ブワナ・トシの歌

劇場公開日:

解説

片寄俊彦の同名の原作を「不良少年(1961)」以来コンビの羽仁進と清水邦夫がシナリオ化し、羽仁進が監督した、オール・アフリカ・ロケ作品。撮影もコンビの金宇満司。

1965年製作/115分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1965年7月3日

ストーリー

東アフリカのケニアとタンガニーカの国境に、一人の日本人・片岡俊男がやってきた。日本の学術調査隊が、総合研究をするための施設を造るためにやって来たのだ。しかし三日余りの旅をして辿りついた集落には、居るはずの手助けをしてくれる人間は居ず断りの手紙が残されているだけであった。困りはてた俊男は、知りあいになった少年を通じて、土地の青年に協力を頼んだ。が、少年の案内で家長の集落にいってみると、人集めどころか家畜の牛追いに一日中こき使われる始末。それでも俊男は懸命に働いた。そのかいあって俊男は集落の誰からも「トシ」と呼ばれ親しまれるようになっていった。やがて集落の人たちも、そんな俊男の気持を察して仕事に協力してくれるようになった。が、彼等には家を建てるという概念がまったくなく、加えて彼等には特有のポレポレ(ゆっくり)の習慣があって、仕事ははかどらなかった。が、そんなある日俊男は、人間の先祖・マウンテン・ゴリラを追って研究を続ける大西博士に会い、その熱意にうたれた。ちょうど、そのころこのアフリカの原野にも、新しい独立ムードが盛りあがってきた。その影響で俊男の仕事は、また遅れた。そのうちに、遂に新しい国が誕生した。そして作業場は急に活気をおび、立派な近代建築が完成した。俊男は土地の青年たちと共に夜が明けるまで踊りつづけた。やがて陽が昇り、土地の青年たちは俊男を湖畔に連れだし、俊男のために歌をうたった。“東の国からトシというジャポネがやってきた……。俊彦は、お礼にまだ海も汽車も見たことがないという青年を港町に案内した。やがて別れの時がやってきた。俊男は故国・日本へ、青年はアフリカの原野に帰っていった。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.0ケンカして仲直り、そして別れが人生だ

2024年3月4日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

異文化に一人投げ出された日本人の悪戦苦闘記。
ドキュメンタリータッチ。
渥美清が、いつになく、等身大の複雑な人間を演じていて、新鮮だ。
アフリカの景色、出会う人々、すべてこれまでの日本でやってきたことが通じない。
でも感情だけは伝わる。
喜怒哀楽、やさしさ、思いやり、人類皆兄弟。
ラストの青い空がいまだに目に焼き付いている。

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青樹礼門

4.0ブワナ・アツミの歌‼️

2023年12月29日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

泣ける

悲しい

怖い

渥美清さんが車寅次郎として映画界に降臨する5年前に出演した、ドキュメンタリー・タッチの人間ドラマであり、アドベンチャー‼️渥美さん扮するトシが、後からやって来る日本人調査団のために、東アフリカにプレハブを建設しようとするお話‼️手違いで日本人技師は彼一人で、現地の日本人に協力を求めて拒否られたり、現地の人々に手伝いを要請したり、原住民を殴って追い出されそうになったりと、とんちんかんな騒ぎを連発‼️大笑いとまではいきませんが、全体的にユーモアがほど良く散りばめられており、微笑ましいです‼️別離のシーンもしんみりさせられて素直に楽しめる作品だと思います‼️昭和40年当時、アフリカでオールロケでこれだけの作品を完成させた羽仁進監督と渥美さんに拍手‼️

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