星空のマリオネット

劇場公開日:

解説

暴走族からぬけでた若者が理由もなく自死していく姿を描いた、喜多唯志の同名小説の映画化。脚本は「青年の樹(1977)」の大和屋竺と、「青春散歌 置けない日々」の橋浦方人、監督も同作の橋浦方人、撮影は奥村祐治がそれぞれ担当。

1978年製作/99分/日本
配給:ATG
劇場公開日:1978年1月21日

あらすじ

東京近郊の町で暴走族のリーダーをしているヒデオは、廃抗で別の暴走族のリーダーを殴った。数日後、鉄工所で働いていたヒデオは殴ったリーダーの暴走族から呼び出され、大けがをする。そんなヒデオに、医者の息子でシンナーに犯されたヒロシは好意を寄せていた。退院はしたものの、仲間達に相手にされないヒデオは奔放に生きるアケミに出会う。三人の楽しい生活は続いた。しかし、アケミが妊娠していることを話すとヒデオは狂ったように彼女に殴りかかった。入水自殺したヒロシのため寂しさを感じていたヒデオは、父・留造とアケミと三人で暮らすことを思いたつ。そして、妻をなくした父にアケミを与えるのだった。いつしか、子供を産もうとするアケミは、留造と一緒に暮らす約束をかわしていた。温い肉体とやるせない心との安息の接点を求めるヒデオは、ヒロシの自殺した河原の舟小屋で、ヒロシと母との死への道行と、アケミと父との生への道行の交錯するまぼろしを追っていた。それは現実からはじきだされていくヒデオの姿であった。

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映画レビュー

4.0「戦後の終わり」を告げるかのような作品〜ザ・ATG+三浦洋一

2025年2月25日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

悲しい

単純

1978年公開、配給・ATG

【監督】:橋浦方人
【脚本】:大和屋竺、橋浦方人
【原作】:喜多唯志〜『星空のマリオネット』

主な配役

【ヒデオ】:三浦洋一
【アケミ】:亜湖
【ヒロシ】:武井一仁
【ヒデオの父】:牟田悌三

1.泣く子も黙るATG作品(笑)

私の住んでいた地方都市では、『ブルークリスマス』と併映されていたと思う。
(うろ覚えなので、間違っていても笑って許してほしい)

◆学生運動が終焉を迎えつつあり、
◆ウーマンリブ、フリーセックス
◆神田川、同棲時代

そんな時代のATG映画。

「一億・総中流」なんて言う言葉が流行るくらいだから、時代の先端でありたい映画製作者は、

優等生か不良か、保守か革新か、純愛かエログロか、

とにかくエッジの効いた作品を作りたかったのかもしれない。
ただ、本作もアバンギャルドを気取っているが、実は保守的な青春映画といえる。

2.キャストは◎

主演は三浦洋一。
46歳という若さで亡くなったが、
本作出演時は24歳。

スクリーンで観るヒデオは、カッコよかった。
破滅型のキャラにあこがれる流れは、
三浦洋一から始まった可能性もある(笑)。

亜湖・・・寺山修司に見出された彼女は、当時20歳。
大胆なシーンも自然に演じていた。
大きなスクリーンいっぱいに映し出される濡れ場に、目のやりどころに困ったのを思い出す。
私も、若かったのです。

3.まとめ

単なる成人映画でもなく、青春群像劇でもない。

「昭和」と言えば済む、
と思っているわけではないが、
あの時代に上映されることを許された、
戦後の終わりを告げる作品のようにも感じる。

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Haihai

2.5自堕落で自虐的

2022年10月16日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

興奮

萌える

中盤以降から物語の方向性が掴めない、主人公であるヒデオと懐いているヒロシの関係性が同性愛を匂わせながら男女三人の自堕落な青春物語へ、父親と息子の緩い関係性から控え目ながらも衝撃的な展開へと!?

アメリカン・ニューシネマを引きずり過ぎた雑にも思えるラスト、明るくも暗い将来を悲観しつつ生きている理由が定まらない、不思議な感覚を保ちながら進むそれぞれのエピソードが最後には大雑把な仕上がりにも。

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万年 東一

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