姉妹(1953)
劇場公開日:1953年4月29日
解説
製作は「夢みる人々」の山口松三郎と福島通人が共同で担当、雑誌「東京」所載の小説から「郷愁」の橋田寿賀子が脚本を執筆し、昨年「彼を殺すな」の製作途中で倒れた岩間鶴夫が全快後初めて監督に当ったもの。撮影は「夢みる人々」をあげたばかりの厚田雄春。出演者の主なものは、「まごころ」の津島恵子、淡路恵子、「人生劇場 第二部」の笠智衆、「縮図」の沢村貞子、「ひばり姫初夢道中」の美空ひばり、「夢みる人々」の若原雅夫その他の助演陣。
1953年製作/99分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1953年4月29日
ストーリー
犬養犬猫病院には三人の美しい娘があった。長女を鷹子、次女をつぐみ、三女を美鳩といった。美鳩はまだ十七才の可憐な少女だったが、自分では姉たちと同様一人前の大人のつもりであった。美鳩はつぐみが矢口一平君と仲のよいことを知って、二人の間の恋の使者を相つとめていたが、鷹子姉さんがやはり一平君を愛していたことには気ずかなかった。一平君とつぐみとが婚約したとき鷹子の眼に浮んだ涙を美鳩は見逃さず、鷹子にもよい結婚の相手を探さなければと思うのだった。その結果、三十万円の愛犬を犬猫病院へつれて来た紳士関根俊則がその候補者となった。ところが彼は美鳩の期待に反してつぐみとひどく仲良くなって行った。鷹子は関根の人柄に好意が持てず、一平の存在を無視して関根に近ずくつぐみを心配したが、遂にこの二人は結婚するということになった。一番怒ったのはかつてつぐみと一平の恋のとりもち役をした美鳩だった。関根からの結納の品をこわし、彼の愛犬をつれて美鳩が家出したことから騒ぎになった。しかしこのとき、関根やその母夫人の心配したのは高価なその愛犬のことだけで、美鳩のことではなかったことから、彼等のお人柄がはっきりと犬養家の人々にわかってしまった。美鳩は一平君が無事に探し出してくれた。悄気かえるつぐみにもう一度一平の許へ帰れとすすめたのは鷹子で、一平につぐみを再び幸福にしてやってくれと頼んだのも彼女だった。一人になつた鷹子の瞳に再び涙の光るのをみて、美鳩はこれまで自分が姉の真情に気がつかなかったことを恥じた。