福本耕平かく走りき

劇場公開日:

解説

将来の選択に悩む高校生の陸上部員を主人公に描く、第16回城戸賞受賞シナリオの映画化。日本映画学校出身の久保田傑が自らの受賞シナリオを監督、これがデビュー作となる。撮影は小松原茂が担当。

1992年製作/113分/日本
配給:ヘラルド・エース=日本ヘラルド映画
劇場公開日:1992年8月8日

ストーリー

高校3年生の福本耕平は4カ月前に兄・敬一をオートバイ事故で亡くした。農家を継ぐはずだった長男を失った父・稲造はそれ以来やる気を失い畑仕事もせずに家でごろごろしており、母・信子ひとりがきりもりしていた。陸上部の1万メートル走選手で、県大会を目指す耕平は、球技大会にも参加せずに練習に励んでいたが、ラストスパートが遅くいつもライバルの板垣大助に1位の座を奪われてしまう。全力を使い果たせず、いつも余力を残してしまう自分にいらだちのようなものを感じていた。ある日彼は、荒涼たる大地を走る自分そっくりの全裸の若者の絵が校内に張り出されているのを見つける。作者は同じクラスの夏目りえ。本屋で偶然りえに出会った耕平は、なぜ自分の全裸の絵を描いたのかと問う。りえは、耕平が他のことを考えず走ることに集中しているように見えるからだ、と答えるが、最近は変わってしまった、ともつけ加える。打ち解けたりえと耕平は進路や人の死について話し合う。夏休みに東京から兄の恋人だった由紀子が帰って来た。陽気に稲造や信子を励ますが、由紀子も敬一のことを忘れられないのだった。やがて1万メートルの代表選手選考会がやって来た。耕平はまだ早すぎる時期にスパートをかける。板垣にどんどん差をつけるが無理をしたため徐々にペースが落ち、足がもつれて転んでしまう。選考には残れなかったが、全力を出し切ることのできた耕平は清々しい気持ちになり、あらためて母の畑仕事を手伝うのだった。

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