裸の島(1960)

劇場公開日:1960年11月23日

解説

瀬戸内海の孤島に往む夫婦と子供たちの自然との戦いを記録したもので、「第五福竜丸」に続いて新藤兼人が自らの脚本を監督したセリフなしの映画。撮影は「らくがき黒板」の黒田清巳。十三人のスタッフで作られた。

1960年製作/98分/日本
劇場公開日:1960年11月23日

あらすじ

瀬戸内海の一孤島。周囲約五〇〇メートル。この島に中年の夫婦と二人の子供が生活している。孤島の土地はやせているが、夫婦の県命な努力で、なぎさから頂上まで耕されている。春は麦をとり、夏はさつま芋をとって暮す生活である。島には水がない。畑へやる水も飲む水も、遥るかにみえる大きな島からテンマ船でタゴに入れて運ぶのだ。夫婦の仕事の大半は、この水を運ぶ労力に費いやされた。子供は上が太郎、下が次郎、太郎は小学校の二年生で、大きな島まで通っている。ある日、子供たちが一匹の大き鯛を釣りあげた。夫婦は子供を連れて、遠く離れた町へ巡航船に乗っていく。鯛を金にかえて日用品を買うのだ。暑い日の午後、突然太郎が発病した。孤島へ医者が駈けつけた時、太郎はもう死んでいた。葬式が終り、夫婦はいつもと同じように水を運ぶ。突然、妻は狂乱して作物を抜き始める。訴えかけようのない胸のあたりを大地へたたきつけるのだ。夫は、それをだまってただ見つめている。泣いても叫んでも、この土の上に生きてゆかねばならないのだ。灼けつく大地へへばりついたような二人の人間は、今日もまた、明日もまた、自然とはげしくたたかっていくのである。

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スタッフ・キャスト

監督
新藤兼人
脚本
新藤兼人
製作
新藤兼人
松浦栄策
撮影
黒田清巳
美術
新藤兼人
音楽
林光
録音
丸山国衛
照明
永井俊一
編集
榎寿雄
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映画レビュー

未評価 裸の島

2026年1月4日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:その他

横浜市南公会堂で《横浜キネマ倶楽部 第70回上映会》新藤兼人 脚本・監督『裸の島』鑑賞。一切の台詞が無くても役者の表現力だけで心が震えた。(「乙羽信子、へっぴり腰過ぎないか」とは少し思ったけど。) 上映後の"交流会"では他の観客の感想や会長さんの解説等が聞いて多いに刺激になったっス。#55

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はにわさん in 2026

4.0 先祖の暮らし

2026年1月4日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

新藤兼人監督(1912-2012)の作品を初めて観たのは、たぶん「一枚のハガキ」(11)だったと思います。99歳、49作目の作品は遺作となってしまいましたが、この作品に込められた監督の反戦への思いは非常に重いものがあります。「私が生き、仕事を続けてこられたのは、突き詰めていくと94人の犠牲のおかげであると、私はそのことをいつか言わなきゃならないと思ってきました。今まで言えなかったこの事を最後の仕事として映画を作ろうと思ったわけです。今回、それが果たせて本当によかった。」本当に信念の人だと思います。「裸の島」は、タイトルからして不思議ですが、台詞を排し、映像と音、音楽だけでぐいぐいと迫ってくる作品でした。単調なシーンが延々と続くことにも当然意味があって、小さな島暮らしの貧しさ、厳しさがひしひしと伝わってきます。片時も休まず働き続ける両親と親を助けるために奔走している兄弟には、ゆっくり団らんという場面もありませんが、家族の温もりが十分に伝わってきました。自分には島暮らしの経験はありませんが、遠い先祖がこれに似た経験をして、そのお陰で今の生活があるかのような気持ちになりました。

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赤ヒゲ

未評価 凄いな、この尖り具合

2025年12月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

さようなら 昭和百年特集 で鑑賞

 瀬戸内海の水もない小島でへばりつくようにたった4人で生きる家族の日々を淡々と描いた新藤兼人さんの脚本・監督作です。この作品の大きな特徴は、鳴き声や笑い声以外には台詞が一切ない事です。脚本家である新藤さんが台詞のない映画を作るのですから、その尖がり具合に驚かされます。

 家族が住む島は本当に小さく、地面の殆どが耕されて農地になっています。しかし水がない為に、伝馬船を漕いで水のある地から汲んで来ます。世の中にはテレビが出始めた時代の様ですが、島には電気もガスも勿論ありません。なぜそんな島に暮らしているのかの説明もありません。ただ淡々と生を紡ぐのです。それが全く会話がないまま描かれます。でも、生きる事の素の姿を言葉で隠さず表そうとするとこうなったのでしょう。「言葉から遠い所で佇んでいたい」という『旅と日々』の言葉を思い出した。

 この時代にこの先鋭性は凄いな。そして、乙羽信子さんの気丈さが美しいな。

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La Strada

5.0 観終わった時、この一家の人生を共有していたことに気付かされ、圧倒的な感動に包まれていた

2019年10月23日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

もちろん裸で暮らしているわけではない
何もない極貧の離れ小島という意味
同時にそれを何ら装飾もなくありのままに撮影するという意味でもある

ならばドキュメンタリーで良いでないか?
何ゆえに俳優が演じるのか?
本人か地元の素人で良いのではないのか?

そもそも何ゆえに台詞がないのか?
本作のテーマとは一体何なのか?
監督は一体何を語ろうとしているのか?

こういった疑問がいくつもぐるぐると渦巻きながら、離れ小島に暮らす極貧の一家の厳しい日常を、この台詞のない映画として私達は追体験していく

単調な重労働だけの日常に会話はない
単に繰り返されるだけだ
そこには交換されるべき情報というものはない
よって、言葉もないのだ
子供ですら言葉を発しはしない

ではドラマはないのか?
そんなことはない、ドラマはある
ハプニングが起こり一家の楽しい思い出が作られるシーンがある
とても悲しい事件も起こる
それゆえに俳優が必要だったのだ
絶対に演技力を持った本格派の俳優でなければできないドラマがあるのだ

ではなぜ台詞はないのか
効果音はある、音楽もある
だからサイレント映画ではない
だかサイレント映画の技法に近い
しかも字幕もないのだ
ヒッチコックの言葉
良い映画なら、音を消しても観衆は何が起こっているかはっきりと思い描くことが出来るだろう。

明らかに会話がなされているはずのシーンも幾つかあるが台詞はない
映像で解決済みであるから不要としてそぎ落とされていたのだ

見事な撮影と脚本と演出だ
低予算ではあっても、本作に空撮は絶対に必要で無ければならないとの判断が下されているのだ
そしてそれは冒頭とラストシーンで素晴らしい効果を揚げているのだ

観終わった時、私達はこの一家の一員となっている
この一家の人生を共有していたのだ
圧倒的な感動に包まれている自分に気付くのだ
涙すら滲むだろう

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あき240

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