二階の他人

劇場公開日:

解説

多岐川恭の同名小説の映画化。「恋の画集」のコンビ野村芳太郎と山田洋次が脚色、山田洋次が第一回の監督をつとめる。撮影は「白い肌と黄色い隊長」の森田俊保。なお山田洋次は昭和六年生れ。二十九年東大法科卒。渋谷実、井上和男、野村芳太郎の助監督をつとめていた。

1961年製作/56分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1961年12月15日

ストーリー

若いサラリーマン葉室夫婦は方々から借金して二階家をたてた。二階を貸して返済しようという計画だが、今いる小泉夫婦は賄付の下宿代を二カ月ためているので、気弱な葉室夫婦の間では時々波風が立った。やっとの思いで催促すると目下失業中という返事に、正巳は止むなく勤めている会社の守衛に小泉を推薦した。暫くたち、葉室家には、豊橋に住んでいる兄鉄平と喧嘩して出てきた、母のとみが泊まった。小泉夫妻と親しくなったとみは、二階に遊びに行くので正巳には面白くなかった。折角世話した守衛の勤めを怠けているときいた時、彼の忍耐心の限度が来た。立退を迫ると小泉達の態度がガラッと変った。彼らは下宿荒しの常習犯だったのだ。下宿代を踏み倒して小泉達が漸く引越し、とみが帰った時葉室家には平和が訪れた。次の間借人来島夫婦は評論家だというが、銭湯が嫌いだから風呂場を作ってくれと十万円渡す程で、正巳達とはケタ違いの豪華さだ。風呂場が出来た日、とみが又飛び出してきた。正巳兄弟が集って母の身のふり方について家族会議が開かれたが結論は仲々出ず、とみは鉄平に引取られた。だが家を建てる時借りた二十万円の返済を迫られた正巳は、やむなく来島に借りて返済した。その直後、正巳は週刊誌を見て来島が五百万円を拐帯して逃亡した犯人と知った。正巳達は煩悶した。警察に訴えるにしても三十万円は返さねばならず知らぬ顔をしているのも口止料を貰ったようで気が咎めた。クリスマスの晩正巳達を来島夫婦は招待して幸せそうに踊りまわった。正巳達は複雑な気持でみつめた。翌日彼らは自首した。貸した金は黙っているといったが二人は何か気が晴れなかった。「自分達の家を建ててみて、楽しいことは余りなかったわね」正巳は頷いた。しかし、二人は二階をまた貸さなくてはならないだろう。「二階のことで喧嘩するのは止めよう」正巳のことばに明子は頷いた。

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映画レビュー

0.5突っ込みどころ満載の壊れた脚本だと感じる。

2024年5月11日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

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マサシ

3.5山田映画の原点

2022年10月26日
iPhoneアプリから投稿

新築夫婦と二階に住む不可思議な下宿人たちとのやりとりを時におかしく、時に切なく描き出した山田洋次の処女作。喜劇と悲劇の相互嵌入的な物語構成はいかにも山田洋次らしい。また下宿という「ウチ」と「ソト」の境界がほどよく緩解している空間を舞台にしたのも上手い。

夫婦の家に時折転がり込んでくる夫の母親がなんともいい味を出していた。家賃を払わない下宿人カップルに「飯抜き」の罰を講じる夫婦に対して、彼女が「兵糧攻めなんてやり口が汚いよ」と悪態をつくシーンが可笑しかった。あとは「警察がこんなこと言うもんじゃないけど…」と一応弁明しながら下宿人カップルに対する夫婦の私刑を是認する警官もよかった。

ものごとの輪郭線が適度にぼやけている空間というのは心地がいい。癖の強い下宿人を連続して引き当ててしまった夫婦が、それでも「まあ次は何とかなるさ」と開き直れるのは、彼らが他者に対して「かくあるべし」といった教条主義的な固定観念を抱いていないからだ。人間っていうものは杓子定規にゃいかんけど、裏を返せばその都度都度でどうとでも折り合っていけるってことだよな、というポジティブな諦観とでもいうべきか。

私がなんだかんだで山田洋次を好きなのは、私自身が山田作品に出てくる人々のように大雑把で楽天的な性格だからなのかもしれない。それでうまくいく世界であってほしいと願うばかりだ。

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因果

3.5短編映画なので頭が疲れなくて良い

2020年12月29日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

葉室夫婦は、2階を貸したが2回とも特殊な夫婦だった
 ①1回目の小泉夫婦は、夫が仕事嫌いで就職先を斡旋しても働かず
    3ケ月分の家賃滞納の後、家主に追い出されて退去
 ②2回目の来島夫婦は、会社のお金を持ち出した指名手配犯
    最後は、自首して警察に連行された
    家主に被害はなし → OKかな

暗い面もあるが、明るい面もあって良かった
映画としては、ハッピーエンド扱いで良いかな

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KEO

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