霧の波止場
劇場公開日:1949年12月30日
解説
「悪魔が夜来る」のマルセル・カルネが「北ホテル」に先んじて監督したもので、ピエール・マッコルランの小説に基き、「悪魔が夜来る」「幻の馬」のジャック・プレヴェールが、カルネと協力して脚色し、台詞は自身執筆している。撮影はナチ制覇以前のドイツ映画の名キャメラマン、オイゲン・シュフタンで装置と音楽は「北ホテル」と同じく、それぞれアレクサンドル・トローネとモーリス・ジョーベールである、主演は「狂恋」「大いなる幻影」でジャン・ギャバン、「珊瑚礁」でギャバンと共演したミシェル・モルガン「流血の港」「旅路の果て」のミシェル・シモンで「高原の情熱」のピエール・ブラッスール及びレイモン・エーモス、「どん底」のロベール・ル・ヴィギャン、エドゥアール・デルモン等が助演している。
1938年製作/フランス
原題または英題:Port of Shadows Le Quai des Brumes
劇場公開日:1949年12月30日
ストーリー
脱走兵のジャンは何もかも嫌になっていた。夜道を歩いてル・アーヴルを目指す彼は、トラックに乗せてもらった。しかしトラックの前を犬が横ぎると、ハンドルを切って犬を救ける男だ。ジャンはル・アーヴルの波止場の酒場に辿り着いた。パナマ帽をいつもかぶっているので、パナマと呼ばれている一人者の中年男が経営している。そこでミシェルという画家に会って、人生のきらうべきことについて語ったジャンは、ネリーという美しい女に会って、何か人生が明るくなった気がした。生きる目あてが出来たねと笑った画家は、服もクツも帽子も絵具箱も残して入水自殺下。パナマはジャンに軍服を脱げと言って、画家の所持品一切をもらえとすすめた。そこでジャンは絵筆を持ったことのない画家となった。ところでネリーであるが、彼女も人生はきらわしいと思っていた。彼女はザベールの雑貨店に働いているが、ひげもじゃのりんしょく男のザベールは、遠縁のネリーを世話しているのを恩にきせ、女房にしようとしている。美しい彼女には与太者のリュシアンも口説いてみたことがあるが、ひじ鉄砲を食ってから持久戦である。ザベールはリュシアン等と盗品故買だかの関係があり、その身辺はかなり危険で、リュシアンに制裁されようとした事もある。その事でネリーも脅迫されてジャンに助けられた。力強く命知らずらしい彼は、リュシアンにはじゃま者だ。ネリーがジャンにほれているのが、またしゃくの種である。ジャンはネリーと二人で、ブラジル辺りへ高飛びして了おうと企てる。二人で遊園地へ遊びに行くと。、リュシアンも女を連れて来て居り、またもやジャンのために醜く器量をさげる。リュシアンはジャンを深くうらむ。ザベールいはネリーがジャンと高飛びすることを知り、しっとのあまりネリーが暴力で手に入れようとする。来合せたジャンはザベールをなぐり飛ばす。倒れたザベールは頭をうって即死して了う。ネリーを救うためであり、正当防衛とも言える行為であるが、世を忍ぶ脱走兵の身の上では、出るところへも出られない。逃げるほかはない。ブラジル行の船に船室は予約してあるので、ネリーは画家として船に乗ってくれと頼む。あとで必ず来いと別れてジャンは乗船した。しかし、ネリーのことが気にかかる。ジャンは船からかけ出してザベールの雑貨屋へ赴く。その二、三軒手前まで来たとき、走り乗った自動車からピストルを握った手が出て発射した。ジャンは倒れた。物音に店からとび出したネリーは、会いする男の死体を抱いて声をあげて泣いた。波止場ではブラジル行の汽船の汽笛がボーと鳴った。
スタッフ・キャスト
- 監督
- マルセル・カルネ
- 脚色
- マルセル・カルネ
- ジャック・プレベール
- 原作
- ピエール・マッコルラン
- 台詞
- ジャック・プレベール
- 撮影
- ユージン・シュフタン
- カメラ
- アンリ・アルカン
- ルイ・パージュ
- Rene Fossard
- セット
- アレクサンドル・トローネ
- 音楽
- モーリス・ジョーベール