幕末太陽傳
劇場公開日:2011年12月23日
解説
川島雄三監督が1957年に発表した名作喜劇。幕末の文久2年、品川の遊郭で飲めや歌えやの大騒ぎを繰り広げた佐平次は、一文の金も持ち合わせておらず、遊んだ分を居残りで働くことに。しかし、お調子者の佐平次は自らの困難をものともせず、遊郭に立ち寄った高杉晋作らとも交友し、巻き起こる騒動を次々と片付けていく。物語のベースは古典落語の「居残り佐平次」。脚本を手がけた今村昌平が助監督を務めている。2012年、日活創立100周年記念事業の一環として最新のデジタル技術を駆使して映像修復した「デジタル修復版」が公開された。
1957年製作/110分/G/日本
配給:日活
日本初公開:1957年7月14日
スタッフ・キャスト
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日本映画史に燦然と輝く傑作であり、伝説の監督・川島雄三の代表作。映画に興味が湧くと、すぐにそういう情報は飛び込んでくる。しかし、観てみようにも以前は名画座でかかる傷だらけのフィルムか、映像も音声も不明瞭なVHSテープしかなかった。もちろん映画自体は面白いのだが、脳内補正をフル活用して、これは傑作なのだと断片を拾い集めるような作業でもあった。
しかし、日活さんありがとう、よくぞここまでキレイに修復してくれました! セリフがハッキリ聞こえる、役者の表情がよくわかる、など、本来なら当たり前のはずの状態になったことで、この映画が持つ滑稽味がよりハッキリと伝わるようになった。そして驚いたのは、セットの豪華さ。今の日本の感覚なら完全に大作映画の規模であり、小気味いい落語噺がベースなのに、こんなに豊かで奥行きのある映像だったとは。
ようやく映画史上の大傑作がわれわれのところまで降りてきてくれた。そんな感覚が味わえる、デジタル修復の鑑のような復活劇である。
古い映画はよくわからなくて苦手だけど、
面白かった。
登場人物が皆活き活きとしている。
遊郭の女性達も逞しい。
小股の切れ上がったいい女ってこういう事なんだろうな。
けんかシーンで帯グルグル。ただのつかみ合いじゃない。滑稽で面白い。
色々な思惑、思想、武士、商人、その中をスイスイと泳ぐフランキー堺。
ちらっと見せる暗い表情。
本当にうまい。
話もテンポが良く進む。
これで終わり、、と思ったら、、何度もお墓で引き留められそうになる。
落語好きな人は倍楽しめるけど、
品川心中あたりは唐突で、元ネタ知らないとなんで?ってなると思う。。
2023年1月21日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
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川島雄三 監督による1957年製作の日本映画。配給:日活、日本初公開:1957年7月14日。
著名ながら川島雄三監督の作品は初めての視聴。前半はテンポのせいか少々退屈であったが、後半から俄然に面白くなって驚かされた。自分はあまり見たことが無いタイプの喜劇映画だった。
幕末の文久2年(1862年、明治維新の6年前)品川の遊郭が舞台。主役の人物像は、古典落語の「居残り佐平次」をベースにしている様だが、フランキー堺が肺病持ちながら賢さと狡さと人情味で成功していく主人公を演じいて、ビックリするくらいお見事。獅子奮迅の活躍をする肺病持ちの主人公は、多くの作品を監督しながら筋萎縮性側索硬化症であった川島雄三自身の反映なのだろうか?
売れっ子遊女同士(南田洋子 vs 左幸子)のライバル争いや、男たちを手玉に取って稼ぎまくるこはる(南田)の調子の良さが何とも心地良い。彼女が小悪魔的なこんな素敵な役を演じてたとは知らなかった。
父親の借金の為女郎にされかかる芦川いづみの若旦那(梅野泰靖)との駆け落ちエピソードも、2人が牢獄に閉じ込められる意外性もあって上手い脚本。宮崎駿がファンで、ジブリのヒロイン像を体現するという芦川いづみの凛々しさも新鮮であった。
石原裕次郎による高杉晋作らによる英国公使館焼き討ち事件を絡めたのも秀逸。傑物演ずる裕次郎と知恵者フランキー堺の船上での駆け引きが、実に面白かった。
あと、坂玄瑞役で小林旭、志道聞多(井上馨)役で二谷英明、更に岡田真澄、西村晃、小沢昭一、金子信雄、菅井きん、山岡久乃も登場する。
監督川島雄三、脚本川島雄三 、田中啓一(山内久の変名)、 今村昌平、撮影高村倉太郎、照明大西美津男、美術中村公彦 、千葉一彦、録音橋本文雄、編集中村正、音楽黛敏郎、助監督
今村昌平、製作主任林本博佳。
出演フランキー堺:居残り佐平次、南田洋子:女郎こはる、左幸子:女郎おそめ、石原裕次郎:高杉晋作、芦川いづみ:女中おひさ、金子信雄:相模屋楼主伝兵衛、織田政雄:番頭善八、岡田眞澄:若衆喜助、植村謙二郎:大工長兵衛、河野秋武:鬼島又兵衛、二谷英明:長州藩士志道聞多、西村晃:気病みの新公、高原駿雄:若衆かね、小林旭:久坂玄瑞、武藤章生:大和弥八郎、小沢昭一:貸本屋金造、梅野泰靖:息子徳三郎、新井麗子:女郎おもよ、菅井きん:やり手おくま、山岡久乃:女房お辰、殿山泰司:仏壇屋倉造、市村俊幸:杢兵衛大盡。