埋もれ木

劇場公開日:

解説

「泥の河」「死の棘」の小栗康平監督が、前作「眠る男」以来9年ぶりに発表する作品。山あいの小さな町の日常が静かに綴られるファンタジックな人間ドラマ。主演には全国7千人の中から選ばれた14歳の夏蓮。共演に浅野忠信、田中裕子、岸部一徳。

2005年製作/93分/日本
配給:ファントム・フィルム
劇場公開日:2005年6月25日

ストーリー

山に近い小さな町。主人公・まち(夏蓮)は高校生、多感で、まだ自分の居場所がわからない。ある日、女友達と短い物語をつくり、それをリレーして遊ぶことを思いつく。スタートは町のペット屋さんが”らくだ”を買って、”らくだ”が町にやって来た、などという無邪気な夢物語。RPG(ロール・プレイング・ゲーム)を楽しむように、彼女たちは次々と、そして唐突に物語を紡いでいく。まちたちが語るファンタスティックな物語は、自分が見えないまま”未来に向かう物語”である。一方、町に住む大人たちにも物語は存在する。しかしそれは生きてきたリアリティに裏づけされた自分史で、いわば”過去の物語”。この二つの物語は直接には交わらず並列して進んでいくが、それぞれの中でなにかが合流し始める…。大雨のあと、町のゲートボール場の崖が崩れて、“埋もれ木”と呼ばれる古代の樹木が地中から姿を現す。夢と物語と現実とが少しずつ重なり始め、ファンタジーな世界が開けていく。“埋もれ木”とは埋没林ともいわれるもので、火山噴火によって立ち木のまま地中に埋もれた、古代の森である。この町の地底に、それが脈々と生き続けていたのだ。埋もれ木の森に町中の人々が集まり、カーニバルが開かれる。紙灯籠が空へと上がり、地底の森に木の葉が舞い落ちる。装飾性豊かに現実を昇華させた、琳派のごとく艶やかな祭りの夜に、人々の夢と思いが集まる。

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映画レビュー

3.0決して一般受けする映画ではない。

2023年3月13日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

現実風のファンタジー映画。 わかりやすい筋がある映画ではなく、断片的なシーンが続くので映画館で観ている間は睡魔と戦っていた。決して一般受けする映画ではない。 だがところどころの幻想的なシーンの美しさや印象的な音楽が、なぜかもう一度観たいと思わせる。 主人公まち役の夏蓮はなかなか良かったのだがこの作品以来観ていない。もう役者はしていないのだろうか。 劇場を選ぼうと思ったら当時見た劇場「シネマライズ」の選択肢すらなかった…残しておいてほしいものだ。

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Jax

4.0心が豊かになる映画なのだとおもいます

2020年7月9日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

正直、自分には本作のテーマや意味や意義を理解できなかったです 自分の能力を超えているのだと思いました 映像の美しさ 撮影の技術の高さ 俳優陣の自然な姿 女子高生達の物語の空想と、大人達の現実世界中が次第に重なりあい、クライマックスのお祭りの美しいシーンになる 赤いラクダ、風船で浮かぶクジラ その尻尾にくくりつけららされるハンカチ その地下にには何千年も昔の巨大な埋没林が広がっている なんとなくわかったようで何にも分かっていません ただ観て良かったという感想は変わりません 訳がわからないのに時間の無駄であったとは全く感じなかったのです 心が豊かになる映画なのだとおもいます 自分の心の底に埋没林のように埋もれてしまうのだろうけれど、確かにそこにあって豊かにしてくれるのです

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あき240

2.0小栗康平って、巨匠なのか?

2015年12月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

難しい

寝られる

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町谷東光

3.5敷居の高い映画です

2008年7月24日

泣ける

難しい

寝られる

国際的評価の高い小栗康平監督ならではの、芸術的な「しかけ」に満ちた野心作。観るきっかけは、新聞で、他界されたユング心理学者の河合隼雄氏の面白い評価があったから。 素材はとても地味ですが、フェリーニばりの画面の細部にいたる細部に気遣いと遊び心が感じられ、映像はリアルとシュールの境目を行ったり来たりします。観る人の心理状態をイメージしての丁寧な心くばりも感じとれます。映画館の暗い空間で、コンディションをよくして観たら、もっと映像に心は持ってかれるのではないでしょうか。 そして、自分が観たの邦画の中では一番「和心」を感じた作品でした。(じつは小津作品はまだ見ていない。)これはどちらかというと体感映画ですね。夏の心の避暑にはもってこいの作品。ただ理解するには少々時間を要する映画です。また機会があったら観てみたいと思わせる作品です。

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あんゆ~る