にっぽん三銃士 おさらば東京の巻
劇場公開日:1972年10月28日
解説
四十代の戦中派、三十代の戦後派、二十代の戦無派と思想も、職業も、年令も全く違う三人が意気投合し、大騒動をひき起こす。原作は五木寛之の同名小説で、第一部“おさらば東京の巻”第二部、“博多帯しめ一本どっこの巻”と二部構成のうちの第一部。脚本は「雨は知っていた」の長野洋、監督は脚本も執筆している「激動の昭和史 沖縄決戦」の岡本喜八、撮影も同作の村井博がそれぞれ担当。
1972年製作/88分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1972年10月28日
ストーリー
黒田忠吾。通称・チュウさん。元帝国陸軍中尉。ハイヤー、タクシー業界のタイコ持ち的月刊誌の名ばかりの編集長だが卑屈な生き方に自己嫌悪しきり。八木修。通称・ヤギさん。満州はハルピンの生まれ。東大附属病院の助教授で医学博士だが、近頃はインポに悩む。風見一郎。通称・イッちゃん。一流広告代理店の一流社員。終戦記念日に生まれた戦無派。ある日この三人が、新宿のバー“ネスパ”で出会った。一郎はその日森川副部長に叱責されたが、無表情に黙っていた。でも、心の中では殺意を抱く程怒っているのだ。そして、帰社してから、コラムニストの古賀マリと知り合ったが、カッコ悪く別れた。八木は、いま、結婚生活五年目を迎え、欲求の激しい妻との間の性エネルギーの落差をどう埋めるか悩んでいた。忠吾は、古沢タクシーの社長の御曹子のために、ゴマスリ記事を書き、五千円入りの祝儀袋を追従笑いを浮かべて受け取った。それは忠吾にとって大いなる屈辱であった。三人はそれぞれの安住の地である“ネスパ”で怪気炎を上げる。戦中、戦後、戦無派の代表選手たち--。外では、学生たちがデモっていた。突然、マリが刑事に追われて飛び込んで来た。マリは、デモ隊鎮圧のパトカーに投石したのである。一郎はマリを連れて逃げ出した。二人は連れ込み旅館にもぐり込んだが、何と先着のカップルは、一郎の婚約者、江草千夏と中年の三毛沢春彦。一郎は千夏に婚約解消を宣言し、再び雑踏の新宿へ飛び出した。若者たちが地下街の歩道で反戦フォークを唄っていた。仲間に入る一郎とマリ。そこへ、“ネスパ”から刑事に追われて来た忠吾、大学病院で“ネスパ”のママ、キキと男性復活のための実験の最中に、宿直員に発見され、追われて来た八木が逃げ込んで来た。そこへ、機動隊が介入して来て大騒動となる。しかし、忠吾、八木、一郎は上手にその中から抜け出しに成功、忠吾の家に行く。ところが、忠吾を待っていたのは、会社からの解雇通知だった。刑事との乱闘が知れたのである。激しい夫婦喧嘩。他の二人も同様家に戻れない。行くあての無くなった三人。男たちは行く先知らぬ貨車に乗った。“おさらば東京”きれいさっぱり過去に別れを告げた三人は、第二の人生へと出発した。