無頼 人斬り五郎
劇場公開日:1968年11月2日
解説
「昭和のいのち」の池上金男と小沢啓一が共同でシナリオを執筆し、「大幹部 無頼」の小沢啓一が監督した無頼シリーズ第四作。撮影は「ザ・スパイダースのバリ島珍道中」の高村倉太郎。
1968年製作/88分/日本
配給:日活
劇場公開日:1968年11月2日
ストーリー
昭和三十年頃。藤川五郎と弟分の林田は、名振会との出入りがもとで刑務所へ入ったが、林田は姉しのぶのことを頼むと死んでしまった。五郎は仮出所の許可がおりると、林田の故郷を訪れ、しのぶの勤務先を探した。だが、尋ねあてた劇場は、三年も前にストリップ小屋になっており、彼女の姿はなかった。五郎は「ホテル三河」のボイラーマンとして住込み、しのぶ探しを始めた。そんな矢先、五郎はホテルで、バスで一緒になったことのある由紀に出会った。由起の父は八年前に死んだが、それは名振会が殺したものだった。由起はある日、名振会の幹部白山から金を受けとった。父が貸した金の返済ということだったが、この一件以来由紀は、名振会のいやがらせを受ける羽目になってしまった。由紀をかばった五郎もまた元やくざの素姓が知れ、ホテルをクビになってしまった。街におりた五郎は、由起が今度は名振会の黒松から、いやがらせを受けているのに出くわし乱闘になった。その仲裁をしたりは、白山だった。白山からしのぶが赤線にいることを聞いた五郎は、落ちぶれた彼女の力になろうと心に誓った。一方、名振会では、五郎がストリップ小屋主海藤の所にいると聞きこみ、由起を囮に使っておびきだそうと計画した。会長の牧野は、その役目に石丸をたてたが、五郎は石丸をさとし逃がすのだった。だがこの一件から、石丸の恋人苗子がひどい仕打を受け、怒った石丸は、黒松を刺した。石松と苗子の死体が見つかったのは、その翌日だった。それから間もなく、五郎は牧野にそそのかされた海藤に襲われた。傷ついた海藤はしのぶの手当を受けたが、裏切者として牧野一味に殺されてしまった。二人の死を聞いた五郎は、猛然と組員の中へ斬りこんだ。その頃、牧野から五郎との対決を命令された白山は、由紀に会い、彼女の父を殺したのをわびた。拳銃を構えながら近寄る白山の腹を、五郎の短刀が一瞬早く突き刺した。空拳銃で対峙した白山は、由紀と五郎を前に死を覚悟していたのだった。五郎は、由起をフェリーボートで志摩へ送り返すと、単身名振会へ殴りこんだ。激闘は、広い塩田から製塩工場へと続き、牧野、大羽は次々と倒れていったのだった。塩田を、よろめきながら歩く五郎の顔には、やくざのむなしさの中にも、なにか晴れやかな表情が浮んでいた。