アルジェの戦い
劇場公開日:2016年10月8日
解説
1954年から62年にかけてフランスの支配下にあったアルジェリアで起こった独立戦争を描き、66年のベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞した戦争映画の名作。ジャーナリスト出身のジッロ・ポンテコルボ監督が、目撃者や当事者の証言、残された記録文書をもとに、戦争の実体をドキュメンタリータッチでリアルに再現。アルジェリア市民8万人が撮影に協力し、主要キャストには実戦経験者を含む一般人も多数参加。戦車、武器類はアルジェリア軍より調達された。アルジェリアの首都アルジェのカスバでオールロケを敢行し、5年の歳月をかけて製作。エンニオ・モリコーネが音楽を担当している。ベネチア映画祭でグランプリにあたる金獅子賞を受賞した際、現地入りしていたフランス代表団が「反仏映画」として反発し、フランソワ・トリュフォーを除く全員が会場を退席したという逸話が残されている。67年に日本初公開。2016年に、オリジナル言語版のデジタルリマスター版が公開。
1966年製作/121分/イタリア・アルジェリア合作
原題:La Battaglia Di Algeri
配給:コピアポア・フィルム
日本初公開:1967年2月25日
スタッフ・キャスト
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2018年8月27日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
1966年に公開され、ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を獲得するほか、世界中で高く評価された一作。あれからが50年、ドキュメンタリー・タッチのモノクロ映像がもたらす衝撃は今なお微塵の色褪せも感じさせない。登場人物たちの怒り、焦燥などをクローズアップで克明に捉えるカメラワークも徹底しているし、何よりも街のあちこちで時限爆弾が炸裂するテロ場面などは、よくもこれほどの迫真のリアリティで描けたものだと感心する一方、世界の歴史や現実を突きつけられたかのようで心が凍りつくのを感じる。
今をときめく大御所の中には本作を信奉してやまない人も多数存在する。例えばアルフォンソ・キュアロンはその筆頭だ。未来世界をドキュメンタリー・タッチで描いた『トゥモロー・ワールド』の冒頭のテロ爆破などを見比べてみると、そのあまりの影響ぶりに頭をなぶられたような衝撃を受けるはず。映画史を紐解く上でも重要な一作と言えるだろう。
2022年2月21日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
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ー ジャーナリスト出身のジッロ・ポンテコルヴォ監督がアルジェリア独立を求めるレジスタンス達と、支配国フランスから派遣された元ナチス政権と戦ったフィリップ・マチュー中佐との攻防をドキュメンタリータッチで再現。
エンニオ・モリコーネが手掛けた緊張感あふれる音楽も印象な作品。
◆感想
・アルジェリア独立を求めるレジスタンス達と、支配国フランスから派遣された元ナチス政権と戦った中佐との攻防が、緊迫感溢れる映像で描き出される。
そこには、且つてはナチスに制圧されたフランス軍が、アルジェリア独立を求めるレジスタンス達FLN(民族解放戦線)を制圧しようとする矛盾がシニカルに描かれている。
・カスバを拠点とするFLN(民族解放戦線)の指導者たちを、執拗なまでに炙り出そうとするフィリップ・マチュー中佐の姿は、ユダヤ民族を虐殺したナチスドイツのSSに重なって見える。
- 且つて闘ったナチスと同じ事をしようとするフィリップ・マチュー中佐の姿が印象的である。-
・仲間をフランス軍に爆殺された、FLN(民族解放戦線)の若き女性達による数々の爆弾テロ。
負の連鎖である。
リアリティな描写も、ショッキングであるし、爆弾に仕掛けられた時計の音も緊張感を煽り立てる。
・FLN(民族解放戦線)の指導者、エル・ハディ・ジャファーが投降し、フィリップ・マチュー中佐と護送される車中で交わした言葉。
・最後まで戦ったアリ・ラ・ポワントは、フィリップ・マチュー中佐の勧告に従わず、爆殺される・・。
- 何とも言えない重い気持ちになる。-
<フィリップ・マチュー中佐率いるフランス軍は、一時アルジェリアのレジスタンスを制圧するが、1960年になってから突如、巻き起こった市民たちによる反乱。
そして、1962年、アルジェリアは念願の独立を果たす。
だが、御存じの通り他民族国家である、アルジェリアは独立後も、度重なる内戦、民族紛争が絶えない。
又、モロッコとの対立も続く。
アルジェリアに真の平和、自由が訪れるのは、何時になるのであろうか・・。
今作は、フランスサイドの視点も取り入れつつ、国家独立を求めるアルジェリアの人々の姿を苛烈な映像と共に描き出した作品である。>
2021年12月1日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
多分3回目の鑑賞だが、
私の理解を遙かに凌駕している。
一体どのように撮影したのか、
あたかもアルジェの市民全員が
キャストであるかのような映像が続く。
まだまだ独立から日も浅く、
当時の高揚感が溢れている中での
市民総出の撮影だったのではないだろうか。
この映画、フランス資本ではなく
イタリアとアルジェリア資本の作品なのに
台詞がフランス語とアラビア語であること
も、興行の観点から
何かと英語ベースで製作されることの多い
現代とは異なるし、
FLN側にも悲人道的な戦いがあったこと
からも逃げない描写も含め、
それらもドキュメンタリータッチとの
評判の要素なのだろうが、
充分にドラマ性も感じた。
この作品ではアルジェリア独立に関して
改めて色々なことを知ることが出来る。
まず驚かされたのがギロチン刑だったが、
調べてみるとフランスでも
1981年まで採用されていたとのことで
フランスの支配地だったアルジェリアでは
当然だったと納得した。
また、FLNとフランス駐留軍と戦いでは、
テロとその鎮圧の争いだけでは無く、
ゼネストでの国連への正当性宣伝争いや、
国連や住民への自らが味方であるとの
アピール合戦もあったことが描かれた。
そして、
爆弾テロは現代の中東における悲劇を、
また、楽勝のはずだとの将軍の発言にある
山岳部の戦いは
アメリカ映画「名誉と栄光のためでなく」を
思い出させた。
この作品の中の主役達がいなくなり
鎮圧されたかに見えた独立運動だったが、
最終的に独立を勝ち取る
市民・国民蜂起のラストシーンも
高揚感が溢れ感動的だ。
ドキュメンタリータッチへの評価以前に、
構成の上手さと驚くべき映像で描かれた
名作中の名作と再認識することが出来た。
2021年11月21日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
映画として、凄い映画。CGなんて使わぬともこんな凄い映画を作った人がいたんだと思う。兎に角、傑作でしょうね。
やっぱり、侵略する側の戦死は犬死で、侵略される側の戦死は殉教者になるんですよ。
文明の限界なのでしょ。この映画と同じ事が今でも続いているし、この時よりも今の方がひどい。
しかし、そんなイデオロギーを抜きにして、この映画は凄い。