陽のあたる坂道(1975)

劇場公開日:

解説

石坂洋次郎の同名小説の三度目の映画化で、複雑な家族構成の家へ入り込んだ家庭教師によって捲き起こされる波紋を描いた青春映画。脚本は池田一朗、監督は「さえてるやつら」の吉松安弘、撮影は「がんばれ!若大将」の上田正治がそれぞれ担当。

1975年製作/116分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1975年11月1日

ストーリー

ゆるやかな坂道を女子大生の倉本たか子が、眩しい陽光に照らされて上って行く。田代家の娘くみ子の家庭教師になったたか子は、明るく素直で、かつ教養ある清潔さが好感を呼んだ。くみ子は、幼児時代の怪我がもとで軽く足を引きずっているが、明るい性格である。兄の雄吉は、医者の卵で頭も良いのだがエゴイスト、弟の信次は、画家志望で自由奔放な言動で、青春を謳歌している。ある日、信次は、父、玉吉に自分の本当の母親がどこにいるのか聞いた。信次が全てを見抜いているのを知った玉吉は、柳橋の芸者との間にできた子供だと告白した。たか子はくみ子に誘われて、強烈なロックの流れる店に入った。そして、くみ子が夢中になっている歌手が、自分のアパートの隣りに住んでいる高木トミの息子・民夫であることを知り、驚いた。たか子の紹介で知り合った民夫とくみ子はたちまち意気投合した。たか子は信次から、彼は田代家の子供ではなく、芸者の子だと知らされた時、高木トミ子が柳橋の染六について語ったのを思いだした。そのたか子の表情を信次は見逃さなかった。彼は、実の母がいるアパートを訪ねたが、母は留守で民夫がいた。民夫は突然、お前の兄だと名乗られ、信次を追い出した。その日の夜、みどりは信次が実母のことを知っていたことで動揺したが「お前という人間を私は誰よりも見抜いている。例えばくみ子を足の不自由にした雄吉をかばって自分が罪を背負い、優越感にひたっていることに、私はだまされません」と信次に話す。そんなみどりの言葉に信次は温かい母の思いやりを感じるのだった。その頃、くみ子と雄吉はたか子の郷里・青森にねぶた祭りを見に行っていたが、足を捻挫した雄吉は、たか子の看病を受けていた。そしてたか子は、雄吉に求婚されたが素直に受けることができなかった。ある日、雄吉が川上ゆり子というファッションモデルと問題を起こし、信次に責任の後始末を頼んだ。たか子は信次が無作法な中に見せる自分への情熱を感じとっていた。郊外の河原で信次が絵を描いていると、たか子とくみ子が民夫を連れて来た。信次と民夫は反発し合い殴り合ったが、やがて二人の心は兄弟として固く結ばれていった。河原に二組のカップルが横たわっている。信次は、あふれる激情にかられて思わずたか子に接吻した。たか子は思わず信次の頬を叩いた。翌日、たか子は雄吉と信次を医大の屋上に呼び出し、信次を愛していることを告げるのだった。

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