・ポーレットがヒース警部に扮して活躍する。脚色は「恐怖の甲板」のロバート・プレスネルが任じ「犯罪王リコ」「七万人の目撃者」のロバート・N・リーがピーター・ミルンと共同して撮影台本を作り、「肉の蝋人形(1933)」「暁の耕地」のマイケル・カーティズが監督にあたり、「マルタの鷹(1931)」のウィリアム・リーズが撮影した。助演は「笑う巨人」のメアリー・アスター及びヘレン・ヴィンソン、ラルフ・モーガン、ジャック・ラルー、アーサー・ホール、ロバート・マクウェード、ロバート・バラット等である。
1933年製作/アメリカ
原題または英題:The Kennel Murder Case
ストーリー
スポーツマンで且つ骨董品蒐集家のアーチャー・コーが内部から戸締まりをした自分の寝室で死んでおり頭はピストルで射抜かれている。最初は自殺らしく思われたが死骸を仔細に検案した結果他殺であることが判明する。彼を殺しそうな人物は数人ある。彼の隣に住んでいるサー・タマス・マクドナルドはコーが自分の愛犬のスコッチ・テリヤを殺したと信じてコーを殺すと言っており、コーの姪ヒルダ・レークは伯父の無情な仕打ちを恨み、秘書のリードはヒルダとの結婚を拒絶されたのでやはりコーを恨み、中国人コックの梁はコーが蒐集した貴重な中国骨董品を売ろうとするので憤慨し、執事のギャンブルは博徒上がりの強か者であること、コーの妾ドリス・デラフィールドは最近彼にすてられたこと、イタリア人のグラッシは故国ミラノの博物館の依頼を受けてコーの蒐集した中国骨董品をかい射れようとして失敗したことで夫々コーを殺すべき相当の理由がある。凶行の演ぜられる前にシカゴに向けて発ったはずの被害者の弟ブリスベーンも兄とは平素仲が悪く、且つその足取りを調べた結果シカゴ行の列車にならなかったことが判明する。詳細に現場を検証した結果色々意外な事実が続々と発見され殊に有力な容疑者の1人ブリスベーンもまた死体徒なって戸棚の中から発見される。でブリスベーンを除いた7人の容疑者のどれもが真犯人の如くに思われるし、と言って確証はつかめず事件は迷宮入りかと危ぶまれるが、素人探偵ファイロ・ヴァンスの巧妙な探偵術によって遂に真犯人が検挙される。犯人はコーを暖炉用の灰掻き棒で殴り倒し更に背を刺して逃れる。その後コーは意識を回復して自分の寝室へ行きそこで絶命するが、犯人は死んだはずのコーの姿を見て止めを刺しに引き返す。その時戻ったブリスベーンを兄と間違えて殺したのである。この犯人は7人の容疑者中の何人であろうか?
スタッフ・キャスト
- 監督
- マイケル・カーティス
- 脚本
- ロバート・プレスネル
- 脚色
- ロバート・N・リー
- ピーター・ミルン
- 原作
- S・S・バン・ダイン
- 台詞
- アーサー・グレヴィル・コリンズ
- 撮影
- ウィリアム・リース