危険な年
劇場公開日:1984年7月14日
解説
1965年、右翼と左翼の対立が飽和点に達しようとしていたスカルノ政権末期のインドネシアを舞台に、外国人ジャーナリストの取材活動、友情と恋をスリリングに描く。製作はジェームズ・マッケルロイ、監督は「誓い」のピーター・ウェアー、原作はクリストファー・J・コッチ、脚本はコッチ、ウェアー、デビッド・ウィリアムソン、撮影はラッセル・ボイド、音楽はモーリス・ジャール、美術はハーバート・ピンター、編集はビル・アンダーソンが担当。出演はメル・ギブソン、シガニー・ウィーヴァー、リンダ・ハント(この作品で男性カメラマンを演じ第56回アカデミー助演女優賞を受賞している)、マイケル・マーフィー、ノエル・フェリヤー、ビル・カー、ポール・ソンキラなど。
1983年製作/オーストラリア
原題または英題:The Year of Living Dangerously
配給:CIC
劇場公開日:1984年7月14日
ストーリー
1965年春、インドネシアは独立宣言後20年も経ちながら民衆の生活はいっこうに向上せず、街には乞食や売春婦があふれ、農民もまた貧しかった。そんな状況を背景に共産党(PKI)が次第に力を持ち始め、20年間も独占政権をほしいままにしてきたスカルノをおびやかしていた。オーストラリアの放送局員ガイ・ハミルトン(メル・ギブソン)が特派員としてジャカルタにやってきたのは、そんな右翼と左翼の対立が一触即発の不穏な政治状況下のときだった。その夜、ハミルトンはホテルでワシントン・ポストのカーティス(M・マーフィ)、ヘラルド新聞のウォーリー(ノエル・フェリヤー)、フリーのカメラマン、ビリー・クワン(リンダ・ハント)と会った。クワンはオーストラリア人と中国人の混血で小人だった。クワンはハミルトンに好意を示し、彼のために共産党のリーダー、アイディットへの独占インタビューの段取りを整え、これを成功させた。ハミルトンの大スクープとして高く評価されたが、記者仲間の眼差しは冷やかだった。オアシス・ホテルのプールサイドでハミルトンはクワンに英国大使館のヘンダーソン(ポスト・カー)とその秘書ジル・ブライアント(シガニー・ウィーヴァー)に紹介される。ジルは二週間後にロンドンに帰るのだと楽しげに語るのだった。街は反体制のデモ隊が溢れ、ハミルトンはクワンと運転手クマールを連れて取材に出かけたが、足にケガをしてしまい、クワンの家で手当てを受けた。ジャカルタの運河ぞいのバラック街をクワンが歩いている。そこの一軒には養女のイヴと彼女の子供がいるが、子供は病気のために寝たきりだ。クワンは医者にみせるよう金を渡すが、砂漠に注ぐ一滴の水に等しい自分の行為の無力さに一人沈み込んでいく。運河の水を飲んだり水浴をしてはいけないと忠告しても、昔からの習慣を彼らは決してやめないのだ。この無知な民衆を前にいったい何ができるというのか。その後、ジルとハミルトンは逢瀬を重ねお互いにひかれていった。ジルは大使館に流れてきた極秘メッセージを、ハミルトンの身に迫った危険を救いたいばかりに彼に知らせてしまう。ある日、ハミルトンはクマールを連れて港に出かけた。しかし彼が車で眠っている間にクマールはジャワの田舎へ彼を連れていってしまう。そこで初めてクマールとその妻タイガー・リリィがPKIのメンバーであることをハミルトンは知った。一方、クワンはイヴの子の死をみつめ、スカルノ批判を声高に叫ぶが警官に追いつめられホテルの窓から劇的な死を遂げるのだった。ショックをうけたハミルトンとジルはクワンが長年集めた情報ファイルを守るため彼のバンガローに行く。警官に追われた二人は、空港での再会を約束して別れた。それから間もなく、スカルノ失脚のニュースが伝えられた。1965年10月l日のことである。共産党のクーデター失敗に乗じて政権を奪取した軍部の猛烈な共産党狩りが始まった。戒厳令の敷かれる中、ハミルトンは外国の記者ということで検問を連り抜け空港にかけつける。クマールに送られてジルの待つ飛行機にハミルトンは消えていった。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ピーター・ウィアー
- 脚本
- デビッド・ウィリアムソン
- ピーター・ウィアー
- クリストファー・J・コッチ
- 原作
- クリストファー・J・コッチ
- 製作
- ジェームズ・マッケルロイ
- 撮影
- ラッセル・ボイド
- 美術
- ハーバート・ピンター
- 音楽
- モーリス・ジャール
- 編集
- ビル・アンダーソン
- 字幕
- 金田文夫
受賞歴
第56回 アカデミー賞(1984年)
受賞
助演女優賞 | リンダ・ハント |
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第41回 ゴールデングローブ賞(1984年)
ノミネート
最優秀助演女優賞 | リンダ・ハント |
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第36回 カンヌ国際映画祭(1983年)
出品
コンペティション部門 | |
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出品作品 | ピーター・ウィアー |