楊貴妃

劇場公開日:

解説

大映と香港のショウ・ブラザース社との合作による大映カラー総天然色映画で、永田雅一、ランラン・ショウが製作に当る。白楽天の『長恨歌』にもとずいて香港の脚本家陶秦が書いたものを「七つの顔の銀次」の川口松太郎、「舞妓三銃士」の依田義賢、「明治一代女」の成澤昌茂が共同で書き直し、「近松物語」の溝口健二が監督に当り、撮影には「千姫(1954)」の杉山公平が当る。中国の時代考証家廬世候が美術の水谷浩と協力している。出演者は「春の渦巻」の京マチ子、「愛のお荷物」の山村聡、「浮雲」の森雅之、「お嬢さん先生」の南田洋子「近松物語」の小沢栄、「女給」の山形勲のほかに霧立のぼる、村田知英子、阿井美千子、進藤英太郎、石黒達也、杉村春子、村瀬幸子、信欣三などである。

1955年製作/98分/日本
原題または英題:Yang Kwei Fei/Yang Kwei Fei,Princess Yang
配給:大映
劇場公開日:1955年5月3日

ストーリー

唐王朝、玄宗皇帝は妃を失い管絃に悲しみを紛らす日々を送り、如何なる美女もその心を慰め得なかった。軍人安禄山は楊家の娘玉環を王妃に推薦し、出世の糸口にしようとした。盛装した玉環は見違える程美しくなり、女官の取締役高力士は侍女紅桃をつけ延春宮に入れ、太真と改名させた。玄宗は梅林に咲き乱れる梅をみて即興曲を奏でた。其夜太真は玄宗の寝室に忍び込みその曲を弾いて注意をひいた。上元の節句の祭に、太真は平服を着た玄宗と共に行き彼の奏でる楽に合せて踊った。その夜から二人は愛し合い始め、玄宗は彼女に貴妃の位を与え寵愛した。三人の姉に位を授け、名誉慾と物慾の権化である従兄の楊国忠を宰相に任命したが、楊一族の登用と国忠の悪政は人々のうらみを買った。安禄山は節度使に昇進したが満足せず、貴妃に彼女を見出した恩を着せ共に地方へ逃げることを強請した。貴妃は拒んだが安禄山との密会を玄宗に疑われ楊家に下った。玄宗は貴妃のない生活に耐えられず、高力士と国忠に貴妃を迎える事を命じた。国民の楊一族に対する反感は激しく貴妃の姉の一人が殺され、安禄山が謀叛を起した。貴妃は辛うじて玄宗の許へ駈けつけたが、都長安は叛乱軍の手に落ち、玄宗と共に少数の兵に守られて逃れた。やがて国民は貴妃を殺せと玄宗に迫った。しかし貴妃は自ら命を断ち、その魂に惹かれるかの様に玄宗も世を去った。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

3.0溝口監督作品なら、もっと高いレベルであって欲しかった

2020年4月4日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

溝口研二監督作品なのだが、はっきりいって身が入ってないように感じた
美術は素晴らしい出来映えで、なる程溝口監督作品だと唸るレベル
ところが演出はなんとなく脚本通りに淡々とこなしただけに感じて心をうつ、魂を震わせる溝口作品とはとても言えない
その脚本も出来が良くない
駆け足で彼女の半生を追うだけでテーマ性が欠落している
長回しの映像もあるにはあるのだが、それで映画全体の構想を見通してここぞという使い方でもなく、ちょっとぐらい本気だしてみたというくらいにしか思えない

森雅之の玄宋皇帝は楊貴妃に操られる優柔不断な人間性に相応しく的確な配役であったが、肝心のヒロインの配役は溝口監督とは思えない

京マチ子は確かに美しい、官能的でもある
だが傾国の美女という頽廃の匂いや淫靡さがなく健康的なのはどうしたことか

ラストシーンは756年のこと
東大寺の大仏を建立した女帝の聖武天皇が崩御されたのも同じ年
毎年秋の正倉院展で見ることができる宝物の数々のイメージがこれでもかと展開されるのが見所

溝口監督初のカラー作品なのだが、その美術の美麗さを単に写すだけで、カラーでどのように撮るのかという小津監督のようなこだわりや研究をしたようにも感じれない

溝口監督ならもっともっと高いレベルの脚本、演出、撮影、配役のはず
気乗りしない映画であったのだろうか?

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あき240

4.0せつないラブストーリー

2016年6月22日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

楽しい

煌びやかさにうっとり見入り、せつないストーリーに引き込まれた。
少しも退屈せずに、納得のラストシーンまでテンポ良く進み、程良い余韻が残った。

また、祭のシーンに移った時、カメラアングルが素晴らしいので祭の迫力がグワッ!と伝わってくる。
庶民に混じって祭を楽しむ二人の姿がほほえましく、それがひとときの自由だと思うとまたせつなく…

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Arco

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