欲望(2005)
劇場公開日:2005年11月19日
解説
作家・小池真理子の恋愛小説『欲望』を原作に、「月とキャベツ」「深呼吸の必要」の篠原哲雄が監督した官能ラブストーリー。出演は、「アベック モン マリ」の板谷由夏、「ナビィの恋」の村上淳、「female フィーメイル」の高岡早紀、「渋谷物語」の津川雅彦。
2005年製作/133分/日本
配給:メディア・スーツ
劇場公開日:2005年11月19日
ストーリー
1982年、冬。ホテル・ニュージャパンの火災事故のニュースを、青田類子は抑え切れない想いで眺めていた。「私はあそこの部屋で一度だけ、男と情事を交わしたことがある」。類子は、数年前の激情の日々に思いをめぐらせる。「性欲に勝る欲望がこの世にはあるとしても、あのときの情事を表す言葉を、私は見つけられない…」。図書館司書の類子(板谷由夏)は、妻子ある男・能勢(大森南朋)との肉体だけの関係に溺れていた。ある日、能勢と立ち寄った小石川後楽園で、類子は中学時代の親友・阿佐緒(高岡早紀)と偶然再会する。阿佐緒は、親子ほども年の離れた精神科医・袴田亮介(津川雅彦)と結婚するという。阿佐緒の結婚披露パーティーに招かれ、袴田邸を訪れた類子は、中学時代のクラスメイト、秋葉正巳(村上淳)に再会する。たくましく美しい青年に成長した正巳は、家業を継いで袴田邸の造園を手がけていた。正巳との再会で気分が高揚した類子は、能勢にいつもより激しく欲情する。高校時代。交通事故に遭った正巳は、見舞いに訪れた類子に突然襲いかかった。しかし、それ以上の事が起こることは無かった。正巳は事故のせいで一生涯、治る見込みのない性的不能者になってしまったのだ。恵まれた容貌を持ちながら、一生女と交わることの出来ない正巳。その苦しみを、今の類子は痛いほど理解していた。阿佐緒の結婚披露パーティー以後、3人は旧交を温めるかのように、頻繁に会うようになる。そして阿佐緒もまた、袴田との肉体関係のほとんどない夫婦生活に苦しんでいた。正巳は、阿佐緒に対する性的な憧れを率直に口にするが、一方で、類子にどんどん惹かれていく。そしてある晩、ついに類子を抱きしめる。ホテル・ニュージャパンのベッドで抱き合う2人。それまで抑えてきた情熱をぶつけるかのように、激しく抱き合い、互いを求め合う。しかし正巳に奇跡が訪れることはなかった。しかし、類子の正巳への思いは肉体的欲望を超越していた。袴田の出版記念パーティーの席上で、買ってもらった新車を自慢する阿佐緒は、実に幸せそうだった。しかし、家政婦の初枝が袴田の子を身籠もっていると思いこんだ阿佐緒は、初枝を助手席に乗せ、急発進で出かけていく。阿佐緒の運転する車は高速道路の壁に激突した。阿佐緒の死後、2人は心を癒すように沖縄へ旅に出た。明るい陽射しのもと、幸せそうに過ごす2人。2人の心には、全身全霊で愛し合いたいという微かな希望が胸に広がっていた。奇跡が起こると、どこかで信じて。