雨の朝巴里に死す
劇場公開日:1955年4月16日
解説
「暗黒街の巨頭」のアメリカ作家F・スコット・フィッツジェラルド(1896~1940)の、第一次大戦後のパリを舞台とした小説 Babylon revisited を現代的に潤色して映画化したもので、監督には新進のリチャード・ブルックスが当たっている。脚色は「女性よ永遠に」のジュリアス・Jとフィリップ・Gのエプスタイン兄弟とリチャード・ブルックスの共同、撮影は「ブリガドーン」のジョセフ・ルッテンバーグ、音楽は「雨に唄えば」のコンラッド・サリンジャーである。出演者は「ラプソディー」のエリザベス・テイラー、「第八ジェット戦闘機隊」のヴァン・ジョンソン、「彼等は馬で西へ行く」のドナ・リード、「第八ジェット戦闘機隊」のウォルター・ピジョン、エヴァ・ガボール、カート・カズナー、ジョージ・ドレンツ、ロジャー・ムーアら。「掠奪された七人の花嫁」のジャック・カミングス製作になるテクニカラー色彩の1954年作品である。
1954年製作/116分/アメリカ
原題または英題:The Last Time I saw Paris
配給:MGM映画会社
劇場公開日:1955年4月16日
ストーリー
アメリカからパリに着いたチャールズ・ウィルス(ヴァン・ジョンソン)は、カフェ・ディンゴへ行き、壁に描かれた女の絵を見て、それにまつわる記憶を甦らせる。――1954年5月8日、パリは第二次大戦集結に湧いていた。シャンゼリゼを埋める群集歓喜のなかで当時中尉だったチャールズは、いきなり見知らぬ美人によろこびの接吻をされた。人混みを逃れて路傍のカフェに寄ったチャールズは偶然戦友クロオド・マティヌに会い、彼の同伴者マリオン・エルスワース(ドナ・リード)から、彼女の家の祝賀パーティに招待された。チャールズはこの家で、先程接吻された娘に会った。彼女はマリオンの妹ヘレン(エリザベス・テイラー)、アメリカを捨てパリに来た派手好きな父ジェイムズ(ウォルター・ピジョン)に似て奔放な性格の持ち主だった。チャールズは温和なマリオンのひそかな恋心に気づかず、ヘレンと恋におちた。そして現地除隊してヘレンと結婚し、昼は通信社に籍を置き、夜は小説を書きつづけた。傷心のマリオンはクロオドと結婚した。チャールズの多忙な生活にひきかえヘレンは相変わらず華美な生活を送り、妊娠がその生活を中断させたが、ヴィッキが生まれるとまた元の賑やかな毎日だった。チャールズの小説は空しく出版社から返送され、続いて執筆した第2作も同様の結果に終わった。失意のうちに第3作にとりかかったころ、チャールズはライレン・クォール(エヴァ・ガボール)と知り合い、第3作の失敗がチャールズを彼女との遊びの世界に駆り立てた。そのころ漸く遊びに飽いたヘレンはアメリカに帰って生活をたて直そうとしたがチャールズに拒絶された。ラレインを誘ってモンテカルロ・パリ間の自動車競争に参加したチャールズが、レースに負けて雨のパリに帰って来たとき、ディンゴの店でヘレンとテニス選手ポールの睦じい姿を発見した。チャールズは思わずポールに喧嘩を売り、怒ったヘレンはポールを連れて出て行った。深酒して帰宅したチャールズは、前後不覚に眠りこんで、夜半ヘレンが雨に濡れながら玄関の戸を叩いたことを知らなかった。ヘレンはやむなくポールのアパートを訪れたが落ち着けず、雨の中を姉夫婦の家へ行って倒れた。肺炎だった。ヘレンはチャールズに娘ヴィッキの将来を託して世を去った。――回想から我に返って、チャールズはふたたび壁画の女ヘレンに目を注いだ。いま彼は小説家として成功しており、マリオンが保護者となっている娘ヴィッキを引き取りにやって来たのだった。だがマリオンはヴィッキを渡してくれず、彼はディンゴの店に帰って行った。しかし、クロオドに説かれたマリオンはついに我を折って、夫と共にヴィッキを連れてディンゴの店を訪れるのだった。
スタッフ・キャスト
- 監督
- リチャード・ブルックス
- 脚色
- ジュリアス・J・エプスタイン
- フィリップ・G・エプスタイン
- リチャード・ブルックス
- 原作
- F・スコット・フィッツジェラルド
- 製作
- ジャック・カミングス
- 撮影
- ジョセフ・ルッテンバーグ
- 美術
- セドリック・ギボンズ
- ランダル・デュエル
- 音楽
- ジェローム・カーン
- 音楽監修
- ソウル・チャップリン
- 録音
- ウェズリー・C・ミラー
- 編集
- ジョン・ダニング
- 作詞
- オスカー・ハマースタイン2世
- 作曲
- コンラッド・サリンジャー
- テクニカラー・カラー・コンサルタント
- アルボード・アイスマン