うたかたの日々
劇場公開日:1995年3月11日
解説
小説家、戯曲家、翻訳家、詩人、画家、俳優など、様々な分野で活躍したクリエイター、ボリス・ヴィアン(20~59)の同名小説(邦訳・早川書房刊)の映画化作品。激しい恋に落ちた男女の出会いと別れを、SF的な小道具とシュールな描写を駆使して描く。原作は46年に発表され、当時は“世界一悲痛な恋愛小説”とレーモン・クノー(「地下鉄のザジ」の原作者)に評されたものの、同年ヴィアンが別名義で書いた『墓に唾をかけろ』が、その不道徳な内容からセンセーションを巻き起こしベストセラーとなったため、その陰に隠れてしまった。ヴィアンの死後の63年、ペーパーバックで再発売されるや若者の熱狂的な支持を受け、現在では“永遠の青春小説”としてフランスで400万部を越えるミリオン・セラーとなっている。シャルル・ベルモン監督による映画化である本作は68年公開されたが、学生運動のためパリの多くの映画館が閉鎖されていたこともあって、少数の映画館での短期間上映を余儀なくされる。94年、パリで26年ぶりにリバイバルされ話題を呼び、日本でも初公開された。製作総指揮は「アルファヴィル」(65)のアンドレ・ミシュラン、製作は「アデルの恋の物語」(75)のクロード・ミレール、音楽は「赤と青のブルース」(60)、「無伴奏『シャコンヌ』」(原作)のアンドレ・オディール。出演はジャック・ペラン、サミー・フレー、マリー・フランス・ピジェ、ベルナール・フレッソン、アレクサンドラ・スチュワルトら。絶世の美女クロエを演じたのは、これが唯一の出演作品となったアニー・ビュロン。
1968年製作/フランス
原題または英題:L'ecume des jours
配給:日本ヘラルド映画
劇場公開日:1995年3月11日
ストーリー
哲学者ジャン=ソール・パルトルの熱狂的なファン、アリーズ(マリー・フランス・ピジェ)とシック(サミー・フレー)は、ゴミ箱に捨てられていたパルトルの原稿が縁で、たちまち恋に落ちた。金持ちの青年コラン(ジャック・ペラン)はそんな彼らの様子を見て、恋に恋する気持が募るばかり。料理人ニコラ(ベルナール・フレッソン)の誘いでサイクリングに出かけたコランは、絶世の美女クロエ(アニー・ビュロン)と出会う。一目で激しく惹かれ合った2人は、ニコラ、彼の女友達のイジス(アレクサンドラ・スチュワルト)、シック、アリーズ立ち会いの許、すぐさま結婚式を挙げた。だが新婚旅行の途中、クロエの咳が止らなくなる。医者に診てもらったところ彼女の肺には睡蓮の花が咲いていた。この奇妙な病気を直すため、クロエはたくさんの睡蓮が飾られた部屋での療養生活を強いられる。高価な睡蓮の花を買うためにコランは生まれて初めて労働を経験、職を転々とした挙句、世間から忌み嫌われている“凶報車”(まもなく死を迎える人に、それを告知する)のドライバーになった。一方、シックに恋したためパルトル熱がさめてしまったアリーズは、パルトルの本にしがみついて自分を顧みてくれないシックに困り果て、しばらく本を出版しないでとパルトルに直談判するが、勢いで彼を刺してしまう。心地好いある日、クロエは病室を抜け出し街へ出かける。コランは凶報車の中で、クロエが死ぬから知らせに行けと連絡を受ける。ようやくコランはクロエを見つけるが、彼女は彼の腕の中で静かに息をひきとった。葬儀の日、コランはクロエの亡骸が乗った霊柩車を奪い、新婚旅行で滞在した閑静なホテルに赴く。ホテルのフロントにはアリーズそっくりの娘が座っていた。
スタッフ・キャスト
- 監督
- シャルル・ベルモン
- 脚本
- Pierre Pellegri
- フィリップ・デュマルセー
- シャルル・ベルモン
- 原作
- ボリス・ビアン
- 製作総指揮
- アンドレ・ミシュラン
- 製作
- クロード・ミレール
- 撮影
- Jean Jacques Rochut
- 美術
- Auguste Pace
- 音楽
- アンドレ・オディール
- 録音
- Jean Barronet
- 編集
- Jean Mamon
- 字幕
- 寺尾次郎