サオヤの月
劇場公開日:2005年10月8日
解説
別れた元夫が元妻にカメラを手にして密着し、家族の再生を図ろうとする姿をさらけ出した私的ドキュメンタリー。監督は、数々のピンク映画や石井聰亙、斉藤久志などの作品に参加してきた藤川佳三。
2005年製作/97分/日本
配給:アルゴ・ピクチャーズ
劇場公開日:2005年10月8日
ストーリー
2001年2月、主人公にしてこの映画の監督・藤川佳三とその妻・幸子は、協議離婚の末に別れた。その後佳三は、現実から逃げるようにアパートを引き払って東京を離れ、ひとり車で旅をしながら「さおだけ」を売る生活を始める。「た~けや~さおだけ~、2本で千円~」の、あのサオ屋である。たまに子供に会いたいと思って東京に戻るが、いざ子供に会うとなぜか他人行儀になってしまう。元妻とは言葉を交わさない。そしてまた旅に出る。そんな喪失と逃避の中で佳三が考えたこと。それは、もう一度元妻と向き合うことだった。東京に帰った佳三は、自分と幸子の日常にカメラを向ける。最初はその提案を受け入れなかった幸子も、カメラ越しの執拗な問いかけに、渋々付き合い始める…。過去を振り返る二人。付き合い始めた頃から結婚生活のこと。互いを撮ることで、夫婦の間に存在した、心と体の問題があらわになってくる。そして二人の心がすれ違い、重ならない様子をカメラは映し出す。佳三は、毎日のように幸子と話をし、次第に自分自身の問題も考え始める。幸子から発せられた「家族の家出」を足掛かりに、二人は子供たちを連れて「さおだけ屋」の旅に出る。昔、同じように旅をした思い出の場所でキャンプをして泊まり、再び「家族」をやり直そうとする。そして、佳三は元妻と子供たちを連れて、実家に行くという暴挙に出る。そして藤川の両親との問題も浮き彫りになり、事態はますますヘヴィーになってゆく。