暴力の街

劇場公開日:

解説

日映演、映画人同盟協力作品で、原作は本庄事件のルポルタージュ「ペン偽らず」(同事件に活躍した朝日記者団の筆になる)である。製作はこの映画のために設けられた製作委員会が当り、脚本は「こんな女に誰がした」の八木保太郎と「わが愛は山の彼方に」いらいの山形雄策の共同で、演出には「戦争と平和」(龜井文夫と共同)「こんな女に誰がした」の山本薩夫があたる。カメラは「風の子」の植松永吉の担当。なお、その他のスタッフや俳優は、改めて解説するまでもなく東宝、松竹、大映等日映演さん下の各撮影所のメンバーをはじめ劇団関係の俳優まで網らしており、既成会社のワクをはずした規模の大きさは画期的である。

1950年製作/111分/日本
配給:大映
劇場公開日:1950年2月26日

ストーリー

眠ったようにおだやかな東条町。ヤミ織物の本場でありながら、何故かさっぱり摘発も行われない「平和」なこの町で、ある日、駅前の巡査がふと呼びとめて調べた自転車からヤミの大胆なルートがたぐりだされてゆく。大学をでたばかりの大東新聞の新米記者北は、他社の反対や、この町の町会副議長であり、警察後援会長をもかねるボス大西の圧力にも屈せず、ヤミ織物の横流しと警察や検察庁の怠慢を報道する。激怒した大西は、その夜検察庁新築祝いの席上で、戸山検事や小泉署長はじめ町の有力者たちのいならぶなかで北をなぐりつけ、北を町から追いだすとふれまわる。北の妹タヅ子の友人春枝はこれを聞き、北に告げるが北は暴力の前にあまりにも無力な自分に絶望を感ずる。しかし、町の文化会をやっている猪野から、新聞と呼応して明るい町をつくる運動が青年たちの間から生れはじめていることを聞き、ふたたび自信と勇気に燃えたち、地方の中心都市にある支局にかけつけ佐川支局長に報告する。佐川はこの事件の背後にかくされている大きな力をつかむために、若く落着いた川崎記者を東条町に派遣し、北の安全を図るため支局勤務に代える。東条町に入った川崎の身辺にはやくざ共の加える危害が刻々と迫り、川崎を助ける春枝の努力にもかかわらず、検察庁は腰をあげず、暴力団の横暴はますますつのる一方である。この報を受け佐川支局長はついに決意を固めて支局の記者団を引きつれて東条町に乗りこみ、大黒屋に本拠をすえる。しかし、やくざの迫害はいっそう強まり、ある日春枝は警察に呼ばれ大西の脅迫を受けるが、かけつけた川崎に助けられる。こうした機会から、春枝と川崎は仲の良い協力となっていった。青年たちの動きに従い、町全体にすこしずつ反ボス的な空気も生れ、東条町のできごとはしだいに全国的な事件へと拡大してゆく。ニュース映画や放送局ものりこんでくる。大西一派も負けてはいず、気脈を通ずる戸山検事を動かし、競争新聞に反対の材料をあたえて対抗をはじめ、春枝は突然勤め先を首にされ、一夜にして猪野とタヅ子に醜聞があるというデマが町中にひろまるというありさまである。しかし明るい町を作ろうという猪野の声に応じて、婦人団体「希望会」も起ち、町政刷新期成会が結成され、町民大会が開かれることになる。かつて大西と喧嘩して町を追いだされた夏目記者は、横流しの中心人物岡野に事情を話し告白をすすめ、岡野も町にあたえた大きな影響を知りボスや暴力団を利用し、警察や検察庁を手なずけた一切を佐川に告白する。期成会にも大西一派のまわし者が入りこみ、猪野たちの意見を阻止しようとするが、ついに正論が勝利を占め、町役場では岡野が町議辞任を表明し、町議の一部は大西に反対をはじめ、かつてあれほど勢威を振った大西の地位が足もとからしだいに崩れてゆく。だが、町民大会に果してどれだけの人々が集まるだろうか?翌日、表通りは大会に急ぐ町民の流れが絶えない。支局から帰った北が感激の眼をかがやかせて大会場にゆく。他社の記者たちは、集った町民の数をできるだけ少く読もうとするが、大会はほとんど全町民の意志を結集して成立し、署長や検事の罷免、警察後援会の解散、暴力団の一掃、公安委員のリコール等を決議し、大西一味につきつける。大西もついにしぶしぶ公職辞任を承知した。こうして、はじめて暴力団のみえない秋祭りがやってくる。町民たちの明るい顔、しかし、まだまだ反民主的な勢力は一掃されてはいないのだ。だが、この青年たちは、きっとがんばり通すであろう。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.0警察と暴力団の癒着

2018年11月28日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 警察と暴力団の癒着・・・その怖さよりも町の人たちが中々協力してくれないところが怖いかもしれない。暴力団のサクラもかなりいたようだけど、人が集まらないと無力なものなんですね。戦後直後の話だからといって、安心はできない。

 最後には町の人たちが一致団結。全国的に支持され、罷免、総辞職など記録映画のように終わるが、忌まわしい歴史を繰り返さないように目を凝らしていかねばならぬと痛感。

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kossy

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