平手造酒(1951)

劇場公開日:

解説

製作は「右門捕物帖 帯どけ仏法」の竹中美弘。「オール読物」掲載の中山義秀の原作より、「羅生門」の橋本忍が脚色、「黄門と弥次喜多 からす組異変」の並木鏡太郎が監督に当っている撮影は「新遊侠伝(1951)」の河崎喜久三である。配役は「ひばりの子守唄」の山村聡、「逢魔が辻の決闘」の花井蘭子のほか、柳永二郎、月形龍之介、汐見洋、中村是好など。

1951年製作/107分/日本
原題または英題:Miki,The Swordman
配給:新東宝
劇場公開日:1951年11月2日

ストーリー

郷土の家に生れ大家へ仕官を志した平手造酒は、剣豪千葉周作に師事して精進した甲斐あってその代稽古を勤める迄になった。周作は松平侯へ造酒を推せんしたが、同家では思いつきで角力を召抱えてしまった。その上、造酒より腕のない門弟が金と門閥とで大家へ召抱えられ、心をひかれていた周作の娘は名家へ嫁入り、柳橋で知った芸者増次は、同門の者に金で自由にされたことを知った。そうした事が重なるにつれて、造酒の心は傷つけられ自棄に陥ちて行った。大酒をあふり、荒んだ稽古のつけ方に門弟一同の憎悪を買ったあげく、健康を害して喀血した。そしてある夜増次と共に江戸をあとに旅に出て、利根川べりの町の祭礼に、居合抜きをやる迄に身を落していた。土地の顔役笹川の繁蔵は、造酒の腕を知って用心棒にと子分の富五郎を使者に立てた。造酒はそれ丈はと頑強に拒絶していたが、再び病いに倒れたため、繁蔵の世話を受けて静養する身になった。快方にに向った造酒は笹川の道場で子分の稽古を見てやりながら風の便りで周作が自分の帰るのを待っていてくれるときいて、初めて心の明くなるのを感じた。しかし笹川一家とこれを敵とする飯岡一家との醜い勢力争いに心ならずも巻き込まれるに及んで再び造酒の心は自棄の穴におち込み、自らその渦中に投じて果てたのであった。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.0セリフまわしの妙

2024年1月3日
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主人公たる平手造酒のセリフが異様なまでに少ない映画で、現代のおしゃべりな主人公を見慣れていると、「もっとはっきり言えよ」と言いたくなるかもしれない。 だがそれは、現代的価値観に毒された側の感想であって、もともと日本の男は無口だったよかもしれない。 そんな男に尽くす美しい女。酒ばかり飲んでいる剣豪。ドラマとしてはよくできており、緊張感もあり、見ていて飽きない。 脚本がよくできているのであろう、嫌味なところはないし、TVの時代劇的なアホくささはなく、全体が不条理感にみちているのも良い。

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