首輪のない犬
劇場公開日:1956年9月19日
解説
“首輪のない犬”とは、親許から離れた寄るべなき子供達のこと。この浮浪児問題に深い関心を持つ新進作家ジルベール・セブロンの小説を、「赤と黒(1954)」のコンビ、ジャン・オーランシュとピエール・ボスト、「禁じられた遊び」のフランソワ・ボワイエの三名が共同で脚色・台詞を担当し、「愛情の瞬間」のジャン・ドラノワが監督。撮影は「現金に手を出すな」のピエール・モンタゼル、音楽は「そこを動くな」のポール・ミスラキ。浮浪児救済の仕事に挺身する少年裁判所判事ラミイに扮する「殺意の瞬間(1956)」のジャン・ギャバンをめぐり、無名の新人達が好演している。他に「現金に手を出すな」のドラ・ドルなど。
1955年製作/フランス
原題または英題:Chiens Perdus Sans Collier
配給:東和
劇場公開日:1956年9月19日
ストーリー
少年係ラミイ判事(ジャン・ギャバン)の頭のなかは、不幸な子供達のことだけで一杯。それだけに彼は子供の心理をつかむのが巧く、又温かい心をも持っていたが、それを知らぬ少年達は判事を目の仇にした。競技場の更衣室で財布を盗んで捕まった十七歳のフランシス少年(セルジュ・ルコワント)もその一人。彼は両親のないまま中風病みの祖父やアル中の祖母と一部屋きりのあばら屋で暮していた。手相から少年を短命だと決めこんでいる祖母も、いい齢をして男を相手の商売で稼ぐという惨めな生活。少年達の墜落を防ぐため時には法を曲げても家庭に送り返すのを信念とする判事も、この場合むしろ少年教護所への収容を適当と考え、成年まで教護所に入れると判決。だが早熟なフランシスには同じ年頃のシルヴェット(アン・ドア)という恋人があり、すでに彼の子を宿していた。同じ頃、アラン・ロベール(ジミー・ウルバン)という少年が連れて来られた。両親に逢うのが唯一の希望で、放火で自分の名が新聞に出れば両親の目に留まるだろうと預けられていた農家に火を放って逃げたのだ。アランとフランシスは共々教護所へ。アランはフランシスを兄同様慕うようになる。判事は一計を案じ、親代りに毎週、絵入り新聞をアランに送る。送り主不明の新聞にも、アランの胸に灯った明るい希望。だがシルヴェットの手紙を総て判事に押えられたフランシスは焦慮。遂にシルヴェットは判事のアパートを訪ね一切を告白。判事は翌日教護所を訪れると約束したが、その晩、フランシスはアランを伴い脱走。発見した所員を鉄棒で殴り倒す。足手まといの故にフランシスと別れたアランは、新聞の送り主を探している処を刑事にみつかり判事の許へ。一切の事情を知りアランの夢は消えたが判事のやさしい言葉に送られ山間の救護所へ行くことになる。一方判事は警官を派してシルヴェットを見張らせ、生れる子供をも含めた三人を救おうとした。だが河船で逃れようとした二人の許へ行った刑事らの眼前、シルヴェットはフランシスを逃すため自ら河中に飛びこみ刑事の注意を惹く。愛する彼女を救うべく河に躍り込んだフランシスの力も続かず、二人の姿は中流で水中に没した。幾度捕えても母親の許へ逃れる十歳のジェラール(ジャック・ムウリエール)。母親は養育に適さない女だし生活環境も悪い。だが判事が連れ戻しにロオヌ河畔の村を訪れた時、村は祭。母親ジョセフィヌと結婚した軽業師の仕事を手伝うジェラールの嬉しげな姿。ラミイ判事は少年のさし出す椀の中に銀貨を入れ、そのまま背を返した。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ジャン・ドラノワ
- 脚色
- ジャン・オーランシュ
- フランソワ・ボワイエ
- ピエール・ボスト
- 原作
- ジルベール・セブロン
- 台詞
- ジャン・オーランシュ
- フランソワ・ボワイエ
- ピエール・ボスト
- 撮影
- ピエール・モンタゼル
- 音楽
- ポール・ミスラキ