福耳
劇場公開日:2003年9月13日
解説
「GO」「ピンポン」の脚本家・宮藤官九郎の映画初主演作。ある青年と、この世に悔いを残し幽霊となって彼にまとわりつく老人との交流をユーモラスに描く。監督は、本作が劇場映画初監督となる瀧川治水。脚本は「うなぎ」「赤い橋の下のぬるい水」の冨川元文。
2003年製作/日本
配給:シネマ・クロッキオ、アルゴ・ピクチャーズ
劇場公開日:2003年9月13日
ストーリー
29才のフリーター青年・里中高志(宮藤官九郎)は、前に入院した先の看護士だった信長珪(高野志穂)に一目惚れ。彼女を半分ストーカー状態で追いかけ、浅草にある高齢者向けマンション「東京パティオ」内にあるレストランで働くことになる。バイト初日、高志は入口で奇妙なジイさん(田中邦衛)に話しかけられる。だが、その老人・藤原富士郎は既に亡くなっているという。不審に思った彼が鏡を覗くと、自分の姿の代わりに、富士郎が現れた! 富士郎は、生前好きだった神崎千鳥(司葉子)への想いをあきらめることができず、高志にとり憑き、彼の体を使って想いを遂げようというのだ。独身を通してきた元女優の千鳥は、東京パティオのマドンナ的存在。彼女を狙う元活動弁士の緑川(坂上二郎)や、元うなぎ屋の小林(谷啓)のことが心配で、富士郎は死んでも死にきれないというのだ。他にも小林の妻・敦子(弓恵子)、元高級官僚で今はオカマとなって洒落たバーのマスターをしている井上五郎(宝田明)、五郎の追っかけ良子(横山通乃)、海軍出身で軍服マニアの藤掛(多々良純)、ここの長老でまったく喋ろうとしない99才の茜(千石規子)など、パティオの住民は個性的な高齢者たちばかり。富士郎にとり憑かれた高志は、なんとか霊を追い払おうとするがうまくいかない。だが、富士郎に珪への想いを見破られた高志は、年の功ゆえ知識と経験が豊富な富士郎に助けられ、とうとう自分の体に同居することを許すことにした。そんな高志を気に入らないのは、緑川と小林。高志は千鳥にダンスを申し込み、何やらデートもしているようだ。次第に千鳥もその気になってきて…。そんな気配に全然気が付かない高志に、富士郎は借金をたしなめ、株取引のイロハを教える。富士郎はかつて金融関係の仕事をしてきたやり手だったのだ。珪との関係もうまくいき始め、高志は富士郎へのお礼に、ついに千鳥をホテルへと誘う…。一方、富士郎は、高志にベンチャー事業を起こさないかと持ちかける。やりたいことがないわけではないが、高志は一旦断る。先のことをシミュレートして、やる前からあきらめてしまうという高志に「生きていくってことは見えないものを信じる勇気が必要」と諭す富士郎だが……