日本敗れず

劇場公開日:

解説

「春色お伝の方 江戸城炎上」の阿部豊が製作監督する敗戦裏面史で、脚本は「母の秘密」の館岡謙之助が執筆。撮影は「黒い潮」の横山実の担当である。出演者は「鞍馬天狗と勝海舟」の早川雪洲、「東尋坊の鬼」の藤田進、「鶴亀先生」の斎藤達雄、「黒い潮」の山村聡、「鉄火奉行」の柳永二郎、「トラン・ブーラン 月の光」の沼田曜一、小笠原弘、「関八州勢揃い」の舟橋元など。

1954年製作/102分/日本
劇場公開日:1954年10月26日

ストーリー

昭和二十年五月、サイパン、硫黄島、比島等に日本の敗色は濃く、東京も再度の大空襲に火の海と化した。だが陸軍省部内では、依然として、本土決戦を目指して張切る将校達の姿があった。やがて沖縄守備軍も全滅し、米軍も本土に迫ってきたが、米英ソのポツダム会談により、七月二十七日、日本に対する最終の降伏条件を規定した三国共同宣言を放送して来た。首相官邸の会議室では、総理以下の閣僚達は、共同宣言を有条件講和の申出と解し、挑戦的態度はとるべきでないとしていたが、川浪陸相が一人強硬に反撃すべきことを主張していた。やがて八月六日の原子爆弾の投下、又九日のソ連参戦により、川浪陸相一人の戦争遂行論も空しく、遂に御前会議は於てポツダム宣言受諾が決定された。これを聞いて激昂した陸軍省の軍務課員を中心とした将校達は、遂にクーデターを計画し外相官邸を襲ったが、南郷外相は危うく難を避けた。第二回御前会議の席上でも、川浪陸相はあく迄戦争を続けることを主張したが、陛下の御心は変らなかった。血気にはやる青年将校達は、陛下の録音盤を手に入れるために畑少佐は林師団長を殺したが、音盤の入手には失敗した。十五日暁方、川浪陸相は自決して果てた。録音盤の所在を明らかにしない瀧川侍従をも殺害して狂気の如くなった畑少佐は、馳けつけた中田東部軍司令官に軽挙妄動をさとされ、己れの非を悟って自害した。かくして十五日正午、録音盤は放送され、戦争は終った。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.0戦後9年目に公開だで!

2024年8月14日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

「新東宝映画まつり」シネ・ヌーヴォーさん、ありがとう! 8.14宮城事件メモリアルデーに鑑賞。
『日本のいちばん長い日(1967)』との比較で、史実に忠実でない等いろいろ語られてるけど、いやいやどうして、立派な作品じゃありませんか。国滅ぶとも民滅ばず。この痛切なメッセージは今に世にも十分伝わるし、『日本の〜』よりも明快な描かれ方で好感が持てる。
驚愕の軍事スキャンダル、まだ十分な史料も世に出ていない、戦後10年に満たない時期に制作、公開されてるんですぜ。御前会議のシーンに天皇は登場せず、玉音の声も吹き替えだったが、当時はそれが限界だったのではないか。青年将校たちの狂信的冒険主義こそ、日本軍の残虐非道なふるまいの本質だと喝破しつつ、国体護持に身命を賭するという価値観に同調を強要するというか無批判に寄りかかっているあたり、戦前・戦中派のこれもまた限界といえよう。
そうなると2015年版との比較をせねばと思うが、未見のためならず。あまり食指は動かんが、いつか検証してみたい。

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くーにー62

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