夜の牙

劇場公開日:

解説

「嵐を呼ぶ男(1957)」の井上梅次が渡辺剣次と共同で脚本を書き、みずから監督したアクションスリラー。撮影も同じく岩佐一泉。主演は「嵐を呼ぶ男(1957)」の石原裕次郎、岡田眞澄、「美徳のよろめき」の月丘夢路、「禁じられた唇」の浅丘ルリ子。ほかに白木マリ、安井昌二、小林重四郎らが助演。色彩はイーストマンカラー。

1958年製作/102分/日本
原題または英題:Fongs of the Night
配給:日活
劇場公開日:1958年1月15日

ストーリー

場末の盛り場、ガード下に診療所を開いている杉浦健吉は、足を洗うことを条件にチンピラの傷の手当をしてやるような男であった。ある日、チンピラ・スリの三太が、ニュー・フェースの試験を受けるため戸籍を貸してくれとやって来た。苦笑しながらもこの申出を承知、区役所へ戸籍を取りに行った健吉は、自分の戸籍が抹殺されているのを知った。しかも届人は彼が長い間捜していた弟の忠夫となっていた……。その足で死亡診断書を書いた医者を訪れた健吉は死体処理の立会人として背の高いガッチリした男、にやけたやくざ風の男、背が低くて神経質の男、それに気違い女がいたことを知らされた。それともう一人、黒い男が……。また忠夫が銀座でキャバレーを開いていることも。「誰か一人、人が殺されている」健吉はこう叫ぶと、自分の墓のある伊豆へ出かけていった。彼はそこで、自分の墓に花をささげる美しい女を見た。また叔父の家をついでいる執事の加納--背が低くて神経質な男、弁護士の赤沼--背が高くてガッチリした身体の男にめぐりあった。健吉はそこで顔に大やけどをした弟が週一度、土曜日に現われるというカサブランカへ行き「ああ、忠夫さん、エレベーターが危いよ」という気違い女にあった。また支配人の土井がキザッポイ髭をつけた男であることも知った。そして墓場であった女、弟の女という真理を発見、事件は一きょに解決するかに見えたが……。健吉を助けていた三太は、加納殺しの罪をなすりつけられた。健吉も真理の所で弟と名乗る男を追いつめたが、真理のピストルにさえぎられた。単身、カサブランカに乗り込んだ健吉は、弟と名乗る男を追いつめ、エレベーター穴に追いこんだ。意外、それは伊豆の寺の住職卓然だった。弟は卓然に殺されていたのだ。気違い女は弟の愛人だったのだ。恋のサヤ当からこの事実をかくしていた真理は健吉の名を呼びながら毒をあおっていた。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.5スッキリとして楽しめるサスペンス映画。面白かった。

2022年9月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

石原裕次郎主演とあって観客も多かった。
岡田真澄、浅丘ルリ子、月丘夢路、西村 晃ら人気俳優が登場する日活映画。1958年1月の公開とあって世の中もかなり繁栄しネオンも光輝いている。サスペンス映画。
主人公の石原裕次郎が自分の戸籍を調べてみると死亡届が出され抹消されている。調べていくと長年会っていない弟と遺産相続が絡んでいることが判ってくる。

ヒーローの石原裕次郎は絶対的に安心して見ていられる主人公であり、喧嘩にも強い。貧しい出の主人公であるが今は町の医者。その主人公が裏社会に忍び入り「悪」を暴くストーリーはエンターテイメント映画としてスッキリしてとて面白い。監督は井上梅次。月丘夢路は、同監督の妻。

今の映画のつくりと違うのは、ごちゃごちゃしていないということだろうか。いろんな角度の視点・背景やエピソードなどを盛り込み過ぎないところがいい。刑事の探偵物語のようであるが、死んでいるはずの本人が刑事のように調べていき、ほぼ主人公の動きのみで映画が進んでいる。サスペンス映画としての仕掛けは、結構複雑で最後まで結論が分からず、ずっと目が話せなかった。純粋に楽しめた映画である。
それにしても、西村晃の追い詰められた役どころは凄い。誰にも真似できないリアル・迫力を醸し出している。

広島市映像文化ライブラリー 月丘夢路特集

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M.Joe