劇場公開日 1961年12月15日

二階の他人のレビュー・感想・評価

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3.5山田映画の原点

2022年10月26日
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新築夫婦と二階に住む不可思議な下宿人たちとのやりとりを時におかしく、時に切なく描き出した山田洋次の処女作。喜劇と悲劇の相互嵌入的な物語構成はいかにも山田洋次らしい。また下宿という「ウチ」と「ソト」の境界がほどよく緩解している空間を舞台にしたのも上手い。

夫婦の家に時折転がり込んでくる夫の母親がなんともいい味を出していた。家賃を払わない下宿人カップルに「飯抜き」の罰を講じる夫婦に対して、彼女が「兵糧攻めなんてやり口が汚いよ」と悪態をつくシーンが可笑しかった。あとは「警察がこんなこと言うもんじゃないけど…」と一応弁明しながら下宿人カップルに対する夫婦の私刑を是認する警官もよかった。

ものごとの輪郭線が適度にぼやけている空間というのは心地がいい。癖の強い下宿人を連続して引き当ててしまった夫婦が、それでも「まあ次は何とかなるさ」と開き直れるのは、彼らが他者に対して「かくあるべし」といった教条主義的な固定観念を抱いていないからだ。人間っていうものは杓子定規にゃいかんけど、裏を返せばその都度都度でどうとでも折り合っていけるってことだよな、というポジティブな諦観とでもいうべきか。

私がなんだかんだで山田洋次を好きなのは、私自身が山田作品に出てくる人々のように大雑把で楽天的な性格だからなのかもしれない。それでうまくいく世界であってほしいと願うばかりだ。

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因果

3.5短編映画なので頭が疲れなくて良い

2020年12月29日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

葉室夫婦は、2階を貸したが2回とも特殊な夫婦だった
 ①1回目の小泉夫婦は、夫が仕事嫌いで就職先を斡旋しても働かず
    3ケ月分の家賃滞納の後、家主に追い出されて退去
 ②2回目の来島夫婦は、会社のお金を持ち出した指名手配犯
    最後は、自首して警察に連行された
    家主に被害はなし → OKかな

暗い面もあるが、明るい面もあって良かった
映画としては、ハッピーエンド扱いで良いかな

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KEO