グローリー(1989)

ALLTIME BEST

劇場公開日:

解説

南北戦争を舞台に、実在したアメリカ史上初の黒人部隊を描いた戦争ドラマ。アメリカが南北戦争に突入した1860年代初頭。若き北軍大佐ショーは、黒人だけで構成される第54連隊の指揮官に就任する。入隊志願者の多くは南部から逃れてきた元奴隷の人々で、戦闘経験こそないが士気は高い。しかし北軍内部にも根強い人種差別が蔓延しており、必要物資は支給されず、戦闘にも加わることができない。過酷な訓練を続ける中で、ショーは兵士たちとの間に厚い信頼関係を築いていく。やがて、ショーの必死の訴えによりようやく戦闘に参加した彼らは、そこで目覚ましい成果を挙げる。監督は「ラストサムライ」「きのうの夜は…」のエドワード・ズウィック。1990年・第62回アカデミー賞で助演男優賞(デンゼル・ワシントン)、撮影賞、音響賞を受賞した。

1989年製作/122分/アメリカ
原題または英題:Glory
配給:トライ・スター映画=コロムビア/トライ・スター映画
劇場公開日:1990年4月20日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第47回 ゴールデングローブ賞(1990年)

受賞

最優秀助演男優賞 デンゼル・ワシントン

ノミネート

最優秀作品賞(ドラマ)  
最優秀監督賞 エドワード・ズウィック
最優秀脚本賞 ケビン・ジャール
最優秀作曲賞 ジェームズ・ホーナー
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映画レビュー

4.0【今作は、アメリカ南北戦争を描きながら、その中で人間の尊厳、栄誉、人権及び人種間を越えた白人大佐と黒人兵達との友情と連帯する姿を、苛烈なる戦闘シーンの中で描き出した逸品である。】

2024年12月30日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

興奮

幸せ

ー 今作は南北戦争時に実在した北軍の黒人部隊”マサチューセッツ54連隊”の発足からワグナー要塞での苛烈なる戦闘シーンを描いている。
  戦争映画では、鑑賞後に重い気分になる事が多いのだが、不謹慎ながらこの作品は涙が込み上げつつも、何故か爽やかなる気持ちになったのである。
  それは、今作の主役とも言える白人であるロバート・グールド・ショー大佐を演じたマシュー・ブロデリックと、今作により一躍名を馳せた黒人のトリップ演じるデンゼル・ワシントンの人間としての生き方と、ジョン・ローリンズ曹長を演じたモーガン・フリーマンの抑制した見事なる演技に依る所が多いと思うのである。-

■1860年代初頭、黒人だけで組織されるマサチューセッツ第54連隊が発足する。南北戦争で黒人解放を訴えたリンカーン大統領を支持する北軍の支援をするのだが、当初は彼のの命令で、黒人兵は戦闘に参加できなかった。
 その事に業を煮やした指揮官・ロバート・グールド・ショー大佐は総司令官を動かし、その後、第54連隊は目覚ましい活躍をするのである。

◆感想<Caution!内容に触れています!>

・北軍に属していたとはいえ、序盤は黒人部隊を取り巻く環境は厳しい。軍服はおろか、靴や靴下も支給されずに黒人部隊の多くは裸足で行進の練習をしている。
 そして、トリップは野営中に抜け出して靴を得ようとするも捕まり、むち打ちの刑を受けるが、その際に彼が毅然としてロバート・グールド・ショー大佐の眼を見ながらも、瞬き一つせずに流す一筋の涙。若きデンゼル・ワシントンの抗議と哀しみを綯交ぜにした表情が素晴らしい。
 そして、ロバート・グールド・ショー大佐は、備品を横流ししていた愚かしき備品係を叱り付け、黒人たちに軍服、靴、靴下を支給させるのである。その際の黒人たちの嬉しそうな表情。ジョン・ローリンズ曹長を始め、奴隷制度から逃れて来た人が多かった事も遠因しているであろう。

・ロバート・グールド・ショー大佐は、黒人たちに厳しく訓練を指導する。銃を与えられた彼らに対し、玉込めから発砲まで一分間で3発撃つ事を要求するのである。彼の知り合いであった知識人であるトーマスに対しても、同じ扱いをする。トーマスは涙ながらに抗議しようとするが・・。
 だが、彼の親友であるフォーブス少佐(ケイリー・エルウィズ)から諫められるほどの厳しき指導が、戦時での彼らの事を想っての事であった事が、次第に分かるのである。

・黒人兵たちの肉体的な運動能力の高さや、休憩中には明るい笑いを浮かべる姿。彼らが最早、奴隷ではなく人間として扱われている事への誇りと喜びであろう。

・黒人兵たちの給料が、何の通達もなく13弗から10弗に減らされるシーン。素直に受ける者がいる中で、毅然と抗議するトリップ、ジョン・ローリング。そして他の黒人たちも同調する中、ロバート・グールド・ショー大佐も壇上で同じく通達書を引き裂くのである。湧きあがる54連隊。人種、上司部下を越えてロバート・グールド・ショー大佐が、54連隊を一つにしたシーンである。胸が熱くなる。

・だが、54連隊は中々最前線に立てない。肉体労働ばかりで士気は落ちるばかり。業を煮やしたロバート・グールド・ショー大佐はモンゴメリー大佐に直訴するのである。実は彼が様々な着服、横領、戦地の家屋での略奪を行い私腹を肥やしていた事をロバート・グールド・ショー大佐は知っていたからである。
 そして、漸く54連隊は前線に立つ。
 だが、彼らを待っていたのは史実にもある、難攻不落のワグナー要塞であった。だが、ロバート・グールド・ショー大佐は、被害が大きい戦闘部隊を54連隊に任せるように志願するのである。54連隊の黒人兵たちは大佐の申し出に従うのである。

・苛烈なる戦闘の中、降り注ぐ砲弾に次々に54連隊の隊員は浜辺で斃れて行く。だが、ロバート・グールド・ショー大佐は身分から言えば後方で戦闘を見る選択肢も有ったと思うのだが、彼は兵を率いる将として先頭に立って敵に向かって行くのである。
 そして、銃弾に撃ち抜かれた彼の姿を見て、黒人兵のトリップは最初辞退していた旗を握り、敵陣に突っ込むのである。

 <ラスト、窪地にジョン・ローリンズ曹長の遺体が横たわり、その横にロバート・グールド・ショー大佐の遺体が放り込まれる。その横にはトリップの遺体もある。
 史実にもあるがワグナー要塞では、54連隊は大いなる損害を受けている。だが、テロップに流れるように、彼らの戦いぶりを知ったリンカーン大統領は、黒人部隊を正式に認め、南北戦争で北軍が勝利した(と言う事は、黒人の奴隷解放宣言をしたリンカーンの勝利。)大いなる原動力になった事が綴られるのである。
 今作は、南北戦争を描きながらその中で、人間の尊厳、栄誉、人権、人種間を越えた白人大佐と黒人兵達との友情と連帯する姿を、苛烈なる戦闘シーンの中で描き出した逸品なのである。>

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NOBU

4.0あんなに

2024年11月24日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

無駄な死に方ってあるんか~。

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symi

0.5タイトルなし(ネタバレ)

2023年7月10日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
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アンドロイド爺さん♥️

3.0アメリカ史上初の黒人部隊。 当初は肉体労働ばかりを強いられていたが...

2022年8月17日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

アメリカ史上初の黒人部隊。
当初は肉体労働ばかりを強いられていたが、やがて前線に送り出されて戦果を挙げていく。
やたらと戦争をやりたがるところは違和感があったが、自由を得るためには命は二の次だったのかもしれない。
私の知識として、リンカーンといえば「奴隷解放宣言」だったが、本作において、リンカーンはむしろ奴隷制を推進するろくでもない大統領という扱いになっている。
どちらが真実なのだろうか。

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省二