キャット・バルー

劇場公開日:

解説

ロイ・チャンスラーの小説「キャット・バルーのバラード」を、ウォルター・ニューマンとフランク・R・ピアソンが共同脚色、TV「ドクター・キルデア」や「弁護士プレストン」の監督エリオット・シルヴァースタインの劇場映画第一作。撮影は「春来りなば(1956)」のジャック・マータ、音楽は「ちょっとご主人貸して」のフランク・デヴォール(主題歌はマック・デイヴィッドとジェリー・リヴィングストン)が担当した。出演は「輪舞」のジェーン・フォンダ、「殺人者たち」のリー・マーヴィン(2役)「勝利者(1963)」のマイケル・カランのほかに、歌手役で「セントルイス・ブルース」のナット・キング・コール、スタッビー・ケイ。製作は「終身犯」のハロルド・ヘクト。

1965年製作/アメリカ
原題または英題:Cat Ballou
配給:コロムビア
劇場公開日:1966年2月12日

あらすじ

1894年。バルー(ジェーン・フォンダ) は教師の資格をとり、久しぶりに故郷のウォルフ・シティに帰ってきた。しかしそこには意外なことが待ちうけていた。牧場を経営しているバルーの父フランキーと町の顔役パーシバルとの間に利権をめぐる対立が生じていたのだ。パーシバルはウォルフ・シティ開発会社をつくり、大食肉解体場を中心とした帝国を築こうとしていた。その計画に反対し、加わることを拒みつづけたフランキーに、パーシバルは殺し屋ストロウン( リー・マーヴィン) をさしむけた。バルーは汽車の中で知りあったクレイ( マイケル・カラン) 、彼の伯父ジェド、そしてガン・マンとして名高いシェリーン( リー・マーヴィン、2役)に助力を頼んだが、時すでに遅く、フランキーはストロウンの凶弾に倒れた。バルーは復讐を誓い仲間とともに山にこもった。数日後、バルーとその一味は列車強盗を企て、ウォルフ・シティ開発会社の給料を強奪、町に挑戦を開始した。やがて彼女らの悪名はその地一帯に広まり、人々は彼女を“キャット・バルー”と呼ぶようになった。バルーがクレイに愛情を感じはじめた頃、思いがけない事実がわかった。シェリーンとストロウンは実の兄弟だったのだ。しかし2人の間に芽生えた憎しみを消し去ることはできない。バルーとパーシバルの対決の日彼女は宿敵を倒した。しかしバルーも傷つき捕らえられて縛り首にされそうになったが、クレイに助けられた。すべては終わり、バルーとクレイは新しい生活を求め、ウォルフ・シティをあとにするのだった。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第23回 ゴールデングローブ賞(1966年)

受賞

最優秀主演男優賞(コメディ/ミュージカル) リー・マービン

ノミネート

最優秀作品賞(コメディ/ミュージカル)  
最優秀主演女優賞(コメディ/ミュージカル) ジェーン・フォンダ
最優秀主題歌賞
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映画レビュー

2.5不世出のエンタテイナー、ナット・K・コールの遺作。

2025年2月4日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

単純

 ジェーン・フォンダ、リー・マーヴィン主演のコメディ西部劇。

 いきなりオープニング・ロゴのコロンビア・レディ(女神)が女ガンマンに変身して二挺拳銃で撃ちまくる。タイトル忘れたけど、同社の映画には女神の首が転がり落ちるホラーも。こういうお遊びは好き。
 古典的な西部劇映画の旋律に交えて、エレキギターのポップな要素も駆使したフランク・デ・ヴォールのBGMもユニーク。

 シナリオは凡庸だし、演出にも目を見張るほどのものはない。それでも退屈せずに最後まで観られたのは、大企業の横暴、見世物化した処刑に群がる群衆、女性や人種に対する偏見など、社会批判や諷刺が随所に散りばめられているから。

 父を殺されたキャシーらが逃げ込んだ「壁の穴」は有名なギャング団の巣窟。1969年の『明日に向って撃て!』に先駆けてブッチ・キャシディが登場するが、もはやヨボヨボ…。
 19世紀末の終わりゆく西部を舞台にしたのも、旧い価値観へのアンチテーゼなのか。
 先住民に好意的なものの、ジャクソンが下僕のように白人に尽くし、偶然頭の皮(頭髪)を剥ぎ取り、興奮して奇声を発するなど、ステレオタイプな描き方なのがやや残念。

 キャシー役のJ・フォンダは有名な俳優一家出身。後年、社会派作品の出演が増える。

 普段こわもてやストイックなタフガイを演じることの多いリー・マーヴィンが、本作ではコメディと一人二役に挑戦。
 本来、彼の役にはカーク・ダグラスが予定されていたが、本人が拒否。代わって指名されたマーヴィンには、前年世界的に大ヒットしたマカロニ・ウエスタン『荒野の用心棒』の続編からもオファーがあったが本作を優先。そちらの代役には『リバティ・バランスを射った男』(1962)でマーヴィンと共演した脇役俳優リー・ヴァン・クリーフが抜擢。放っておけば同作が役者クリーフの引退作になった筈が、『夕陽のガンマン』(1965)でのモーティマー大佐役が嵌まった彼は40歳にしてブレイク、その後マカロニ・ウエスタンの大スターに。人生の綾は不思議なものです。
 一方のマーヴィンは本作を択んだ結果、オスカーはじめ複数の主演男優賞を獲得。でも、そこまでの演技かは、少々ギモン。どうしても大佐役のクリーフと比較してしまう。

 ユダヤ系のコメディアン、スタッビー・ケイとともに弾き語りの進行役をつとめたのは、歌手ナタリー・コールの父としても知られるジャズマンのナット・キング・コール。
 当時既に癌が悪化していたが、最後まで撮影に参加したコールは、作品公開前に他界。
 人気者だった彼が命を賭けねばならないほどの作品だったか、彼でなければならない役だったかはもっと疑問。

 NHK-BS4Kにて視聴。

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TRINITY:The Righthanded Devil

4.0飲んだくれガンマン

2021年11月11日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

教師の資格を取ったバルー(ジェーン・フォンダ)が故郷に戻ってくる。
ところが実家は開発業者に立ち退きを迫られ、遂に父が殺し屋(リー・マービン)に殺されてしまう。
バルーは格安のガンマン(リー・マービン二役)を雇うが、飲んだくれで使い物にならない。
可愛いジェーン・フォンダとリー・マービンの名演技、そしてナット・キング・コールの歌で飽きさせない。

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いやよセブン

4.0アメリカ人の大好きな

2021年10月9日
スマートフォンから投稿

西部劇コメディにミュージカルを散らした、アメリカ人が一番好きなパターンですが、アメリカで特に評価が高いのは国民的歌手コール君の辞世の作品だからでしょう。
この手の作品はアメリカ人じゃないとわかりづらいジョークやパロディが多いですが、これは古き良き銀幕の黄金時代の最後の輝きが残っていた時期の、観た人みんなを楽しくさせてくれる王道喜劇です。

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越後屋

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